家づくりレポート

辻堂海岸の小さな家

 辻堂海岸からワンブロック入ったところに出来た、延べ面積22坪+ロフト5坪の小さな家です。ロフトは天井の高さが1.4mのフラット天井、ロフトの窓は神奈川県の条例でロフト面積の20分の1に制限されているためロフトを明るくするほどの窓はつくることが出来ません。このため2階リビングとロフトの間に4畳ほどの吹き抜けをつくり、ここに南と東面に大きな窓を付けました。この窓のおかげで、2階のリビング・ダイニングとロフトに十分すぎるほどの光を取り入れることが出来ました。
 仕上げは床が埼玉県西川の杉材、壁と天井は紙張り、寝室と子供部屋、洗面室は建て主さんは珪藻土を自主施工しました。塗装も頑張って塗ってくれました。
 
 ご夫婦とも海のある神戸っ子で、海の近くに住みたいと東京から辻堂に引っ越しし、土地探しと設計者選びを始めました。土地も建物も自分たちの力でと頑張る姿は設計者としても応援したくなるもの。こちらに来て地域の仲間たちにも恵まれ、ご夫婦で波乗りを始め、出社前に波乗りをするほどに地元に溶け込んでいます。この家にはバルコニー下にボード置き場を、そこから直接浴室につながっています。小さいけれども建て主さんの希望と夢が叶った楽しく気持ちの良い家が出来たと思っています。 

外観:正面は四角い形ですが、後ろは勾配屋根が掛かっています。

辻堂海岸の小さな家
内観:完成祝いの食事会風景。出窓からはお隣の庭が一望、ロフトからは富士山が顔を出しています。

大磯の家

 駅からの急な坂道を15分ほど歩いて、ほぼ登り切った所にこの家はあります。敷地からは眼下に相模湾が広がり、天気の良い日には遠く大島や伊豆半島まで眺められます。周囲には木々が茂り、まるで別荘地のようです。この恵まれた景観をどう空間に生かすかが、設計の大事なテーマとなりました。
 海に向かって大きな窓を開ければ景色はよく見えますが、それがそのまま屋内環境の快適さに結びつくとは限りません。ここではあえて窓の大きさに限って、絵画の額のように景色を切り取って見せる事にしました。そしてそれぞれの窓から、生活の様々な場面でそれぞれの景色が得られるように、家の中のどこからでも海への眺望や周囲の緑が目に入るように計画しています。
 建物の形は、敷地の形になじませながら海とアプローチの坂道の正対させるために、四角形の一辺をつまんで引っ張ったような、野球のホームベースのような平面になっています。鈍角の角の所は屋内に吹き抜けになっていて、斜めの壁が小さな空間を生み出しています。屋内の壁は珪藻土の左官仕上げです。窓から差し込む海辺の強い光は時間と共にうつろい、壁に反射して拡散し、柔らかく室内を満たします。
 敷地も家も広くはありませんが、外部との関係を注意深く作ることで、広がりのある豊かな空間となっています。

大磯の家
リビングの窓は障子も全て引き込む事ができます。

大磯の家
2階ホール。正面は寝室。どの場所からも周囲の緑や海の眺めが楽しめます。

新丸子の家

題名が示すように、この家は私が今まで設計したなかでも事務所から一番近い家です。なんと歩いて数分、ラッキー!!

 クライアントはスコットランド人のご主人と日本人の奥様。さらに男の子2人。ご主人は全く日本語が話せませんでしたが、奥様の助けとブロークンイングリッシュで何とか乗り切りました。ご主人曰く、自分の英語(なまり強し!)でアメリカ人とコミュミケーションするのはかなり大変だそうです。ちなみに今までに私のクライアントで外国の方は、中国人の奥様、イタリア人の奥様、アメリカ人のご主人、中国人のご夫婦などがいらっしゃいました。

 さてこの家に関しては打ち合わせの初期でとても驚くことがありました。どのような外観の家がお好きか というようなお話だったと思いますが、ご主人がi-podで撮られた写真を私に見せて、「こんな家が好きだ」とおっしゃる訳です。見せていただくと私が設計した家が映っています。当然私のHPを調べて(どうやってか分かりませんが・・・)写して来たのだろうと思いました。でも話をするとそんな事は全く知らず、道路を走っていて気になったので撮ったとの事(その家も駅で3つ位の場所ですが)。僕は思わず得意の英語でいいましたね。You’re kidding!(冗談でしょ?!) だってそんな事あり得ます??? いくら駅3つ位の範囲と言ったって家の数は???? その中から私の設計した家の写真を撮るとは! その瞬間これはもう運命的な出会いだと確信しました、お互いに。おかげでその後は私の提案をほぼそのまま受け入れて下さり、とてもスムーズに設計が進んだことは言うまでもありません。

