建築家【 濱田 昭夫 】に関する全ての記事:

坂の家

坂の家-外観_濱田

道路から東面ファサードを見る


坂の家-室内_濱田

2階リビングの開放的な空間と眺望

この建物は山の手の閑静な住宅街のなか、急坂の中腹に建っています。
坂になっている前面道路と敷地のレベル差を利用して、地下1階地上2階のRC造の建物を、密集した周辺環境に自然に馴染ませるように配置しています。
このレベル差を活かし、道路下手からは、地階に位置する駐車場に直接アクセスすることができ、坂の中ほどからは幅の広い、ゆったりとした石張りの階段を数段上がって、1階の玄関までアプローチすることができます。
ファサードは、RC打放しのダイナミックな壁面を、敷地の前面から奥へと三枚の壁を立てたようにリズミカルに配置しています。
その構成が、周囲の環境からプライバシーを守りながらも、閉鎖的にならずに奥行を感じさせるような効果を与えています。そして、高台にある日当たりのよい南面には大きな開口面を設け、見晴らしの良い環境を活かした開放的な空間を実現しました。特に2階のリビングは、屋根を鉄骨造にして深い庇を造り、天井高一杯まで開口部を設けることによって、都心の高層ビルを望む素晴らしい眺望を生活空間に取り入れることが可能になり、重厚な壁に囲まれたRC造でありながら、開放的かつ透明感のある空間が生まれました。

 

[家づくりニュース2015年2月号掲載]

蔵町のいえ

蔵町のいえ_居間

居間東側に街を見下ろす出窓がある。
出窓の外観と部屋内の建具は、街並みにあわせて伝統的な意匠を取り入れている。


この住まいは、いにしえの蔵の街並みが今も残る城下町に建っています。
地の利を活かして、伝統が魅せる街のイメージを現代にも継承できるよう蔵の街並みに馴染むデザインを心がけました。

 

外壁を漆喰仕上とし、道路に面した正面外観の出窓には木組みの伝統的な意匠を取り入れて、街並みに自然と溶け込むような外観にしました。
建物を前面道路から少し後退した配置とすることで正面ポーチをつくり、街並みに開かれた共有スペースとしても使えるようにしています。

 

玄関へのアプローチは車庫脇のくぐり戸から入り、植栽のあるポーチを通って玄関へアクセスする雁行した動線をつくり、限られたスペースの中にも奥ゆかしさを感じられるようにしています。

 

1階には来客を兼ねた多目的なスペースと水廻りを配置し、2階に家族団らんのスペースを設けています。
1階からゆったりとした階段通路スペースを上がると、住まいで一番広い2階の居間・食堂スペースがあらわれます。

 

この空間は、傾斜天井に構造梁をあらわし、登り梁の両脇に照明ボックスを設けて、天井板の優しい木目と一体にしたシンプルで力強い空間になるように工夫しています。
居間の東側に位置する出窓は、その外観と同様部屋内の建具にも伝統的な意匠を取り入れています。

 

蔵町のいえ_玄関

建物正面左手に玄関への前庭通路がある。
建物は道路から後退して、突当りの1階に車庫を設けている。
正面ポーチは街並みに面した共有スペースとしている。

蔵町のいえ_室内

構造梁をあらわした登り梁の両脇に照明ボックスを設けている。

 

建築DATA

1階床面積 : 29.82坪           〈家族構成〉
2階床面積 : 26.95坪            夫婦+子供
延べ床面積 : 56.77坪     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年2月号掲載]

横浜近郊の家

小高い丘を臨む2階リビングダイニング。

都心から私鉄で約一時間。電車に揺られて行くうちに、コンクリートだらけでモノトーンに見えた車窓にも、ちらほらと緑が目立ってきます。この住宅は、そんな場所にあります。はじめてこの敷地を訪れた時、前面道路を挟んで南側正面の小高い丘が何と言っても印象的でした。都心からこんなに近くに、こんな自然豊かな場所があるのか! という驚き。大変個性の強い敷地に、心ひそかにプラン造りが楽しみになりました。

