家づくりHowTo

水もしたたるいい建築

水もしたたるいい建築_根來

雨によって輝きを増す芝生、瓦、砂利、深岩石

お引き渡し前に雨が降ると、チャンス!とばかりに現場に足を運びます。
晴れ間の時に現場に行くのは気分も良いのですが、雨の日に行って、水のしたたり具合を確認することも大切なのです。
こちらの住宅の周辺環境は、市街化調整区域ということもあり、畑や樹木が多く、樋を付けても直ぐに葉っぱが詰まってしまいます。ですので、樋は設けず、雨水は軒先から垂れ流しにしています。
軒先の納まりやデザインも大切なのですが、足元の設計も大切。雨水を浸透させることと、水跳ね対策を目的として砂利を敷いています。屋根の入隅は雨水が集中するので、水は勢いよく放物線を描いて落ちます。その部分の砂利スペースは、より大きくするなどの配慮も必要です。放物線の足元に水瓶を置くと、なお雰囲気が良くなりそうですね。
芝生は植えたばかりで未だ根付いておりませんが、雨は自然の恵みとなり、その後は青々と茂ることと思います。昔は、雨の日はジメジメして好きではなかったのですが、近年は、植物が活き活きとした表情を見せるので、結構好きです。
四季があるのと同様、雨の景色も日本的な魅力なのだと思います。

 

我思うに、晴れ間に映える建築も良いのですが、雨の似合う建築って良いですね。
そんな建築を目指したいと思っている今日この頃です。

 

[家づくりニュース2016年6月号掲載]

素材探訪「焼き物~タイル」

「ご依頼主の希望は100%叶えたい!」
「もっと言うなら120%の満足感を味わってほしい!」

 

そんな気持ちで、住宅設計に取り組んでいる家づくりの会メンバーは今日も、もっと良い家づくりは?と日々の生活で、仕事で、まちを歩きながら、建物を見ながら、ずっと考えています。
その中で、モノづくりの現場に足を運ぶ事も大事な機会で先日、「土を学ぶ」として、愛知県まで行ってきました。建築で「土」というと土壁や左官を思い出しますが、今回は「焼き物~タイル」です。

 

素材「タイル」

今回の見学にご協力頂いた(有)ベイス・横井氏

タイルは、紀元前2700年から使われる歴史ある建築素材で、製作工場や土を採取する土場に出向き、素材の可能性を身体に染み込ませてきました。
今ではタイルというと、大量生産され、均一的な雰囲気で、汚れ知らずの無機質なイメージですが、1枚1枚を手で造られ、土の風合いを残したハンドメイドタイルは、もちろん高温で焼いてあるので堅く耐久性は抜群な上、温かみのある優しい雰囲気を持ち、タイルの魅力を存分に味わう機会になり、今日も、この素材を最大限活かすには?とワクワクしています。
大切に造られた素材を使った家は、ホントの意味で、自分たちだけのオンリーワンの家になりますね。

 

[家づくりニュース2016年4月号掲載]

ローコストコンクリート外断熱

鉄筋コンクリート(RC)の住宅において、熱容量の大きいコンクリートを外側から断熱材で包み込むというRC外断熱工法は、断熱性・蓄熱性に優れ、その効果は北海道の住宅設計の経験から冬季暖房停止後の室内温度降下の点において大変大きいと感じています。
そのRC外断熱の一つの方法として、外壁の外装材として捨て型枠同時打込みタイプの複合断熱パネルを採用し、コストを圧縮する工法があります。それによって外部型枠のコストを削減することができ、内側塗装型枠を脱型した時点で内外装を施さなくても、有効な断熱性能を有するほぼ仕上がり状態の壁となります。実際にはコンクリート打設の出来不出来が仕上げの状況に直結するため、型枠割付や細部ディテールの決定等打設前の打合せは密を極めますが、結果としてコンクリートが良好に打設された後は、仕上げ工事も単純化でき、実質的な断熱効果はとても大きいと考えています。
私は、家で長い時間を過ごす(インドア派の)クライアントにはコンクリートの外断熱を勧めることが多くあります。
それは、家に住み慣れていく時間とともに、コンクリートの躯体が蓄熱体となってその家族にとっての快適な温熱環境を創り上げていくからなのです。

 

[家づくりニュース2016年3月号掲載]

天井を照明器具に 〜LED照明器具を使った間接照明〜

これまで使っていた照明器具がいつの間にか廃盤!慌てて代替品を探すことがあります。
原因はここ数年、電球や蛍光灯がLEDへ移行していることです。
LEDの良さは何と言っても長寿命、高効率。加えてデザイン的には光源が小さいことです。

