【 6人家族 】

「久が原の家」子育てを楽しめる二世帯住宅

久が原の家-LD_吉原

キッチンを中心とし、自然素材を使った気持ちの良いリビングダイニング。


二世帯住居の生活スタイルは、昔とは違い随分と多様化してきています。
二世帯とされる理由としては、共働きをする子世帯が増えたこと、将来の親世帯の高齢化を考えて、実家を受継ぎたいなど様々です。二世帯住宅は生活の場が重なることにより、建築費や光熱費などの経済的なメリットがあり、実家の建て替えやリノベーションの場合には、特にその効果が大きくなります。また経済面だけでなく、急な外出や病気などいざという時に、世帯間でサポートし合えるという安心感、親世帯は子や孫と暮らせる楽しみ、子世帯にとっては家事や育児の協力が得られるというメリットがあります。そして二世帯住宅は、いくら親子といっても生活スタイルや趣味の違いがあるので、世帯間の要望をバランスよく、自由な発想でプランに纏めてゆくこと事が重要なポイントとなってきます。
各世帯間のプライバシーを確保し、みんなが集まれるパブリックな場所とそれぞれが落ち着ける居場所を考え、また親世帯が高齢となった場合のバリアフリー対策なども大切です。

 

久が原の家-ロフト_吉原

リビングに繋がるロフトは、子供たちの秘密基地。

「久が原の家」は、もともとご両親が住まわれていた家を、マンション住まいだった子世帯と一緒に暮らすために建て替えた家族6人のための二世帯住宅です。上下階に各世帯をゾーン分けすることにより、お互い気を使わないよう世帯間のプライバシーを尊重しつつも、同居することによって家事・育児が協力でき、さらに将来、介護の面でもサポートし易いように計画しました。
1階は、親世帯のためにスロープや引戸、広い水回りの計画などにより「バリアフリー」に配慮し、趣味の庭いじりも楽しめるプラン。2階はキッチンを中心とし、ダイニング、リビング、子供スペースと繋がる、子世帯が「子育てを楽しめる家」がテーマの住まいとしました。

 

建築DATA

1階床面積 : 78.66㎡(23.79坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 82.81㎡(25.05坪)            両親+夫婦+子供2人、計6人
延べ床面積 : 161.47㎡(48.84坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2015年5月号掲載]

春日部のいえ/2.5世帯で住む住まい

春日部のいえ_室内_福田

2階の居間は勾配天井にして梁を見せて、小さなお子さん用にブランコがかけられるようにしてあります。


この度、家づくりの会に入会させて頂きました、福田建築設計事務所の福田隆一と申します。
会に入らせて頂くきっかけとなったのは、6年前に現事務所を立ち上げ独立した際、たまたま建築雑誌でみた家づくり学校生徒募集の文字。
この学校に出会い設計者として建築家としての心構えを勉強させていただいたことが、今の入会につながっています。
家づくり学校とは、家づくりの会の先輩方が運営されており、良質な住宅設計を目指す若手設計者に向けた、実践型カリキュラムを4年間で学ぶ学校です。
(先日、建築学会の教育賞も受賞されました。僕はかろうじて若手で入れてもらえました。)
独立したての右も左もわからない時期に、この学校に出会えたことはとてもラッキーなことでした。
今回、会に入会させていただき、よりよい家づくりを提供していけるように、皆さんといっしょに勉強しながら楽しく活動していければと思っております。
よろしくお願いします。

 

春日部のいえ_室内02_福田

1階の居間は、明るめの色味で統一し落着き感を持たせました。

まだ独立したばかりで、実績は少なく、ご紹介できる物件は本当に限られてしまうのですが、去年竣工した2世帯で住まう家をご紹介したいと思います。
この家は、地元の足立区の大工さんから紹介を頂いたお施主さんの家です。
細かく言うと2.5世帯となる大家族の家となります。
いままでお互い離れて住んでいた人たちが集まって一緒に住むということはやはり課題が多く、家に対する思いの違いや世代間の生活感の違い、お金に関する感覚の違いや時間のずれ・・・などなど、住む人みんなのヒアリングからスタートし、意見のまとめに右往左往しながら、何度も何度も、間取りを練り直しやっと出来上がった気持ちの良い家です。
生活空間は1階と2階で分け、インテリアに対する趣味の違いや、生活への思いの違いを分けました。
なるべく素材も自然なものを採用し、小さなお子さんにも本物に触れることのできる空間ができたと思います。周辺は田んぼに囲まれたとても環境の良いところです。
カエルの声、合唱を久しぶりに聞きました。
末永く、仲良く住み続けていただけたら、うれしいなと思い、願います。