 近隣商業地域の防火地域だったため木造で作る事が出来ず、コンクリート造か鉄骨造の選択肢しかありませんでしたが、地盤が悪かった為コンクリート造はあきらめ鉄骨造3階建てとなりました。2階のDKがこの家の中心で、シェフになれそうな腕前のご主人が一番好きな空間にもなりました。去年の1月に初めてお目にかかり、今年の7月に引き渡したばかりのまだほやほやの新居です。

新丸子の家
好きだ! とおっしゃった家に似ていると言えば似ていますが・・
やはりこれはRさんの家です。

新丸子の家
2階のDK。いつものようにキッチンは作り付けで、
背後にはキッチンと共材の巨大な収納を作りました。

緑地沿いの家

北に緑地、南に畑と都市部ではめずらしく南北に眺望が開ける土地。それを最大限に生かすため居住スペースを南から北へ筒状に抜けるような構成としました。玄関、階段、水廻りは、寄り添うように半階ずつずらし、コンパクトにまとめています。施主さんのご希望は”毎日が別荘生活”でした。そのご希望に沿える家ができたのではないかと思っています。


北の緑地を眺めることができる窓。


玄関と半階上がった書斎


緑地の桜に手が届く木製デッキ

トオリニワの家

今度はトオリニワの家を紹介します。またしても素人の写真なのでお許しください。
3月に竣工したばかりのもので、13日14日2日間オープンハウスを行ったものです。出来立てほやほやです。オープンハウスは13組18人ばかり集まり盛会でした。皆様本当にありがとうございました。

2 年ばかり前、始めてあった施主の印象がこの家のすべてを決めたと考えます。私の事務所にご夫婦でオートバイで乗りつけたこと、話の内容、話し方それらがプランをまとめる上でキーポイントになりました。敷地を見たときのインスピレーションも最後まで持続することになりました。つまりこの家のタイトルトオリニワのある家はここで決まりました。

土足のまま裏庭にいけることは海が好きな湘南の方にとっては便利と今も思います。そしてこの家の特徴はなんと言ってもトオリニワ沿いに地窓を設けていることです。いつも足元が見られているという感覚あるいは心理状態は建てぬしもちろんのこと訪問者にとっても刺激的と考えてます。建物が浮いた玄関の庇から始まり家に入るまでの映像効果はあると考えます。

ここ地窓沿いのガーデニングは施主が自分で行うようですが、ぜひ思い思いにしてほしいと思います。
トオリニワは下足入がありません。すべて踏み込みの上がり框の下をその置き場と考えています。約20足が並列に入ります。しかし設計中やはりこれだけでは足りないと考えられ、最終的には地窓の上全部を収納壁として使っています。
トオリニワに面して廊下があり先は12畳の和室が客を迎えてくれます。この和室は2部屋に分けることができるようになっています。畳廊下を介して奥の間に入れます。当初この部屋はフローリングで考えていましたが、施主の要望を聞くうえで、そして家のしつらえとして、1階は和的空間2階はモダン空間という図式でいくことにしました。ここでちょっと予断ですが私は学生の頃、堀口捨巳の建築が好きでした。彼の設計した家の中で岡田邸にものすごく興味を引かれたことを思い出します。1枚の壁を介して一方が和の空間一方がモダン空間ということを表現しています。どちらも捨てられない状況を素直にアンビバレントな形で表現しています。話を戻して言えばトオリニワという日本の町屋が持っている言語に組みやすい和のテーストで1階をまとめるのが素直な考えと考えました。
一方2階はモダンに徹しました。2階は天井高3.6メートルでロフトがオープンな形で付いています。ロフトからは桜山の山並みが一望できます。桜のシーズンは見事な山桜が咲くと聞いています。

五枚屋根の家

閑静な住宅地の角地に建つ住宅です。道路面は低い軒先による水平線を作ることで周囲への圧迫感を抑え、車庫、廊下、居間、2階建て部とレベルの違う屋根面を徐々に重ねて行くことで奥行き感を与えました。プランは広々とした中庭を中心にしたコの字型ですが、大きく開いた南面のプライバシーを確保するために、中庭より80cmほどレベルを下げた低い屋根の駐車場で通りからの視線を遮りながらも居間からの視界を極力妨げない断面構成としました。各室からの景色は、中庭だけではなく通りからセットバックした部分を小さな庭として見せることで単調にならないよう配慮しました。また、廊下沿いに設置された水盤のゆらぎの反射光や居間とパウダールームに設置された特製のステンドグラスから透過する光が時間の移ろいを演出してくれます。