【 田中ナオミアトリエ 】の家づくり

Kintaro House

kintaro house-金太郎_田中

階段上部に設置した四方向型金太郎


東京の都心に創った住宅。住み手は、夫婦と少年がふたり。
ご主人の御両親の敷地の一部が供出されました。
奥様の御両親は立派な五月人形を下さっていて、双方のご両親から「健やかに元気に」という気持ちが伝わります。
kintaro house-外観_田中

外観

あっちこっちの温かい支援があって、感謝の中で平穏な暮らしが続くように「金太郎人形」が四方から見えるように計画しました。
一階は個室などのプライヴェートゾーン。
周囲の視線も気にならない二階に、家族が集まって過ごす場所を配しました。
子育て+仕事に忙しい毎日であるのを鑑みて、家事はみんなと居る中でスムーズに捗るように、ぐるっと回れるキッチンと同じラインに機能を組み込みました。
設計をするたびに毎度思いますが、「自分が住みたい!」。
これを手前味噌と言うのでしょうねえ。
kintaro-house-室内_田中

▲食べるところから、くつろぐ場所を見る  ▲家事効率抜群のぐるっとキッチン    ▲階段を上ると徐々に見えてくる金太郎

 

建築DATA

1階床面積 : 51.42㎡ (15.55坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 51.42㎡ (15.55坪)            家族構成:夫婦+少年×2人
延べ床面積 :102.84㎡ (31.10坪)
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2015年6月号掲載]

八王子・和の中心の家

撮影:石井 雅義

大きな広間は縁側や出入り口とつながって、あけっぴろげ。


出入り口はL型に開放できて大勢の靴や荷物が並ぶ。

一緒に住むのではなくて、敷地の一部に「建てたらどうだい?」と親から、愛のある声をかけられる子世帯の住宅が増えました。
スープの冷めない距離というやつでしょうか。
八王子に建つこの住宅はそんな要素も含みながら、さらに経営する数店舗のコンビニエンスストアの従業員も集まって来ます。
従業員たちで草野球チームをつくっていて、それが絶妙なチームワークを成り立たせていて、スタッフみんなが積極的に頑張るすばらしい店舗経営の源になっています。
ですから、この住宅はいろんな方面の「和の中心」という役割を担っているのでした。
大きな声じゃ言えないけれど、鍵もかけない(笑)。
大きく開放していて、近所の人も寄っていくし、野菜も置いていく。
野球から泥だらけで帰ってきたチームのメンバーがシャワーを浴びて、その後子供も含めた大勢で宴会がはじまる。
台所は誰でも入って、料理が得意な人がつくる。
手が空いた人が片付ける。
従業員たちは家族のようなものとして、爽やかに「体育会系」の関係性の中で日常生活が営まれています。
大勢を許容しながら家族4人の暮らしもあって、風呂敷みたいに大きくても小さくても用が足りることが望まれました。
家具はなるべく置かずに、大勢にも対応できるように大きな座卓だけ創りました。
床はゴロンとなっても気持ちのいい柔らかく厚い杉板にして、庭とつづく半屋外の縁側とつながっています。
縁側は野球チームの泥んこの荷物を置く役割もあり、汚れたままシャワーに直行できます。
広くてL型の出入り口は、いっぺんに多人数の出入りが可能です。
夏は全開放、冬は障子よりも丈夫なダンボール状の鏡板が入った建具を閉めます。
といった訳で楽しい住宅ができたのですが、問題がありまして…
それは、なかなか人が帰らないこと! 
時間が来たら「蛍の光」が流れるような設計しないといけないかなあ。

 

建築DATA

1階床面積 : 76.76㎡(23.21坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 44.07㎡(13.33坪)           夫婦+少年×2+高齢ウサギ×1
延べ床面積 : 184.00㎡(55.00坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年5月号掲載]

みのりズム

写真:石井 雅義

みのりズム

天井の垂木のピッチが徐々に変わっています。
見上げたときのリズムが楽しいのです。

敷地の形状に素直に計画したら、屋根に入れる構造材(垂木)のピッチが徐々に変化するというデザインになりました。
ここんちの中心は只今幼稚園生の少年。
少年が笑うと皆が幸せ。
そんな生活の様子を想像して、少年の名前と垂木のリズムを組み合わせた造語をこの住宅の名前にしました。

家をつくろうと思ったときは、会社の社宅に住んでいて「湿気+何だか似合っていない住宅+狭い」という不都合がありました。
その中でも優先順位一番として湿気やカビ結露を払拭し、風がよく通って明るく空気がさらっとすることを実現化させました。
そして楽しい雑貨が好きなのだけれど、社宅では全く生かせていなかったので、自己表現できるきっかけをあっちこっちに創りました。

こういう人たちはとっても多いのですね。
自分たちらしく暮らす背景が無くて、でも順応力があるからどこでも住めちゃう。
住めるけれど決してその住宅を愛していない。
愛着を持てる背景がある事によって生活もガラッと変わります。
住宅はまめに手入れをすることになり、整理整頓され、食卓の風景もどんどん変わってきます。
誇りと自信を持てる住宅をつくるということに関与できて、一緒に生活を考える事ができるのが何より楽しい。
生活するってホント楽しいのだから。ね。

建築DATA

1階床面積 : 51.17㎡           〈家族構成〉
2階床面積 : 48.29㎡           夫婦 + 子供一人 + 亀
延べ床面積 : 99.46㎡     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2013年9月号掲載]

ラナイのある家

ラナイのある家
生命の終わりの日まで台所に立ちたい、と願う住み手の一部になるようなコックピットのような台所になってます。

  「生命の終わりの日まで台所に立ちたいと願っています。
   それを実現できるような場がほしいです。」
 クライアントの一番最初の言葉。有名料理研究家のお弟子さんで、良い道具を使って宝物である昆布で出汁をきっちりひき、命をいただくことを大事に考える人。
続けて
  「働いていたときは時間に制約されたストレスの多い日々でした。
   今はゆったりとした時の流れの中で丁寧に暮らしたいと思っています。
   日々の生活も人との関係についても。」
これほど昨今沁み入った言葉はない。「丁寧に暮らす」ということば。雑でぞんざいに毎日を暮らす私に、神様が前に据えてくれた人なんじゃないかと思ったほど。
さらに話し始めると次々に色んなことが連鎖してくる。フリーダカーロ・スウェーデン・辰巳芳子先生・オヒョイズ・目白のかいじゅう屋・monSakata・坂田和實・三谷龍二・クラフト市……関係ないようで興味の繋がりが同じ方向であり、クライアントと不思議な縁を感じた。
(もちろん私の薄い知識に合わせて、話をしてくださる懐の深さのある方なのだけれど。)
シアワセだと想う時を尋ねると
  「むつかしい質問ですが、単純に言うと次の通り。
   今日は快晴で、ベランダには洗濯物と布団が干されていて、室内は太陽の光
   が十分に差し込んでいて温かく、台所からはスープの良い香りがしていて、
   読みたい本があり今日中に解決しなくてはならないこともない。
   こんな今の状況をとてもシアワセだと感じます。今日はそんな日。」
もうまったく同じ幸せ感を共有できる!
この時点で私の中に暮らしのイメージがわぁーっと広がった。これだから住宅設計という生業はホントに面白い。
                   ※「ラナイ」とは「ベランダ」という意味のハワイ語

1 階 : 14.24 坪
2 階 : 8.90 坪
ラナイ : 2.49 坪
延べ : 25.63 坪