春には新緑に輝く木々に小鳥がさえずる窓。
夏には緑深く木々が夕立にざわめく窓。
秋には紅葉した木々から静かに葉が舞い落ちる窓。
冬には青い空にそびえ立つ木々がまぶしい窓。

四季折々、様々な色に変化する大きな窓を造りたい。
晴れの日も、雨の日も、すぐそこに自然を感じる大きな窓を造りたい。
この思いを根幹に練り上げたプランです。

小規模でもできる限り広々と感じられるダイナミックな空間を実現するために鉄骨造とし、不要な柱をなくし、動線を限りなくシンプルにしました。こうして小さいながら広々と感じられる開放的なリビングが完成しました。出来上がった大開口からは、もちろん前面に小高い丘が臨めます。
ともすると固い印象になりがちなサッシの窓枠に、十字型にしっかりとした木製の枠をつけることで、窓にダイナミックでありながらやさしい表情を加えました。
今頃は、澄み切った青空から秋の日差しが降り注いでいることでしょう。
設計を始めて早30年以上の時が過ぎましたが、この先もまた新たな挑戦を続けていきたいと思います。

1 階 :12.00 坪    〈家族構成〉
2 階 :18.00 坪     大人 2人
延べ :30.00 坪     子供 1人

濱田 昭夫 (» プロフィール)

木と紙・土の素材から「家」が生まれる。
そして、住み手にわたり、やがて家は住み込むほどに、つやが出る。
いつしか、住み手と共に耀きつづける「家」がここにある。

《角地の家》
閑静な住宅街の角地に位置する家です。
角地に沿った寄棟とし、地震に強い24cm角の大きな芯柱を入れました。2階には、高めのテラスで目線をはねて、開放的でありながら外部から少し距離を取って、落ち着いたリビングを造りました。

TAC濱田建築設計事務所のブログ

府中の家

大黒柱
 3・11のあの震災から二ヶ月後に竣工したこの建物は、工事中に大きな地震や数々の余震を体験しましたが、大黒柱に荷重を集中させることで構造体に重心が生まれ、建物全体が一体化した骨組みになり、耐震上もバランスの取れた安定を保っていました。また、大黒柱の存在感と安心感が、末永く年輪を重ねるであろう住まいへの愛着を生み出してくれるのです。大黒柱に沿うようにゆったりとした階段と広く使いやすい通路スペースが続き、屋根の形状をそのままあらわした船底天井の広くて明るい2階の空間へと展開します。

多彩な収納スペース
 造り付けの家具や床下収納などバリエーション豊かな収納スペースや収納のための仕掛けを、建物の随所にみることができます。2階床下にはデッドスペースを利用した大容量の収納があるのですが、この仕掛けは床下のメンテナンスにも役立ちます。その他、書斎を兼ねた納戸スペース、クローゼットやキッチン廻りの収納、トイレの小さな家具はそれぞれに生活上の細かな要望に答えているのです。

土間を生活に取り込む
 かつての日本ではよく見かけた土間を生活のなかに取り込むことは、住まいの動線を豊かにしてくれます。玄関から続くタイル貼りの土間スペースは、外部空間と連続して光と風を心地よく取り入れられるように工夫しています。敷地形状に合わせた変形のプランもまた豊かな動線を生み出し、建物の多様な表情をみせてくれます。

角地を活かす
 東南角に立地するこの敷地は、その形状を利用して明るくワイドな開口面をもつことが可能になります。反面、道路からの目線や開放性に対するプライバシーへの配慮が必要になりますが、外構やプランニングの工夫によって、それを解決することができます。ここでは1階のワイドな開口面からの採光と通風を十分にとりながら、優しい木目の外構が周囲からの目線を遮断し、プライバシーの確保を実現しています。

photo:府中の家_01
この住まいの一番広い空間である、2階居間・食堂スペースから階段室を臨みます。屋根の形状をそのままあらわした船底天井には、放射状に照明を配置しました。

photo:府中の家_02
玄関から続くタイル貼りの土間スペースは、外部空間と連続して、光と風を心地よく取り入れられるように工夫しています。