 

建築DATA

1階床面積 : 70.38㎡(21.28坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 70.38㎡(21.28坪)            祖母+母+若夫婦+子供2人
延べ床面積 : 140.76㎡(42.57坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年10月号掲載]

参道の家14

参道の家14外観_松澤

開放的なバルコニーを2、3階にL字で、屋上にはもっと素敵な場所が!

大きな神社の参道沿いの敷地に建つ住宅です。
風致地区に指定された緑豊かな環境ですが、準防火地域でもあり、法的な規制のクリアが大きな課題となりました。
建ペイ率が40%のため、2世帯の家族の必要な部屋を確保するためには3階建てにしなければならず、今回は準耐火構造(一部燃え代設計)とする事で、木造3階建てで、出来るだけ木を露出させた家を実現する事が出来ました。

 

外部は周辺に合わせたモルタル塗りの上、塗装仕上げです。
バルコニーは出来る限り参道の木々の緑を楽しめるように開放的にして、特にロフトにつながる屋上のバルコニーからの景色は最高です。
参道から出入りが出来るギャラリーは、家族や友人たちと音楽を楽しんだり、庭でバーベキューを楽しんだりできて、先々は近所の方との交流の場となればと考えています。

 

玄関は参道と反対の東の通りにつながっていて、大きな木戸を開くとギャラリーのテラスともつながります。
アプローチから玄関はいつもの安田瓦の敷瓦を敷きこんであり、重厚な500年生の杉板の玄関戸に導きます。
内部は漆喰と木の仕上げになっていて、無垢の床板(桧・胡桃)+床暖房部分と、無垢の杉板部分が大半を占めています。お母さんのためのエレベーターが設けられ、生活空間の中心は2階となります。
夫婦と子供の個室は3階に、個性豊かな空間として設けられています。

 

1階のギャラリーの水廻り、2階のキッチン、3階洗面部分には建て主さんがじっくり選んだモザイクタイルが貼られ、いつもの木の家とはちょっと違っています。
ただし、栗の末口(細いところ)450ミリの1~2階の通し柱がやっぱりと思わせます。

参道の家14室内_松澤

障子を開けると参道の緑が飛び込んで来ます。

 

建築DATA

1階床面積 : 57.01㎡(17.25坪)                 〈家族構成〉
2階床面積 : 58.67㎡(17.75坪)                  お母さん+夫婦+子供3人
3階床面積 : 58.67㎡(17.75坪)
R階床面積 : 9.50㎡(PH、ロフトのため延べ床に含まず)
延べ床面積 : 174.35㎡(52.75坪)    
構   造 : 木造3階建て(準耐火構造)

[家づくりニュース2014年9月号掲載]

桜川の家

2階のLDK。東側の通りに向かって大きな開口を設けているのが特徴。


公園の近くに2世帯の住宅をつくりました。
依頼を受けたのは息子さんからで、大学で建築を専攻していたといいます。

 

その彼から最初に言われたことが
「完全別居の2世帯です。
 玄関を行き来するぐらいはいいのですが、互いのプライバシーを大事にした作り方にしてくださいね。」
建築家という人たちは、建て主さんが望んでいないことでも「こうしたらどうですか?」とサプライズ提案を出すことがあるのを知っているからなのでしょう。

 

設計工期の短い中で時間を無駄にしたくないという思いから、初対面の私に対して、念押しされたのだと思います。

工事の進行中、現場をしょっちゅう見に来ていたお父様。
「1階のうちのほう暗いんじゃないかなぁ。
 息子たちのほうって2階で明るいよね。
 孫の世話は上でやることにするよ。
 息子のところは24時間空調だし、息子たちの留守番でちょうどいいからさ。」

 

法規上の採光計算はやっているので、そう滅多な事はないのですが、周りの状況によっては思った以上に暗く感じることもあります。
仮囲いシートがはずれる前とはいえ、私も内心、どきどきでした。

 

