【 4人家族 】

戸外にも居間がある家

戸外にも居間がある家-室内_半田

戸外につながる大きな吹き抜けとウッドデッキ。開放感のある室内。

高性能で長寿命、しかもリーズナブルなコストを実現した住まいです。
住宅性能表示の基準で、耐震基準は最高級の等級3。
震度6強の地震でもそのまま住み続けられる強度です。
断熱性能は、最高等級を大幅にクリアー。
省エネと快適性が両立した家です。

一方、性能がよいだけでは、家族の楽しい生活が保障されるわけではありませんよね。
自分の家らしさ、年と共に微妙に変わる家族、年々よくなる設備機器等々、よい住まいには長期的な変化に対応できる包容力が必要です。
この要望を実現する秘訣は、間仕切りや設備などその時々の多様なニーズから構造フレームを自立させること。寺院や伝統的な民家を見れば、日本の木構造の寿命が、数百年以上であることは立証済みです。

戸外にも居間がある家-外観_半田

外観は、シンプルな切り妻型。居間の大きな開口部につながったウッドデッキは、戸外の居間。

住宅の床面積と敷地面積の割合は、建築基準法で地域毎に定められていますが、かなり厳しい地域でも敷地の4割以上が、戸外の余地として残されています。
室内の計画も大切ですが、現実の快適性は周辺環境あっての住まいです。
戸外計画(外構計画)を住まい計画のはじめから考えて計画すると、思った以上の住環境が実現できます。
住む人の心が豊かになる快適な住まいを実現するキーワードの一つが、敷地の総合計画です。

人生の基盤である自宅を、いかに安心で豊かにするか、そんなまじめなことを考えて家づくりをしています。

[家づくりニュース2013年11月号_掲載]

遠山杉の家

遠山杉の家-外観

(外観)南の道路側の外観。厚塗吹付材と板張でシンプルに仕上げられた2階リビングの家。

高台の住宅地、奥様の実家のすぐ近くで購入された中古住宅を新しく建替えた家です。
南道路の日当たりの良い敷地で、道路の反対側は緑地帯を介して交通量の多い幹線道路が通っています。

地味な普通の家で十分です(笑)とおっしゃる御主人が家を建てるにあたってこだわったのは、御主人が集めた3,000冊ある本を収納できる書架、御主人の郷里の信州の木材である「遠山杉」をぜひ使いたいということ、それとまだ小さな二人のお嬢さんが弾くグランドピアノを鑑賞しながら和室でゆっくりくつろぎたいということ。
対して共稼ぎの奥様の御要望はかなり現実的で、料理と洗濯、物干しの家事動線への配慮と、建物や庭などなるべく維持管理の楽な家として欲しいということでした。

遠山杉の家-内観

(内観) 玄関扉を開けた正面廊下には建物の間口の目一杯に書架が据え付けられています。

早速、家づくりの会の賛同会社であり日本中の木に関して知り尽くしている「木童」さんにお願いして、柱は遠山杉、梁は信州赤松がそれほど割高にもならずに調達できて採用できることに。

建物は南道路側に向かって開放的な2階リビングの構成とし、1階に寝室と水廻り、2階にLDKとピアノ室、和室を回遊できるように設けたオーソドックスな間取としています。
その中に書架だけは建物の目玉的な存在となるべく、建物中心の1階玄関ホールの目の前に思い切り目立つように設けました。その案を見た奥様の要望で御主人専用だったはずのこの書架も一部は奥様用の飾り棚となりましたが…。

その他、実家の家紋を玄関扉の袖ガラスに忍ばせたり、長女の名前の由来の木であるミズメサクラの木をどこかに使いたいということでシンボルツリーとして植えたり、地味に見えながらも最終的にはこだわりが一杯の家となって完成しました。

建築DATA

1階床面積  : 74.52㎡(22.54坪)       〈家族構成〉
2階床面積  : 67.07㎡(20.28坪)        夫婦 + 子供2人
小屋裏床面積 : 19.60㎡( 5.92坪)
延べ床面積  : 141.60㎡(42.83坪)
構   造  : 木造2階建て+小屋裏

[家づくりニュース2013年10月号掲載]