 

天井を照明器具に-01_小野

写真①

写真①は間接照明にLED照明を使った例です。
右手の濃げ茶色のBOXには上部にLED、下にはロールスクリーンが入っています。

 

この照明は天井を照らし、その反射光で明るさをとります。
器具の形状は、高さ33㎜×幅22㎜と小さい断面の細長い棒状で、連結をして長さ4.2メートルにしています。
明るさを調節できるように調光スイッチをつけており、明るい側に調光すると充分な明るさで全般照明の役割を果たし、天井自体が照明器具のように。

天井を照明器具に-02_小野

写真②

暗めにすると雰囲気がでて、写真②のようになります。

 

これまでLEDには目に眩しさを感じ、積極的には使ってきませんでした。
しかし「長寿命」「器具が小さい」という特性を活かし、間接照明のような光源を見せない「建築化照明」は作りやすくなりました。

 

今お住まいのお部屋でも、スポットライトを使って天井を照らせば、即席に間接照明が作れます。
就寝前の落着きたい時間帯にお薦めの明かりです。

 

[家づくりニュース2015年11月号掲載]

本棚について

撮影:株式会社スパイラル/小林浩志

住宅の設計では、ほとんどの場合、本棚の設計図が必要になります。本棚は思ったより設計が難しいものです。
雑誌から始まり文学書、専門書、写真集、展覧会のカタログ、百科事典等、仕舞いたいものは多岐にわたります。ということは装丁もすべて違うため、美しく本を収納しようと思うとかなりの検討がいります
設計実務では、寸法を本に合わせ、それも高さは指がしっかり入る寸法を加えて無駄なく高さを整え、図面化し、実物の本棚として住宅に造り付けます。そもそも文庫本、新書、単行本、雑誌の類では奥行も高さも違い、さらには、CDやDVDの収納も大切です。

 

本棚は、一般的には重くて大きな本は下段に入れる。また紙質の関係で湿気にかなり影響を受けやすい本は、高めの位置に入れることが多い。また地震が心配な場合は、本の前に5mm位の立ち上がりを木でつけて本の落下を防ぐ方法もあります。ただし、この方法は立ち上がりが邪魔になって掃除がしにくい。やはり地震対策には、本を幅いっぱいに、きつく本棚に仕舞うことがいちばん良い

 

根本的に住まいの本棚と本屋さんの本棚は違います。本屋さんの本棚は明らかに本を目立たせるように出来ていて、本棚は目立ちません。一方で住宅の本棚は、家の居心地に関係がありますので、本棚がやや目立ち、本はその次に目立つように考えてつくります。つまり本棚の厚みを厚くつくり、縦仕切りを細かく入れています。

 

[家づくりニュース2015年10月号掲載]

収納で差が出るハウスメーカーv.s.建築家

家づくりHowTo-キッチン_白崎ハウスメーカー? 建築家? で迷っている方に、こんな見方もしてもらいたいと思います。
よく「建築家=オーダーキッチン」という図式で思われがちです。確かに建築家の住宅でオーダーキッチンを見かける例が多いと思います。ですが、キッチンの周りにも目を向けて下さい。ハウスメーカーでは、収納家具はお客様が自分で市販品を購入してくるか、既製品の収納家具を据え付けることが殆どです。建築家はというと、オーダーキッチン以上に、造り付け収納とすることが多いです。
理由は、スペースを無駄なく使えるキッチンのインテリアデザインに統一感が出る等が主なのですが、コストを抑えられる場合も少なくありません。
家具のコストは、「既製品 > 現場に入る家具屋さんの造り付け家具」となります。
これは大量生産なのか一品ものかの違いによるものですが、実は、一式を家具工事にするのではなく、棚は大工さん、扉は建具屋さんと工事分けをすると、既製品よりも安く済ませることが可能。一番安いのはオープン棚で、建具工事なしということになります。扉も枚数を少なくすればその分だけ安くなります。ただし、気をつけたいのは引出収納です。引出は家具屋さんでないと難しく、収納量の割に高くついてきます。そのバランスを見ながら、建築家は提案していきます。ハウスメーカーは設計をしないので、既製品を選ぶだけになります。

 

雑誌やネットで設計者選びをするとき、収納をどうしているかにも注目してみて下さい。

 

[家づくりニュース2015年9月号掲載]

お風呂は作るか、システムバスか?

