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屋上を楽しむ

屋上を楽しむ-夕焼け_山本
ここ数年、野菜の鉢植え栽培に熱中しています。
作業場は我が家の屋上。
キュウリ、ナス、トマト、トウモロコシ、エダマメ、ジャガイモ、サツマイモ等々、手間暇さえ掛ければ大抵の野菜は作る事が出来ます。
近年は宅配便容器を転用した小麦・稲の二毛作にまで手を広げている有様。
植物があると虫や野鳥も寄ってくれるようで、それらとの邂逅もまた一興であります(被害にあう事もママありますが)。
ただし夏場は水遣りが大変ですし、水道使用量も増えます。御用心を。

 

また、屋上に佇み空をボーッと眺めているのは結構楽しいものです。
なにしろ地上に居るよりも空がずっと広く身近に感じられます。
昼には様々に変化する雲や空、燃えるような朝焼け夕焼け、夜には星空を、など刻一刻と移り変わる大自然と直に触れ合う事が出来るのですから。
そのほか簡単な運動や日光浴等々、各家庭の趣味趣向に応じて様々な利用法がありましょう。
これからの季節であれば、缶ビール等冷たい飲み物を手に屋上で一杯、というのもオツなものですね。

 

都市部の住まいにおいて積極的に屋上を利用する事は、生活に潤いをもたらす為の極めて有効な一手段となるでしょう。

 

屋上を楽しむ_山本

 

[家づくりニュース2015年8月号掲載]

「家づくり学校」が日本建築学会教育賞受賞

家づくり学校
「家づくりの会」は、建築家による良質な住宅の普及を目指し、様々な活動を行ってきましたが、2009年より「家づくり学校」という住宅設計を目指す人たちのための学校も運営しています。

 

この「家づくり学校」がこの度、「2014年 日本建築学会教育賞」を受賞しました。

 

この学校の講師は家づくりの会の会員が主体となってやっています。
家づくりの会は発足し31年の歴史を刻んできましたが、この間、多くの会員が建築家として大きく成長し、住宅設計者の後進を育てる学校を運営するまでになりました。
今回の受賞は「家づくり学校」そのものに対しての受賞であると同時に、「家づくりの会」31年目の到達点とも言えます。

 

「家づくり学校」は10年ほど前に活動していました「建築道場」を前身とし、5年前に建築道場を発展解消し「家づくり学校」が誕生しました。
建築道場は家づくりの会の一部有志による学校でしたが、「家づくり学校」は現在、家づくりの会の重要な活動の一つになっています。

 

家づくり学校の今回の受賞は大変ありがたく、喜ばしいことではありますが、これで良し、とするのでなく更なる夢に向かって頑張りたいと思っています。

 

建築道場の発足を0合目、家づくり学校の発足を2合目とするなら、今回の受賞はまだまだ4合目、まだ半分にも到達していません。
次の6合目、8合目、10合目と夢は続きます。6、8、10合目の具体的な形はおいおい皆様の目にも触れることができるよう頑張りますが、いずれにしろ住宅設計における社会人教育の新たな地平を開きたいと思っています。

 

どうかこれからも皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。

 

家づくり学校校長  泉  幸 甫

 


 

「家づくり学校」の5年間

 

2009(平成21)年春、家づくりの会は、住宅設計を目指す人の為に「家づくり学校」を開講しました。
その後5年の月日が流れ、昨年度は初の卒業生を輩出する事が出来、これまでの受講生は延べ100余名を数えます。
中には自身の仕事(住宅)で受賞の栄誉を得た人もいますし、卒業生の中から当会への入会を希望する人も現れました。

 

私達、講師・運営側にとって、この学校がきっかけとなり受講生の皆さんが活躍しているのを見る事が何よりの喜びです。

 

今回の受賞を機に、これまでの家づくり学校の歴史を振り返ってみたいと思います。

 

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2009年、第一期開講。
2009年_第一期住宅設計を学ぶなら優れた建物の中でする方がよかろうとの考えで、建築家F. L. ライト設計の自由学園明日館(重要文化財)を会場とする「座学」を1年生コースとし家づくり学校がスタートしました。

 