1階のLDK。手前の掘炬燵のあるところが仏間兼居間。
奥にキッチンとダイニング。

工事の終盤に入って仮設シートがはずれたとき、1階にはしっかり光が入り込み、お父さんの心配は払しょくされました。
もちろん、2階はもっと明るい状態。

 

つい先日伺ったら、一家団欒の食事は、お母さんとお嫁さんが交互に作り、1階で食べたり2階で食べたりしているのだそうです。
互いが本当によく行き来しています。

 

それだけ仲が良いのだったら、お互いの領域をもう少し絡ませても良かったかも知れませんね。

 

建築DATA

1階床面積 : 97.25㎡(29.42坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 101.65㎡(30.75坪)           両親+夫婦+子供2人
延べ床面積 : 198.90㎡(60.17坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年5月号掲載]

若林の家

若林の家_室内01

ロフトからリビングを見下ろす。窓の向こうには、ルーバー手すりで囲われたバルコニーと花壇。


密集地に建つ3世代6人家族の住まい。
一般的に、家族の人数に応じて部屋数も増え、各部屋の広さも限られてきます。
特に密集地で斜線制限が厳しい場合は顕著です。
そこで、なにか特別な建築表現や構成を追い求めるのではなく、これまで大切にしてきた通りに、設えや納まりと言った、生活の背景を丁寧に設計することを心がけました。
リビングは採光と通風に優れた2階にあります。
2階リビングの利点は、高い天井をつくれること。
ここでは、切妻屋根のかたちに合わせた船底天井としました。高いところで3.6mあり、ロフトともつながっています。
このように天井を高くすると、実際の面積以上の広がりを感じられるようになります。
リビングの窓先には、背の高いルーバー手すりで囲まれた少し広めのバルコニー。
テーブルと椅子を置ける程度の広さです。
また、屋上緑化システムを使ってつくられた花壇もあります。
好みの草花を植え、ルーバー手すりにはつる性植物を絡ませて緑のスクリーンとなる予定です。

 

家の各所にほどこした設えの一部もご紹介します。
玄関まわりでは、玄関扉やポスト口などを木で一体につくりました。
まとまりのあるデザインとすることで、木や漆喰などの素材をより純粋に楽しむことができます。
内部には同じく木でつくり付けたベンチがあって、差し入れられた郵便はその上に出てくる仕組みになっています。
寝室として使う和室には、障子とは別にガラリ戸を設けました。
夏の夜に窓を開けて寝るための工夫です。
やわらかい光が室内を満たし、揉紙を貼った収納、漆喰壁との相性も良さそうです。

若林の家_玄関

玄関内のベンチ。波板ガラスの下がポスト口になっています。

若林の家_和室

モダンな雰囲気の和室。ガラリ戸は壁の中に引き込むことができます。

 

建築DATA

1階床面積 : 13.78坪           〈家族構成〉
2階床面積 : 18.22坪            夫婦+子供3人+母
ロフト面積 : 6.29坪
延べ床面積 : 38.29坪     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年4月号掲載]

記憶を受継ぐ家

記憶を受継ぐ家-外観_吉原

昔の面影を残しつつ、生まれ変わった外観。


以前、ここにも書いた住まいが完成しました。
この住まいは、築40年近くとなる木造2階建てのリノベーションです。
昭和56年以前の建物なので、現在の耐震基準を満たしておらず耐震性に不安があることと、親世帯だけで住んでいた住まいを、子世帯と共に住む2世帯住宅につくり直せないかと計画が始まりました。

 

愛着ある住み慣れた住まい。
親の代から住み続けられ、数々の思いでが刻まれた家族の居場所。
新築かリノベーションかと随分迷われましたが、後世代に家の記憶を残し、2世帯それぞれが程よい距離感が保てるよう全体的にプランを考え直し、構造や断熱、設備なども、もとの性能以上にし建物を再生させることとなりました。

 

古いモノを今の生活に取り込むリノベーションは、新築とは違った様々な発見があります。
古いモノの中に見つける新しい価値、キズのついた柱や梁、年季の入った障子や欄間は、家族の歴史を表し、空間に奥行を与えてくれます。
何十年も使い込まれたモノだからこそ味と深みが生まれ、住まいにくつろぎや落ち着きをもたらします。
古いものと新しい技術が程よく織り交ざった住まい。
以前の家の記憶を残しつつ、次の世代に受継がれる住まいとなりました。