Howto-お風呂は作るか、システムバスか?_石黒-01住宅の中でも重要な要素のひとつである「浴室」について考えてみたいと思います。
設計の依頼を受けて、浴室の話になった時に、積極的に色々と希望を話してくれる建主さんもいれば、システムバスで十分です、という建主さんもいます。
奥さんはキッチンにこだわり、ご主人はお風呂にこだわる、、、なんていう事をよく耳にしますが、統計を取ったことがないのでよく分かりません。
どちらもメリットとデメリットがあります。
システムバスは機能的でメンテナンスもしやすく工事も楽です。
2階以上に設置する場合は水漏れの心配も少ないです。
一方、床や壁にタイルや石を貼ったり、天井に木材を使ったりして「作る」タイプの浴室(=在来浴室)は温泉旅館のような、気持ちの良い演出をすることが出来ます。
好きな位置に開口部を設けることもできて、バスコートに出るような動線を計画することも可能です。
システムバスは安価なタイプから高級グレードまであり、予算の調整はしやすいです。
Howto-お風呂は作るか、システムバスか?_石黒-02在来浴室も使う材料や設備によって安くあげることも高くなることもありますが、一般的には、システムバスより高めかと思います。

どちらがおすすめですか?と聞かれれば、メンテナンスが得意で予算に多少余裕があれば、在来浴室にしてはどうでしょう?と答えます。
中間を取ってハーフユニットという、腰から下がシステムバスで腰から上、天井までは好きな仕上が出来るタイプがあるので、そんな方法もあります。
これでもかなり個性が出せるのでお勧めです。

 

[家づくりニュース2015年8月号掲載]

夏と冬で変わるお気に入りの場所

夏と冬で変わるお気に入りの場所-冬_akanuma

写真①:冬の様子

まだ陽射しも低い十二月、久しぶりに以前設計したお宅に伺いました。
その家は木造3階建てで敷地周辺に隣家が迫っていたため2階のリビングとダイニングを階段廊下でコの字型につなぎ、南面した9畳程の中庭から採光や通風、視界の抜けを確保しています。

 

写真①は冬、中庭に面した廊下の造り付ベンチです。
背当付のソファーと毛布が置かれ低い陽射しがよく入り暖かくて昼寝や読書をするお気に入りの場所になっていました。

 

夏と冬で変わるお気に入りの場所-夏_akanuma 

写真②:夏の様子

 

写真②は夏の様子。
高くなった陽射しは3階のバルコニー軒やコの字型のプラン、ゴーヤカーテンである程度制御されますがやはり暑い、少し地下に入った涼しい1階アトリエがお気に入りの場所になっていました。

 

設計では、陽射しや風の流れ、季節や時間の変化などを考え、住み手の暮らしを想像しながら全体を構成していきますが、実際の暮らしぶりを拝見する度に様々な発見があり、住まいは日々の暮らしの中で住み手によって作り上げられていくものだと実感しています。

 

[家づくりニュース2015年7月号掲載]

ハンディの有る部屋に天窓を設ける

ハンディの有る部屋に天窓を設ける-02_山下プラン検討する中で敷地内のどの位置にどの部屋を配置するかを検討しますね。
採光や通風、そして部屋から見える景観から「○○部屋は一番良い所」と言う風に優先順位を付けます。でも、全ての部屋をベストな環境に配置出来る訳ではありません。その場合、滞在時間が長く利用頻度が多い部屋から優先順位を付ける。そう、リビング・ダイニング・そしてキッチンの順のように。そうなると一番ハンディキャップの高い部屋と場所にはトイレやお風呂・脱衣室となる。
でもこの部屋だって採光や通風の確保を怠ると居心地の悪いものとなります。

 

そこで気が付いたのが天窓の採用でした。
部屋の位置や天井高さにも関係するが、少し高めの空間でも結構気持がいい。さらに予算が許せば電動式として容易に開閉出来るものをお勧めします。
ハンディの有る部屋に天窓を設ける-01_山下天窓から入る自然な光はとても均等で、ついトイレに居る時間も長く成る。脱衣室も同様、朝日が入る洗面室はとても気持のいいものです。そして、湿気が溜まり易い場合でも天窓を開ければ心配はいりません。
そうする事で、家相検討の際に悩みがちな方位からも柔軟に対応が出来、よりすばらしいプランが生まれるのです。

 

[家づくりニュース2015年6月号掲載]

北の緑と半外部空間

北の緑と半外部空間_村田

北の緑(若林の家)

住宅を設計するとき、庭は敷地の南側に計画することが一般的です。南の庭がオープンスペースとなり北側の建物への日照を確保するとともに、きれいな緑を楽しめます。ただ、そのような恵まれた広さの敷地を手に入れるのは、土地取得の費用がかかりなかなか大変です。まとまった大きさの庭が確保できない場合も多いですから、要所に緑を配して、家の各所から緑を楽しめるように意識して設計しています。

