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団欒

有限な時間こそ胸一杯味わいたい

団欒_徳井 正樹15年愛用した床暖房に変え、二年前に我が家の居間に現れた薪ストーブ。
ホンワリと温める床暖房とは対照的に、帰郷した娘達をグイグイ束ねる求心力を持っています。

 高崎に居を移して17年余り、五人家族が三人に変わりました。現在はこの家で生まれた高1の三女と妻との三人暮らし。上二人の娘はこの春社会に羽搏き、もうすぐ夫婦二人暮らしに戻るのでしょう。
 「団欒」……今思えばこの居間で五人でワイワイ、ガヤガヤと過ごした時間がとても愛おしく感じます。
 これまで、様々な年齢のご家族と多彩な家を手掛ける幸せに恵まれました。初めて家づくりの会を通じて設計した海老名の家はちょうど築20年。あの時大学生院生だった息子さんも、今は実社会の中軸を担う父親でしょうか?
きっとあの家にも珠玉の家族時間が貯金されたことでしょう。仕事柄「その後」の暮らしぶりを拝見できる機会は、設計者の特権として最も楽しみにしている仕事の一つ。大概が点検も底々に「その後」を振り返る笑顔の報告会に切り替わるのですが、その時必ず私の知らない「その後」がそこにあることに気が付きます。 床の擦り傷、 ぎっしり詰まった本棚、手が入り始めた庭づくりなどなど、じんわりと染みこんだ家族時間の証しをそこに観る時、どこか同窓会の先生の気持ちで「良かったね」と無言で話しかけます。
 「家族が家族を意識することなく、過ごす時間は意外と短いか……?」
 52歳の年齢がそう感じさせるのでしょうが、やはり「その後も」共有する建主家族とのやり取りが、その「意外と短い」を実感させてくれます。あらためてこの原稿を書きながら、私たちの仕事を磨いてくれるのは建て主の言葉に在ると感じています。