1年生コースでは家づくりの会設計会員が講師となり、自身が得意とする設計テーマを披露開陳し、受講生が住宅設計で生きる為の自己研鑚を促す事を目的としています。
我々講師・運営側も、如何に世間に流布している教科書やセミナーと一線を画すか、模索してきました。
年8回、「生活」・「環境」・「素材」・「設計監理」・「構造」あるいは「構法」・「木」・「歴史」・「外構」・「地域」等をテーマとした約2時間半の講義を行っています。
そのうち毎年1回は必ず「生き残るためには」と題し複数の建築家で座談的な講義を行い、建築家として自分がどのように学び生きてきたかを語ってもらいます。
自分達の現状分析や将来展望について大いに参考になるのでしょう、これは受講生に大変人気のある講義のひとつです。

 

 

2010年、第二期開講。
2010年_第二期2年生コースを新設。部屋から飛び出し、生産の現場を訪ねる「素材や技術の見学会」を始めました。

 

具体的には、大谷石・鉄平石などの石切場、山での木の伐採から製材されるまでの工程見学といった素材の源流を探ねる、建具や家具・左官・瓦・和紙・金属加工・鍍金・塗装等の各工場で製作・製造の技術に直に触れる、国宝級の古建築を訪ね伝統技術に触れる、古材を扱う商店や建築廃棄物の処分場やリサイクル工場を訪ねる、というバラエティに富んだ内容です。
私達現代の設計者は、ややもすれば既成のカタログ部品のアッセンブルだけが仕事になってしまいかねない状況下にあります。
受講生にはこの学年で建築素材の捉え方について開眼し、今自分がしている仕事を捉え直してもらえるよう期待して始めたものですが、やはり多くの受講生が「参加してよかった」と言ってくれています。
なおこの2年生コースは、毎年多くの建設関連業の方々に御協力いただく事で成立しており、この場を借りて厚く御礼申し上げる次第です。

 

 

2011年、第三期開講。
2011年_第三期1〜2年コースで得た知見を基に、4人の講師から住宅の特定の部分等について演習問題を提示し、それをまとめる3年生コース「課題」を新設しました。

 

これまでに掲げられたテーマは、「温熱環境(断熱設計)」・「工法(社会へ提案する新しい建築の作り方)」・「茶室」・「納まり(開口部の設計)」・「屋根」・「自然(自然エネルギーの利用)」・「リノベーション」・「形態」。
ひとつだけ例を挙げれば、「茶室」の講義では、実際の茶室にて本物の茶事を体験したり材木屋で銘木を見学した後、課題として小さな茶室を設計しました。
3年生コースでは、受講生に対して建築を構成する特定の部分の設計手法や形態的美学の鍛錬を期待しています。
課題提出時には講評会を行い、講師のみならず受講生も交えた活発な議論を行っています。
どの受講生も1~2年コースを経てきているので、下級学年時と比べて議論もより深く密度の高いものになっていると感じます。

 

 

2012年、第四期開講。
2012年_第四期1~3年生コースで学んだ事を、あらためて受講生自身の中で統合してもらうべく、リアルな課題に対して一軒の住宅設計をまとめつつ、建築家の設計術を習得する4年生コース「スタジオ」を新設しました。

 

3~4人の講師が自身の設計事務所を使ってスタジオ形式の指導を行います。
下級学年に比べてずっと講師との距離が近付く訳で、他の教育機関ではなかなか得られない貴重な機会です。
教える側も自分の設計手法を盗まれる事を厭わぬ覚悟が必要であり、講師と受講生との真剣勝負とも言えましょう。
これまで半田雅俊・川口通正・諸角敬・本間至・川崎君子・松原正明の各建築家がスタジオを担当しました。
課題をまとめた後、最終発表会と称し全スタジオの受講生が集まり各々が自分の作品をプレゼンテーションします。
彰国社「家づくり学校」その様子は下級生も聴講出来るようにしており、また優れた作品には優秀賞を贈り表彰しています。

 

2012年冬、これまでの講義内容をまとめた書籍「実践的家づくり学校 自分だけの武器をもて」(彰国社)を出版し、本書を次年度から1年生コースのテキストとして用い始めました。
学校の講師陣が約1年の時間をかけて、これまでの講義内容をより深く詳細に執筆しています。
その他、2年生コースでの見学記や、家づくりの会設計会員を対象としたアンケート、さらに第一期受講生のうち数名に集まってもらい座談会を催し、その様子も掲載されています。

 

 