 

30坪の敷地に建つこの家は、家族の人数も多く庭はさほど大きく取れませんでした。ですので、小さな緑を分散して配置しています。
写真は、そのうちのひとつ。
北側からアプローチする玄関から道路を見ています。手前にベンチを作りつけたポーチがあって、その向こうが一坪ほどの植栽スペース。そして道路という具合です。南からの陽射しを受け明るく輝く緑が、玄関の扉を開けると目に飛び込んできます。
なかなか素敵でしょう? 
北の緑は、計画次第で魅力的に楽しめます。ここには、魅力的に見えるポイントがもう一つあります。それは、壁や天井に適度に囲まれたポーチが玄関と緑のあいだにあること。このような囲われた場所を半外部空間と呼びます。内と外のあいだに半外部空間があると、より緑を楽しめるようになるのです。

 

[家づくりニュース2015年5月号掲載]

上棟式

上棟式-01_落合 昔の上棟式は、福を分けるという意味合いもあって近所の人たちに屋根の上からお餅を撒いたりと盛大にしていたそうです。
最近では上棟式を行わないところもあります。
 でも、上棟式は建て主さんと職人さん達の顔合わせという意味もあるので行った方がよいと私は思っています。
(一生に一度、出来るか出来ないかのとても思い出になる行事ですしね)
 建て主さんの方も、どんな職人さんが工事をしてくれるのか知りたいでしょうし、職人さんも、どんなご家族が新しい家で暮らすのか知っておいた方が仕事の張り合いもあるというものです。

 

 

上棟式-02_落合

 

 

 

 

 

 

 

 

上棟式は建方の当日、棟上げ後の夕方から行うことが一般的です。
(工務店によっては実際の棟上げ時ではなく、棟上げ後の週末に行う工務店もあります)
上棟式-03_落合 戸建て住宅の場合、特に神官は呼ばずに、主に鳶の親方が仕切ることになります。

 

 棟柱に上棟札を棟梁が取り付け、鳶の親方、大工の棟梁、建て主さんがそれぞれ酒、米、塩を持って、建物の四隅(北東の角から時計回りに)をお清めします。(写真②)、(写真③)、(写真④)

 

 その後、直会(なおらい)になります。
 現場にある資材で、簡単なテーブルと角材でベンチを作ってくれるのでそこに飲み物、寿司などのつまみを建て主さんが用意して、建て主さんの挨拶、乾杯、職人さんの紹介、歓談等を行います。
上棟式-04_落合(寒い冬は暖かい味噌汁等を用意するととても喜ばれます)
 職人さん達はほとんどが車で来ているので、アルコール類は勿論口にしませんが、上棟を手伝いに来た、車に乗せてきてもらった職人さんの中には飲む人もいるので少しはビールなどを用意しておきます。

 歓談後、鳶の親方の手締めでお開きとなります。
(時間的には小一時間くらいです)
 お祝い事なのでご祝儀とお土産(お赤飯と三合くらいのお酒等)を頂くこともあります。
(写真⑤)

 

上棟式-05_落合 施工会社によって流れは微妙に違いますが、一般的な上棟式の手順はこんなところです。
実際に行うときは、設計事務所や工務店に遠慮なく聞いてみてください。

 

 

 

 

 

 

 

[家づくりニュース2015年4月号掲載]

もっともっと国産材を使った家をつくりましょう。

吹き抜け

▲吹き抜け

高気密高断熱住宅が世に出た時代からシックハウスという言葉が聞かれるようになり、その頃から自然素材が多く使われるようになりました。
同じように地球温暖化でCO2の固定が必要になり、政治的な影響も大きいのですが国産材が息を吹き返しました。
まだまだ日本の木材自給率は30%以下ですが、山では木がいっぱい使われるのを待っています。
ここ数年、健康にも環境にも配慮した住まいで、自分たちの生活を大切に、そして楽しみながら暮らす家づくりに、少しづつですがなりつつあります。

 

木の登場する機会も増えて参りました。
杉、桧を始めとする日本の山で待機している木々は日本の住宅をつくるに十分な量が毎年育っています。
また、あまり利用されませんが広葉樹も使い方を工夫すれば素晴らしい建材になります。
断熱と構造を意識しながら「木の家」をつくれば古い木造建築の寒い、暮らしづらい、その他木の家の不安を解消し、快適で楽しい、木の魅力を十分に活かした家づくりが出来ます。
木の家が大好きな建築家と一緒に、木の良さを十分に活かした家づくりをして下さい。

 

[家づくりニュース2015年4月号掲載]