東村山の家

吹き抜けを中心に螺旋状に生活空間がつながる住まいです。

20代は、僕の師事した先生の彫刻的な作品制作の補助(助手)と、自らも未熟ながら立体作品をつくり美術展などに出展していました。自然界は渦を巻いているといわれますが、なぜか僕の作品も渦のような形態がよく現れました。

東村山の家_高野

リビングから庭を見る


住宅を設計するようになりこの感覚は忘れかけていましたが、この東村山の家はリビングを中心とした吹き抜け空間の周りに庭や和室、キッチン、ダイニング、書斎、子供室、ルーフバルコニー、寝室と渦を巻くようにスキップしながら空間がつながっていきます。生活動線をショートカットする吹き抜け中央のオブジェ的螺旋階段が回遊性を与え、家族とどこからもつながる大らかな生活空間になりました。

東村山の家_高野

ウッドデッキからリビングを見る


30歳を過ぎて建築の世界に入ると、ものをつくりながら言葉を使う必要性が出てきました。当たり前の事ではありますが、設計した住宅を建て主ご家族にしっかり説明し、雑誌に掲載する際もなぜこのような設計になったのか論理的に説明をする必要に迫られました。彫刻を作っていた時はそれほど言葉は要りませんでした。何かが発酵するように気持ちや心を込めて、身体を使って自ら汗を流し絞り出すように形にしていました。作家たちは皆、黙々と展覧会に出品します。作品の説明をすることもできません。有無を言わさず、理由も分からず入選・落選が決まり賞まで決まってしまいます。
落選すれば、展示されることもなく暗い美術館の倉庫から自ら作品を速やかに搬出しなければなりません、そんな世界でした。

こうやって言葉で自作を語るのも理屈をつけるのもいまだに苦手で、なかなか克服できません。多分これからも、僕は昔と変わらず敷地や建て主家族と対話し身体を使って粘土をこねるように、試行錯誤しながら家を作っていくのだろうと思っています。

建築DATA

1階床面積 : 63.96㎡           〈家族構成〉
2階床面積 : 47.08㎡           夫婦 + 子供2人
延べ床面積 : 111.04㎡(33.6坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2013年5月号_掲載]

亀戸の家

亀戸の家

キッチン上部の開口から屋上コートテラスの様子が見える


亀戸の家02

家の中心にある階段がパパの居場所

都心にたつ狭小住宅。 

敷地面積17坪・防火地域という条件に加え、3階建てにしたいという施主の要望から、木造耐火建築物として設計することになりました。木造耐火建築物とするためには、外壁の耐火性能はもちろんのこと、内部も木の軸組をすべて総厚42ミリの石膏ボードで覆わねばなりません。設備配管も、耐火被覆した構造体の外側に追い出す必要があり、通常の木造より内々の寸法が随分減っていってしまいます。

厳しい条件下で救いだったのは、敷地の両隣が旗竿敷地で、その竿部分で採光が取りやすかったことです。三方向から光を入れることができ、「どの時間帯でも暗くならないのが嬉しい」という感想をお施主様から頂戴することができました。

亀戸の家03

周囲の視線を避けつつ、いろんな方向から光を取り入れる

この家の最大の特徴はキッチンの空間です。家事をしながらプレイルームとなっている子供室の確認ができ、かつ、上を見上げれば屋上のコートテラスも確認できる高窓があります。家の内外を見渡せる空間構成は、幼児をかかえた家事のストレス軽減につながりますただ見渡せるだけではなく、空間にいろんな方向から光が入りこむこと、視線の抜けが出来ていることは、大らかなご家族にうまくマッチングしたのではないかと思っています。

 

建築DATA

1階床面積 : 38.50㎡(11.65坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 39.01㎡(11.80坪)           夫婦 + 子供2人 + 犬一匹
3階床面積 : 20.53㎡(6.21坪)
延べ床面積 : 98.04㎡(29.66坪)    
構   造 : 木造3階建て

[家づくりニュース2013年4月号_今月の家_掲載]

