【 荒木毅建築事務所 】の家づくり

自分の家とするためのリフォーム

自分の家とするためのリフォーム-01_荒木

細長い2階居間空間です。ロフトの床を支えていた梁や2階の壁だった部分にあった柱を杉材に置き換えて現しとしました。

小規模な建て売り住宅を、建て主さんの今後の人生において住み心地の良い場所とするため、ご自身の価値観に合った空間や材料に改造した。
建て主さんからは、1階居室の暗さや冬の寒さを緩和したいとのご希望があった。
また、耐震強度の向上も望まれていた。
これらについて予算内に収まる方法での提案と説明を繰り返した。

 

建物は幅が一間半を切る細長い小屋裏収納付き総2階建てだったが、熱が篭りやすく今後は使われなくなると思われたトップライト付きの小屋裏収納の床を取り去り、生活の中心となる2階の一室空間の天井高を上げて、トップライトからの採光をこの空間に満たし、更に階段吹抜けを通して1階にまで達する工夫とした。

 

自分の家とするためのリフォーム-02_荒木

断熱性能を考え、既存の窓の内側に明障子を入れ二重窓としました。

2階は、機能的には和室と寝室に別れるが、引き込みの引戸で仕切ることにより、全体を一室空間の居間として、生活の中心として活用できるようにした。
1階はキッチンと水回りをコンパクトにまとめ、前面道路との間の出来るだけの面積を床暖房の入った土間(土間コンクリート仕上げ)として、近隣の方との会話などの交流の場とした。
土間は階段吹抜けを介して2階居間ともつながっている。

 

土間・畳・板間と材質の異なる空間を、ご自身のための、友人を招いての、近隣の方々との空間としてできるだけ広く取り、これからのここでの生活に伴う人間関係を包み込む「ひとつながりの居間」とした。
予算を考慮して、工事は極力内部側から出来るものに絞った。
サッシュも新しいものに替えることはせず、屋内に明障子を設置して二重窓とし断熱性能を確保した。

 

建築DATA

1階床面積 : 21.49㎡( 6.5坪)          〈家族構成〉
2階床面積 : 21.49㎡( 6.5坪)           一人暮らし
延べ床面積 : 42.98㎡(13.0坪)     
構   造 : 木造2階建て

 

[家づくりニュース2015年11月号掲載]

日野の家

撮影:篠澤 裕

日野の家-2階_荒木

2階吹抜けと奥様の活動コーナー。
智頭杉現しの柱に水平の棚板が取り付き、上り梁がリズミカルに架かる簡潔な内部空間となっている。


ご夫婦と母親の三人と二匹の猫のための住宅です。
敷地購入後、私どもに設計依頼をして下さいました。
細長い敷地で奥に低い崖があるので、長い間売れ残っていた土地だったようです。
敷地を初めて拝見した際にはとても恵まれている印象を受けました。
敷地内に李の木が生え、さらにその奥の敷地外の崖地には、様々の大きな樹木が生い茂っていたからです。

 

建物は木造2階建てにて計画しました。
コンクリートの縁石と板塀のアプローチを辿り、道路から少し奥まったところにある玄関引戸を開けると、土間とひとつながりの「椅子座」の板間の空間が広がり、その奥の「床座」の智頭杉の小上がりの板間の先に、庭の豊かな緑が目に飛び込んで来ます。

日野の家-階段_荒木

椅子座の板間と床座の智頭杉貼りの小上がりの先に庭の緑が見える1階。軽快な螺旋階段が上下階をつないでいる。

椅子座の板間には、ダイニングとキッチンがあり、道路側の平屋の居室(お母様の部屋)とも引戸で繋がっています。
中央付近にあるシンプルな構造の螺旋階段を上ると、上下の空間をつなぎ下階に自然光を届ける大きな吹抜けの周囲に、ご夫婦の寝室や

 

