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感覚的住宅考

感覚的住宅考_01

階段で各室が繋がるスキップフロアの家

私が若い頃、住宅はボケてるくらいがいいんだよと大先生に言われたことがあるのですが、なかなか示唆に富んだ言葉です。はっきりしない、ボヤけている、と考えていましたが、真意は曖昧です。

和洋折衷の住宅のツクリは日本独特のスタイルですが、デザイン的にはボケてるボヤけていると言ってよいのでしょう。
また、微妙にずれてしまった納まり、木目、色等も、同様に感じるかもしれません。重厚な素材を使ったものは重苦しく感じ、テカテカツルツルした塗装は落ち着かず、アルミやガラスは軽く感じ、ボヤけた感じとは対極にあるように思います。

新宿区神楽坂にある熱海湯
富士山のペンキ絵
[ネット画像を転載]

オフィスビルには上記の対極にある素材が多く使われています。
仕事をする場には緊張感がある空間がよいのでしょう。
とはいうものの、オフィスの中にもリラックスできるための部屋をつくり、新しい発想をしましょうという会社もあるようです。
銭湯やら、テーマパークやらのコーナーを作ってリラックスしましょうというのはトボケている?ような気がしますが、そういうことも受け入れられる時代になったのでしょう。

バリアフリーに配慮することとなると床は平らな方が良いのでしょうが、段差のある床や階段という不安定な部分が視覚的に入ることにより、只々広い部屋や狭い空間をも豊かにする気がします。
均質な中にどこかズレた部分があったり、透けたり、抜けたり、重ねたり、という空間構成と共に、手作り感の持つ温かさがあることは住宅建築に必要な条件でしょう。

居間~食堂に段差がある家     玄関兼階段室         小住宅の玄関階段

「なーんかいいんだよねーこのうち」と言われる家をつくりたいと思いますが、なかなか難しいことです。

[家づくりニュース2013年8月号_掲載]