 

記憶を受継ぐ家-室内①_吉原

井が落とされ開放的になった室内。
子供部屋のロフトに繋がる小窓。

記憶を受継ぐ家-室内②_吉原

書院格子や障子、古材などを再利用、無垢板や漆喰など古い材料と馴染む室内。

建築DATA

1階床面積 : 33.03㎡ ( 40.24坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 72.71㎡ ( 21.99坪)            両親+夫婦+子供2人
延べ床面積 : 205.74㎡ ( 62.23坪)     
構   造 : 木造2階建て+ロフト

[家づくりニュース2014年3月号掲載]

子供の成長を育む水庭の家

子供の成長を育む水庭の家-写真01

水庭と屋上、そして内部の回遊動線が接続し、多様な繋がりを生みだしている。

少子化が進む中、小さな男の子4人兄弟ということ自体が『家族の個性』と言えます。

内部に入ると、LDK、子どもスペース、玄関、廊下が一体となった平屋のワンルーム空間が広がっております。
家の中心に配置した中庭には水が張られ、子ども達にとっての格好の遊び場に。
もともとオープンな家族関係を理想とし、個室の子ども部屋は要らない。
さらには、玄関らしい玄関も要らない。というご夫婦の考え。
最初の提案は、水庭ではなく、ウッドデッキを敷いた中庭だったのですが、奥さまが「水を張ると面白くないですか?」と。
「面白いですね~、でも掃除はどうしますか?」と伺ったところ、
「言った私が責任取ります」って感じのコミュニケーションにより、この『水庭』が実現しました。

子供の成長を育む水庭の家-写真02

水庭を、体一杯に楽しむ子ども達の様子。

家族の夢が詰まった『水庭』。
皆、この水庭が大好きなので、家族総出でお掃除します。
苦になるどころか、水庭のお掃除は、家族のコミュニケーションの大切な場にもなっているそうです。

こちらの住宅は、5年前に完成しました。
お引き渡し後も、建主さんとは連絡を取り合っており、子ども達の成長を報告して下さいます。
頂いた手紙の一文をご紹介。

長男:気分転換に、よく一人で屋上にいます。叱られた時などは、スッキリするようです。
次男:広い家を存分に散らかす天才。今日もあっちこっちで宿題を開けた形跡があります。
三男:家中を所狭しと走り回っています。
   朝日の差し込む部屋で目覚めるので、すっかり寝起きが良くなりました。
四男:足取りも安定して、いつも3人の兄の後ろを一生懸命付いていきます。
   家の中に響く、可愛らしいテペテペという足音は、彼のモノです。

建築DATA

1階床面積 : 115.93㎡(35.0坪)      〈家族構成〉
構   造 : 木造平屋建て          夫婦 + 男の子4人

[家づくりニュース2013年10月号掲載]

KAPPAはうす

岩手県遠野は、日本の原風景を残しているだけでなく、カッパや座敷わらし、キツネや馬との恋など、言い伝えや物語に溢れた不思議なところです。
「KAPPAはうす」は、そんな遠野の、長閑な田園風景の中に建ちました。
ご主人は、大阪のご出身。奥様は与論島。
お二人が四人のお子さんをもうけ、この地に骨を埋める覚悟を決めるまでにも、遠野の伝説に負けない物語があったに違いありませんが、今回は、秘密のままにしておきます。

KAPPAはうす_外観

遠野の長閑な風景の中にぽつんと溶け込んでいます。
右斜め手前の方向に、車で10分も走らないところに河童淵があります。


東西にまっすぐ伸びる農道に合わせて、低い軒を長く見せるようにしました。
高さを抑え、普通に、目立たず、完成した時に、ずっと前からここに建っていたような…。
小さな盆地に外から入ってきたご家族が、自然に、人にも風景にも馴染んでしまう。
そんなことを、イメージしました。
列柱縁側に面した開口部、風をぬきながら北に広がる風景を眺める小さな開口部。
いつでも遠野を感じられる工夫です。

KAPPAはうす_室内

リビング、和室の見通しです。左側には縁側デッキと広い庭が広がり右からは小窓から北の風景がのぞけます。
床は岩手の栗。床柱はエンジュ(岩手県に多く自生しています)。杉も地元です。見えない構造には、岩手県推奨の唐松集成材を使っています。
五月五日の新築祝いには、床の間に立派な甲冑が飾られました。

