Information TOP » コラム »

49年前と7年後

国立近現代建築資料館_展示室

真新しい資料室は、中央の展示台を取り囲むようにガラスケースが設けられている。

少し前ですが、湯島にある「国立近現代建築資料館」へ行ってきました。
こちらは今年開館した文化庁の施設で、旧岩崎邸庭園の隣にあるといえばお分かりの方も多いのではないでしょうか。
この施設は、世界の文化芸術の重要な一翼を担う存在となっている日本の近現代建築について、その学術的、歴史的、芸術的価値を次世代に継承するためにつくられたそうです。
貴重な図面や模型について、劣化、散逸、海外への流出等を防ぐことを目的として、各機関との連携のもと、国が責任を持って収集、保管を行うということです。

さて、その開館記念特別展示として、「建築資料にみる東京オリンピック」が行われ、早速見学に行ってきました。

国立代々木競技場_模型

初期につくられた国立代々木競技場の模型。
周辺施設や吊り屋根構造について、計画が明確にわかる貴重な資料である。

1964年に開催された東京オリンピックは、1970年の大阪万博と共に戦後日本の復興を象徴する大イベントでした。
高度経済成長という未来への確かな希望のもとに、国全体が大きなうねりの中にいた時代です。
この時つくられた丹下健三設計の国立代々木競技場は、当時の技術の粋を尽くして建設され、吊り屋根構造を用いた伝統と近代が融合した新たな建築を示しました。
新国立競技場_計画案模型

女性建築家のザハ・ハディドによる新国立競技場の計画案模型。
ボリュームも大きく、独特なフォルムは、周辺環境との関係や膨大な建設費などと共に話題をよんでいる。

また現在、二度目のオリンピック招致の目玉として、新国立競技場建設の国際コンペが行われ、女性建築家のザハ・ハディドによる近未来的な流線型フォルムの案が採用されました。
これら新旧二つの国家的プロジェクトが当時の詳細な図面や模型と共に紹介されていて、建築の持つ大きな力と希望が感じられる、とても見ごたえある展示となっていました。
折しも先日、2020年の東京オリンピック開催が決定しました。
開催については当然のように賛否両論があります。
しかし、超高齢化社会への備え、経済状況の動向、原発の問題や被災地復興などたくさんの問題を抱えながらも、社会全体が7年後を一つのメルクマールとして進んでいくのは確かのように思います。
当時とは違う、量より質という成熟した社会の中で、私たちはこれまでにない新たな変革を経験していくことになるのでしょうか。

[家づくりニュース2013年12月号_掲載]