北側の眺めを楽しむ家

北側の眺めを楽しむ家01

リビングからキッチンのテラス戸を通して北側の緑と空が見える。


北側の眺めを楽しむ家02

寝室は屋根勾配にあわせた登り梁天井。高い天井とロフトで広がりと収納を実現。

 設計にあたってMさんが心配されていたのは、今の土地の広さで大人4人が住める家ができるものかどうか、ということでした。敷地は高台の住宅地の一角。第一種低層住居専用地域で建ペイ率40%、容積率80%の条件は確かにそんなに余裕はありません。しかも北側は急傾斜地崩壊危険区域に近接。その変わり眼下に広がる町並みを遠くまで見通すことができて気分爽快な眺めです。
そこで設計の常套手段とも言える、床面積に算入されない地下の部屋やロフトを造ることで、少しでも広くすることにした結果40坪強の面積になり、家族一人一人が自分の居場所になる部屋を持つことができました。その分リビング・ダイニングや玄関は面積を切り詰めました。南北に長い敷地のため、間取りも敷地形状に準じて南北方向を軸に計画し、リビング・ダイニングからキッチンはワンルームで視線が南の庭からキッチンの外の北デッキまで抜けるようにしました。
北側の眺めを楽しむ家03

窓からの眺めだけでなく床の段差ゼロ、引き戸でバリアフリーの浴室に。
引き戸の前に特製タイル掛け。

南側は住宅に囲まれた袋状の私道に面しているため、南側からは日差しを取り入れ、視界は空が広がる北側を主に考えました。Mさんも北側の眺めが気に入っていて、そこに広いデッキを造ることが家づくりに当たっての夢だったので、それを実現しました。

 デッキに面した浴室も好評です。設計当初、浴室はユニットバスしかできないと思われていたMさんでしたが、北側の景色を見ながら湯船に浸かれる浴室もできることが分かったので、既存のタイル張りの浴室を造ることになりました。
そこで苦心したのが、浴室配管の点検方法の確保です。この住宅は長期優良住宅の補助制度を利用していたので、そのための必要条件を満たさなければなりません。維持保全にあたって定期点検ができるようになっていなければならなのです。ユニットバスなら簡単ですが従来の施工方法では工夫が要ります。何とか点検口を造りましたが、住宅設計に当たって、これからますます維持保全に関しての配慮が必要になってくることを感じました。

建築DATA

1階床面積 : 52.9㎡             〈家族構成〉
2階床面積 : 52.9㎡             夫婦 + 娘家族2人
延べ床面積 : 106.0㎡(32.0坪)地下・ロフト面積を除く     
構   造 : 木造軸組工法2階建て+地下1階

[家づくりニュース2013年4月号_今月の家_掲載]

扇翁

扇翁_室内

狭さを感じない開放的な2階 キッチンはこの家の舞台

この建物は扇型の平面形状をもつ家族4人のための住まいです。なにもわざわざ造形のイコンとして扇型をモチーフにした訳ではありません。ご主人は30代半ばのお勤め方で、もうすぐ家族が増えることを機会に、建築条件付き(売り建て)の土地を購入し、晴れて新生活のための住まいづくりが始まる予定でした。
ところがこちらの土地は三角形状をもつ変形狭小傾斜地というだけでなく、条例によって様々な制約がかけられていました。そのなかでも大きいのは壁面後退です。壁面後退を余儀なくされた残りの土地面積はなんと12坪余りでした。この条件下によって提出される計画案は設計者に何度返しても、とても実生活をイメージできるような案はでてこなかったそうです。困り果てたあげく、売り主に建築条件を外す交渉を済ませたうえでご相談に来られました。

駐車スペースにも配慮しながら、この敷地とどのように折り合いをつかるか…敷地調査で撮ってきた写真を眺めながら、高低差や傾斜の度合いを見極めつつスケッチをしていくと、扇に近い形状がムダなく容積が最も見込めそうです。形状的には曲面も造りやすい鉄筋コンクリート構造を採用したいところでしたが、与えられた建築費用の範囲で収めるとなると構造は木造以外の選択肢はありません。この建物は北東の角を頂点に3つの同台形フレームを回転させて繋いだ構造フレームをモジュールとして、できるだけ単純化するように心がけ、全て直線で施工できるように配慮しています。また、残土処分費用が抑えられるように、内部は各階ともに敷地の傾斜なりの適度な段差をあえて設けました。2階に生じた段差は、人数の多い来客時には自然環境にある腰掛けかのように重宝し、暗くなりがちな1階北寄りの廊下を明るくする採光スリットともなります。この段差は子供達の大のお気に入りの場所だそう。ウィークポイントが逆に建物の特徴となり、狭小を忘れさせる豊かな空間が実現できたと思います。