それぞれの活動空間が、あいまいに仕切られて配置されています。
2階のどの部屋からも南の庭とその先の樹木の緑が目に入ります。
それぞれに沢山の本をお持ちのご家族のために、1階全体と吹抜けでつながる2階の西側の壁面にとどまつのパネルにて固定の本棚を作りました。

 

この建物は、内部に智頭杉の柱・梁を「現し」にした力強い空間を持っていますが、この厚い板で作られた本棚も、柱や梁と一体となって、簡潔な内部空間を形成しています。

 

建築DATA

1階床面積 : 52.58㎡(15.91坪)            〈家族構成〉
2階床面積 : 37.75㎡(11.42坪)            夫婦+母親+猫2匹
延べ床面積 : 90.33㎡(27.32坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年6月号掲載]

矢来の家(減築)

写真:篠澤 裕

2階板間:階段両側の壁を抜いて一体の空間(LDK)とした。
     外周壁に作られた棚板には多くの書籍が収納された。


都心に建つ古い家を、過去の記憶を残しながら「減築」した、庭のある夫婦二人のための住宅です。

東京都新宿区の古くからの住宅地。親の代からの持ち家である築50年程の住宅にくっついて築40年程のアパートが増築された木造2階建ての建築に、若いご夫婦が住んでいました。
「古い住宅と増築されたアパートをリフォームして、家族二人と猫二匹が住みやすい家にしたい。」との希望をかなえるため、現地を拝見し案を練りました。

考えた末、DKとして使われていた味はあるが大分痛んできてもいた古い部分を思い切って「減築」し、そこに緑を沢山植えて庭とし、築40年程の主にアパートだった部分をリフォームすることにしました。
1階を土間、2階を板間として、階段と吹抜けでつなぎ家全体を一体の空間としました。構造上のバランスを考えて一部の窓を塞ぎ壁にしましたが、残した窓を取り換える事はせず、古い健全な柱や梁は極力残し表に見せました。
古い柱に沢山残る「貫穴」を埋めて白く塗り、もともとの建物の壁や開口部の位置の「記憶」を保ちました。
書籍を沢山持たれているご夫婦のために、壁にはぐるりと固定の厚い棚板を開口部の位置とは無頓着に回しました(写真のごとく、一番上の棚は二匹の猫の活動のために何も置かれていません)。

古い部分を作った昔の職人達に敬意を持ち、彼等との共作のようにして作り上げた住宅の内部空間には過去の温もりが伝えられることとなりました。

1階土間:簡素に作られた新しい内装は、以前からの障子とも馴染んでいる。

建築DATA

1階床面積 : 11.07坪           〈家族構成〉
2階床面積 : 10.57坪           夫婦 + 猫二匹
延べ床面積 : 21.64坪     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2013年3月号_今月の家_掲載]

盛岡の家

 岩手県盛岡市の郊外に昨秋完成した住宅です。寒冷地仕様の家は、高性能の断熱材と気密性の高いサッシに包まれています。十畳の広い土間の上は吹抜けとなり、家全体がひとつながりの空間となっています。建て主さんは、この土間で楽器の演奏をしたいとお考えの様です。
 階段を上がりブリッジを渡ると居間とキッチン。南の窓からは田園風景が広がります。天井の高い位置に付けられた横長の開口部より適度な採光が室内に届けられます(この窓は通風のために一部が開くようになっています)。壁に付けられた四角い小窓からは、通りを挟んだ先にあるご両親の家をちらりと見る事ができます。
 この家はローコストで作られました。形状はシンプルな三寸五分勾配の片流れ屋根の直方体。部屋と部屋の間に壁や建具をほとんど作らず、建て主さんがお持ちのお気に入りの家具で仕切るなどの工夫をしました。そのため内部に露出する杉の柱が多くなりましたが、それがこの家のインテリアの味わいともなっています。

盛岡の家
2階居間。ブリッジの手前より南側の居間を見る。

盛岡の家
1階土間。正面の障子の向こうが玄関引戸。