2013年、第五期開講。
2013年_第五期前年度で4学年制の学校形式が完成し、今後それらを如何にブラッシュアップしていくかが、我々運営側の課題となりました。
運営サイドとしても毎年同じ事を繰り返していては自分達が面白くありません。そこで我ながら手間がかかるので止せばいいのにと思うのですが、学校のプログラムを可能な限り毎年刷新すべく配慮しています。
例えば1年生コースの講師に、当会所属建築家のみならず、外部からも若い世代に人気のある建築家・メディア関係者・第一線で活躍中の構造設計者等のゲストを招き、講義を御願いするようにしたり、自分の担当講義についてもその内容を毎年少しずつ異なるものにしたり、と工夫を凝らしています。

 

 

懇親会風景講義や見学後には必ず懇親会を行っています。
授業の日以外にも、納涼会と称した新入生歓迎会や全講義終了後の全学年合同修了式等のイベントがあります(修了式では学年ごとに修了証書が授与されます)。
講義時間内に出来なかった質疑応答や、講師と受講生の、受講生同士の交流の場として、設定したものです。
特にまだ修行中の若い設計者は、仕事を覚えそれをこなしていく事に日々忙殺され、自分が勤める会社以外の同世代の設計者仲間と交流する機会になかなか恵まれません。
そんな中、家づくり学校で同じ志を持つ仲間との知遇を得る事は、他に代え難いものだと感じています。
事実、受講生からは「横のつながりができて有益だった」と大変好評のようです。
この学校で知り合った受講生同士が集まってセミナーや見学会に参加する等、自主的な活動も行われているようです。

 

 

第三期の終了後から毎春、受講生ならびに講師の有志で、「修学旅行」と称し1泊2日の建築見学ツアーを行っています。一人で見ている時にはウッカリ見過ごしてしまいがちですが、仲間と議論しながら見学すると必ず新たな発見があります。また、たった2日間であっても寝食を共にする事で、お互いの付き合いがより深くなるものです。
2012年は三重県伊勢方面へ、2013年は秋田・青森など東北地方へ、今春は能登・金沢へ旅しました。旅行の企画運営は受講生や卒業生がとりまとめ、毎回30人前後が参加しています。
修学旅行_01修学旅行_02

 

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こうした私達の活動が日本建築学会という権威ある団体から認めていただけたのは、実に嬉しく名誉な事です。
しかし、ここで安堵し慢心する事無く、今後も住宅設計を目指す市井の人達に役立つ教育活動を、決してマンネリ化に陥らぬよう継続していきたいと思います。

 

家づくり学校副校長 山本 成一郎

 

[家づくりニュース2014年5月号掲載]

山本 成一郎 (» プロフィール)

家が「至福のひと時」の舞台たらんことを…。

「/(若夫婦のための増築)」

「家づくり学校」

 家づくりの会では3年前から「家づくり学校」という若手住宅設計者を育成する活動を始めました。
 1年生コースでは座学、同2年生では見学、同じく3年生では演習を中心とした講義を行い、いわゆる大学や専門学校では教えてもらえぬような実学(机上の空論ではない、講師陣が血と汗を流しつつ実際の仕事から学んだ知識)を、若い人達へ伝える事が目的です。 (各学年月1回/全8回)
 私も初年度からその運営に参加しています。
 かつて住宅というものは住まい手自身が建てたり選んだりすることは出来ませんでした。一部の王侯貴族、豪農や豪商等、時の権力者や有力者を除いては。
 いまや誰もが自分の家を比較的簡単に持てるようになり、それはそれで素晴らしい事なのですが、反面、誰もが自己の欲求を誰はばかることなく表明出来るようになり、そこには他者との関係性や我が国の伝統文化に対する考察がいささか不足していた為、かつての美しい街並み(それは封建的な社会体制と表裏一体のものだったのですが)が失われてしまいました。
 個人的には、この学校を通じて一人でも多くの住宅設計者を育て、彼らが沢山の優れた住宅を作ることで社会環境の改善に寄与することが出来れば、と夢想しているのですが。

家づくり学校_1年生コース        6月の1年生講義「構法から考える」。
        1年生の授業は、F.L.ライト設計の自由学園明日館で行われています。

家づくり学校_2年生コース        5月の2年生講義「栃木の石」見学会。
        芦野石採石場にて話を聞く。

家づくり学校_3年生コース        6月の3年生講義「木造住宅の断熱設計」。
 講師の半田雅俊氏が設計したダイケン住宅のモデルハウスをお借りして講義が行われました。