扇翁_平面図

扇形状をもつ平面図

        

敷地面積 : 88.19㎡               〈家族構成〉
建築面積 : 37.69㎡                 大人 2人
延べ床面積 : 74.32㎡(ロフト面積を除く)     子供 2人(未就学児)
構  造 : 木造軸組工法 / 2階建て+ロフト

[家づくりニュース2013年2月号_今月の家_掲載]

ライブラリー(家族の図書室)のある家

ライブラリーのある家_2階のライブラリー2階にあるライブラリー。
手前にある小さな吹き抜けを通して1階のダイニングに陽をとりいれる。

周囲を家で囲まれ1階はほとんど陽があたらない都市型住宅の場合、一番気持ちのよい場所にしたい居間・ダイニングスペースを2階に持って行く場合が多いものです。
この家の敷地は東西に細長い敷地。東側道路ですが他の三面は2階建ての住宅が敷地一杯に建っています。通常に考えるならば、2階リビングの逆転プランをおすすめする敷地です。ところが建て主の方が選んだ決断は1階をダイニングとし、TVを見るスペースをとってほしいということ、そしてライブラリー(家族の図書室)を2階につくってほしいとの要望。
共働きなので平日家族で過ごす時間は朝と夜。だから平日の昼間の居間の日当たりは特にいらないし、子供も自分の部屋でなく共通の大きなテーブルで勉強させたい。(前の家では食卓が勉強の場所でしたとのこと)
奥さんは朝早く起きて仕事に行く前に勉強するとのことで、朝日のしっかり入る気持ちのよい場所がライブラリーとなりました。
とは言っても、設計者として1階の居間・ダイニングスペースに吹き抜けや高窓をとって陽が入り、風が抜けるように工夫をしています。
ライブラリーを造ったとばっちりで、子供部屋はベッドと収納だけのとても小さな部屋。だからか、一人になりたいとき以外は気持ちのよいライブラリーに出てきて本を読んだり勉強したり(ゲームも)しているそうです。休日にはここでご主人がストレッチをしたりPCを見たりと、しっかり第2リビングとしても活躍しているようです。
ちなみにお二人の息子さんはとっても勉強が出来るお子さん。やはり頭のよい子に育てるにはライブラリー(家族の図書室)は有効ですね!
……というか、もともと勉強の出来るお子さん達ではありますが。

ライブラリーのある家_2階のライブラリーキッチン方向からダイニング方向を見たところ。

1階:14.19 坪    〈家族構成〉
2階:13.45 坪     大人 2人
延べ:27.64 坪     子供 2人

時を重ねる家3@杉並区

時を重ねる家3@杉並区_安井 正東京の住宅地とは思えない花鳥風月を身近に感じるLDK。

 建て主のNさんは、住み慣れた杉並区で土地を探し、「隣が幼稚園の園庭」という土地と出会いました。歴史のある幼稚園ゆえ、園庭には桜やモミジが豊かに枝を伸ばしています。
 普段から私は、周辺環境の緑、四季の変化、花鳥風月といった自然の営みを身近に感じながら暮らせる家をつくりたいと思っていますが、この土地では素直にその思いを生かすことができました。キッチンの窓からは桜の気が手に取るように見え、リビングはもちろん、その延長で一体的に使える広々したデッキテラスも、正面に園庭の緑を望みます。
 共働きで子育て中のご夫婦ゆえ、洗濯、物干しといった家事動線をスムーズにするために、じっくりと話し合いを重ねプランを検討しました。洗面所に面した物干しテラス、畳室に隣接した納戸には家族の衣類が集結して収納されるなど、回遊動線でストレスなく体が動かせる工夫が織り込まれています。
 素材にもこだわりました。漆喰の壁、実家の裏山で育っていた杉の木を伐採して柱や壁に使いました。また、古いものがお好きな建て主さんゆえ、古建具や古材をデザインに取り入れて、新しい家なんだけれども、どこか懐かしさのあるほっこりした居心地の家ができました。

時を重ねる家3@杉並区_安井 正古建具を組み込んだ玄関。漆喰や焼杉の壁と相俟って、古さと新しさの混在した景色が生まれました。

1 階 :25.04 坪     〈家族構成〉
2 階 :21.69 坪      大人 2人
延べ :46.73 坪      子供 2人