【 根來宏典建築研究所 】の家づくり

うなぎの寝床

うなぎの寝床-外観_根來

プライバシーを保ちつつ、光や風を取り入れる工夫をした外観


品川区大井町で設計・監理した木造3階建ての住宅。
敷地の形状は間口4m、奥行き14.5m、所謂「うなぎの寝床」。
この敷地特性を上手く活かすため、内部は階段を挟んだスキップフロアで構成し、各フロアが緩やかに繋がり、奥行きのある空間となっております。
狭小住宅の場合、よく道路に面して玄関ドアが付いておりますが、子供の飛び出しや、玄関ドアを空けると中が丸見えになるのは、好ましい玄関構えとは言えません。
うなぎの寝床-室内_根來

ブレースを活用し、解放的な内部空間を実現しております

本住宅では、玄関ドアを奥の方の脇に設けております。
狭い敷地ながらも人の歩く距離を長くすることにより、路地の奥に惹き込まれるような、少しでも豊かなアプローチを造り出そうと考えました。
スキップフロアの空間は、視覚的にも楽しく、この階段を視覚的にも機能的にも如何に生活空間に馴染ませるかがポイントとなる訳ですが、デザイン的なことだけでなく、重力(温度差)換気のスペースとしても活用することが可能です。
夏場は暖気が上昇し、最上階に設けたハイサイドライトから抜けて、家全体が涼しい空間になります。
冬場は階段下に設けた蓄熱暖房機(深夜電力)の暖気が緩やかなに上昇し、家全体を暖めます。
最上階には天井扇が設けられ、天井に溜まった暖気が2階のリビングダイニングに落ちてくるようなサーキュレーションを計画しております。
スキップフロアの空間を開放的に繋ぐには、階段の設計は重要です。
階段を単なる移動空間として捉えるのではなく、吹抜けの一部として組み込み、横方向への広がりを生み、かつ彫刻的に、そんな階段を目指しました。
人の動きとともに、光の取り入れ方や風の流れをも設計したつもりです。

 

建築DATA

1階床面積 : 29.27㎡( 8.84坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 36.22㎡(10.93坪)            家族構成:夫婦+子供1人
3階床面積 : 27.39㎡( 8.27坪)
延べ床面積 : 92.88㎡(28.04坪)
構   造 : 木造3階建て

[家づくりニュース2015年7月号掲載]

子供の成長を育む水庭の家

子供の成長を育む水庭の家-写真01

水庭と屋上、そして内部の回遊動線が接続し、多様な繋がりを生みだしている。

少子化が進む中、小さな男の子4人兄弟ということ自体が『家族の個性』と言えます。

内部に入ると、LDK、子どもスペース、玄関、廊下が一体となった平屋のワンルーム空間が広がっております。
家の中心に配置した中庭には水が張られ、子ども達にとっての格好の遊び場に。
もともとオープンな家族関係を理想とし、個室の子ども部屋は要らない。
さらには、玄関らしい玄関も要らない。というご夫婦の考え。
最初の提案は、水庭ではなく、ウッドデッキを敷いた中庭だったのですが、奥さまが「水を張ると面白くないですか?」と。
「面白いですね~、でも掃除はどうしますか?」と伺ったところ、
「言った私が責任取ります」って感じのコミュニケーションにより、この『水庭』が実現しました。

子供の成長を育む水庭の家-写真02

水庭を、体一杯に楽しむ子ども達の様子。

家族の夢が詰まった『水庭』。
皆、この水庭が大好きなので、家族総出でお掃除します。
苦になるどころか、水庭のお掃除は、家族のコミュニケーションの大切な場にもなっているそうです。

こちらの住宅は、5年前に完成しました。
お引き渡し後も、建主さんとは連絡を取り合っており、子ども達の成長を報告して下さいます。
頂いた手紙の一文をご紹介。

長男:気分転換に、よく一人で屋上にいます。叱られた時などは、スッキリするようです。
次男:広い家を存分に散らかす天才。今日もあっちこっちで宿題を開けた形跡があります。
三男:家中を所狭しと走り回っています。
   朝日の差し込む部屋で目覚めるので、すっかり寝起きが良くなりました。
四男:足取りも安定して、いつも3人の兄の後ろを一生懸命付いていきます。
   家の中に響く、可愛らしいテペテペという足音は、彼のモノです。

建築DATA

1階床面積 : 115.93㎡(35.0坪)      〈家族構成〉
構   造 : 木造平屋建て          夫婦 + 男の子4人

[家づくりニュース2013年10月号掲載]

対岳荘

 高台に位置する閑静な住宅街で、計画地は東側が崖地に面しています。麓には利根川が流れ、正面には前橋市のシンボル『赤城山』を望めるロケーションです。建て主は「赤城山の雄姿と前橋市の街灯りを見ながら暮らすこと」をテーマに、この土地を購入。設計者として与えられた課題は当然、この立地条件を最大限に活かすことでした。
 美しい景色を取り込む庭園の手法に『借景』という言葉がありますが、それは景色に100%依存するということではありません。あくまで共存。そこに建築が存在する意味があると思います。景色を見るだけなら建築は必要ありません。特に住宅は、そこに人間の営みがあります。建築を活かす景色に恵まれた住宅ではありますが、同時に景色を活かす建築。それが人間と環境との共存を愉むということだと思います。夏は緑の絨毯(木々)の上に浮かんでいる様ですし、冬には葉が落ちて利根川の流れが臨めます。春は芽吹き、秋は紅葉が美しい。四季折々の移ろいを愉みながら、赤城山への精神的な方向性が増しつつ、同時に身体をシッカリと受け止め、包み込む器としての包容力ある空
間を目指しました。
『対岳荘』は、建て主が付けたネーミング。愛着を持って、私も使わせて頂いています。

対岳荘
雪景色。

対岳荘
外構と建物とが一体となった景色。