材料にも拘ってみました。
[岩手県のもの]
 栗のフローリング、杉、
 県推奨の唐松集成材、
 エンジュ床柱
[大阪のもの]
 池田炭  
[赴任していた山形のもの]
 紅花漉き込みのふすま紙
[与論島(沖縄)のもの]
(注・与論島は鹿児島県です)
 ウコン和紙、月桃紙
故郷を思いながら遠野の生活に溶け込みます。

KAPPAはうす

北面の小窓は、北に広がる(上部写真参照)遠野の風景を眺めるためと通風のためのものです。
北風が強いので、小さく風景を切り取るようにしました。リビングや階段の上り下り、浴室、書斎から眺めることが出来ます。

厳しい遠野の冬を快適に乗り越える事が、第一のご要望でした。
断熱性能は北海道を目指しました。気密性能もC=0.88と、基準の半分以下。自然素材の暖かみと合わせて、快適な冬が過ごせます。
夏は田んぼをかける青い風が気持ちよく抜けていきます。

五月五日の新築祝いの一週間後には、家族で畑を耕し、家庭菜園の準備にかかっていたそうです。
新しい生活が始まります。

[追記]
新築にあたり、ご主人はファイナンシャルプランナー、奥様はインテリアコーディネーターの資格をそれぞれ取得。夫婦力を合わせての家づくりでした。

建築DATA

1階床面積 : 36.36坪               〈家族構成〉
2階床面積 : 25.20坪               夫婦 + 子ども4人
延べ床面積 : 61.56坪     
構   造 : 木造軸組工法 地上2階建て

[家づくりニュース2013年7月号_今月の家_掲載]

リノベーションという選択

骨組み状態のみになった建物


ただ今、築三十数年となる木造2階建て住宅のリノベーション工事中です。
キッチンや浴室の一部やり替え、壁紙の張替えなど比較的小規模な工事をおこなう「リフォーム」と違い「リノベーション」とは、建物を柱と梁だけの骨組み状態にして、新たに間取りを考え直し、耐震補強をおこない、老朽化した設備配管などを取替え、もとの建物性能以上に再生させる工事のことです。

現場にあった鶴と松の書院格子

もともとはご両親が住まわれていたこの住まい、子世帯に孫が生まれたことをきっかけに、2世帯住宅として一緒に暮らすことができないかと計画が始まりました。

現場は、都心の道路より奥まった緑に囲まれた静かな環境。
室内に入ると床はたわみ多少ガタがきているものの、手の込んだ欄間や格子戸、立派な床柱、庭の眺めなどが目に入りました。

建替えか、リフォームか? 
と悩まれた末、後世代に家の記憶を残し、2世帯が程よい距離感が保てるようプランを考え直す、リノベーションという選択となりました。
リノベーションとする理由は、住み慣れた家に愛着がある、継いだ家を守りたい、建替えると面積が減ってしまう、少しでもコストを抑えたいなど様々です。
木造住宅は柱と梁が構造体となっているので改築しやすく、大きく間取りや水回りを変更しても適切に設計してゆけば何世代にも渡って住み続けることが可能です。

完成予定模型

完成予定模型

先ずは、骨組みの見直しです。
建物の構造基準は、昭和56年に「耐震」に対する考え方が根本的に改正されました。
このことから、改正以前の基準の建物を「旧耐震の建物」、以降の建物を「新耐震の建物」といいます。
旧耐震の建物は、現状の耐震診断をおこない、今の構造基準を満たすように補強計画を考えなければなりません。

表面的な化粧直しだけでなく、構造補強や断熱性能を高めるリノベーションは、新築に近いコストが掛かります。
東京都では、耐震補強工事やバリアフリー改修などに掛かる費用の一部を助成する制度もあるので要チェックです。

解体工事を終え、骨組みだけになった建物は壮観です。
親の代から住み続けられた住まい。数々の家の思い出。
次の次の世代と同じく、新たに生まれかわるための準備です。

建築DATA

延べ床面積 : 62.23坪           〈家族構成〉
構   造 : 木造2階建て         両親 + 夫婦 + 子供2人

[家づくりニュース2013年6月号_掲載]