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建築家の心象風景 ①

 先月、作品集が出ました。
本の名前は「建築家の心象風景 泉幸甫」
 出版社から作品集の話があったのはもう5〜6年前。
話を引き受けても何となく原稿が進まず、本格的に書き始めたのは1年半前でした。
 本のタイトルは出版社からの提案で、タイトルの中にある「心象風景」のように建築家としての自己形成、ルーツも入れながらの作品集にしたい、とのことだった。
 でも自分で自分のことを書くとなると、それはなかなか難しい。第一に、多少なりとも努力はしてきたが、そんなに格好のいい人生を送ってきたわけでもなく、恥さらしのようなことを書くのはなかなか勇気がいる。それにもっと難しいのは文章にする時に、恥さらしどころか逆に自分を美化しがちになることだ。
 しかし読む方の立場から考えると、かっこいい人生物語よりエリートでもなく、曲がりくねり、時には失敗した人生の方が、また自分もちょっと頑張ればこのくらいにはなれる、位の内容の方が面白い。せっかく本を出すのであれば楽しく読んでもらった方がいい、そう思うようになってから紆余曲折の人生の話はアッと言う間に書き終えてしまいました。
 勢いに乗って書き終えたけど、振り返ってみると建築家はカッコよく見せるきらいがあるが、これから建築家を目指す若い人、また一般の人にも建築家の世界はどういうものであるか、その内実をよく知ってもらえるように率直に書けたような気がする。
 文章を書くのはあっという間だったが、作品集を作るとなると写真を集め、撮影したカメラマンに写真使用の許可を得たり、また図面を探し、編集者やデザイナーとのやり取り等、そういう手間の方がずっと大変だった。
 本はこれまでに何冊か出したから出版の流れはおおよそ知っているが、作品集となると建築と同じく手間暇かけて作る、手作りのようなもの。関わる人のヤル気によって出来が大きく変わるモノ作りの一つだが、いい方々に恵まれた。
 いずれにしろ作品集を出せたのは大変うれしかった。でも売れているかどうかは気になるもので、池袋のジュンク堂に行ったら平積みしてあった。
 また先日、今までにお世話になった方々にまだインクの匂いのする出版されたばかりの本をお送りした。その中のお一人は年賀状も何も出さずに失礼していた中学一年生の時の担任の先生で、ご存命と分かり現住所を探す事ができ、お送りした。五十数年振りのことになるが僕のことを覚えておられたら、さぞびっくりされたことだろう。

建築家の心象風景①_泉 幸甫