【 赤沼修設計事務所 】の家づくり

樫の木を望む二世帯住宅

写真:吉田 香代子

樫の木を望む二世帯住宅-室内_赤沼

左から2階子世帯の寝室、小屋裏、LDK、テラスと繋がる一室空間。内外共に木製引込み戸と収納ブラインドでTPOに合わせて調整する。


建て主さんは高齢のご両親と共働きの娘さん夫婦、近くには独立した息子さんが居ます。
樫の木を望む二世帯住宅-外観_赤沼

内と外を繋ぐ、板塀で囲われた坪庭、通り土間とテラス、奥には表庭と隣地の白樫が続く。

日々の居心地はもちろんのこと、定年後の暮らし方から将来の変化も見据えて介助しやすく世代で住み繋げていけること、小さなお店もできる予備配管など、じっくりと話し合いを重ねました。

 

敷地を見てまず目を引いたのは西隣地に根をはる白樫(区保存樹)の大木です。
娘さんが子供の頃から見慣れていたその大木をかこむように、枕木の駐車場と表庭、玄関ポーチを設けて親世帯と子世帯、白樫のある街並みとが程よい距離を保てるようにしました。
1階の親世帯は、玄関を兼ねた薪ストーブのある通り土間から板塀で囲まれ水盤のある落ち着いた坪庭へと繋がります。2階の子世帯も専用の玄関と水廻りを設けて設備も全て分離、必要な時は内部扉を使い気軽に行き来します。白樫の大木は、玄関ポーチや通り土間、2階ホール、LD、ウッドテラスと様々な場所や高さから望め、水盤の坪庭や周辺の緑と共に時間や季節の変化を感じることができます。

 

竣工後、水盤の庭には息子さんが始めたメダカ鉢のビオトープが育ち、定年を迎えたご主人の薪ストーブ焚きも手際よく、夫人のストーブ料理をご馳走になりました。
最近では黒猫も加わり日々ご家族らしい住まいに彩られています。

 

建築DATA

1階床面積: 77.36㎡ (23.4坪)           〈家族構成〉
2階床面積: 66.78㎡ (20.2坪)            両親+夫婦+息子さん時々泊り
延べ床面積: 144.13㎡ (43.6坪)
構  造:木造2階建て

[家づくりニュース2016年6月号掲載]

千鳥の家 − 家と暮らしのリノベーション −

撮影 : 吉田 香代子

千鳥の家_室内_赤沼

内部は全室引き戸でつながるバリアフリーな空間に、生活スタイルも低めのテーブルを中心とした椅子座に見直しました。


築50年の古い木造家屋に住む娘さんと高齢のお母さまのためのリノベーションです。
耐震改修は区の助成を受けて基礎や木造躯体を補強し、使える屋根や外壁、開口部は部分的な改修とメンテナンスでコストを抑えつつ、内部は大幅に造り直しました。

 

お母さまが暮らす1階はLDKと寝室、水廻りが引き戸で繋がるバリアフリーな空間に、2階の和室4部屋は娘さんの仕事場と寝室に全て改修しています。
壁や床、特に天井裏には十分な換気口と断熱材を入れ、既存窓にはインナーサッシを取付けて温熱性能を確保し、直接手や足が触れる床やカウンターはいつものように木の無垢材を使い、壁や天井は土佐和紙などの自然素材で仕上げています。

 

千鳥の家-外観_赤沼

丁寧に手を加えて直した家は、住まい手はもちろんのこと街並みにも優しく馴染みます。

生活スタイルも畳から低めのテーブルを中心とした椅子座に見直しました。
物をあまり増やさず広々と暮らせるように、食事だけでなく休息や家事作業もこなせる通常よりも奥行きがあり低めのテーブルを製作し、椅子も座面が低く広めで多用性のあるものを吟味しました。
大勢集まった時には箱脚を倒して座卓にも早変わり、横になりたい時には隣の寝室と引込み戸で繋がりベッドで寛ぐこともできます。
先日伺うと、吟味した椅子も揃いテーブルと椅子座の生活にお二人ともすっかり馴染んでいるご様子でした。

 

建築DATA

1階床面積 : 14.8坪           〈家族構成〉
2階床面積 : 15.8坪            母+娘
延べ床面積 : 30.6坪     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年12月号掲載]

西馬込の家

撮影:吉田 香代子

西馬込の家_内観

LDKからデッキ、庭、児童公園へと視界が抜ける。
夏の日差しや公園からの視線を調整するため軒下からテントや簾をかける支柱と横棧が見える。

建て主家族は30代のご夫婦と息子さんで将来子供が増え、ご両親と同居の可能性もあり、基本プランとして1階に玄関とLDK、和室、2階に主寝室と多目的広間、浴室水周りを配置しました。
西馬込の家_外観

南東道路から庭の植栽やデッキを眺めながら玄関へと枕木のアプローチが続く。

表通りから入った行止まり道路の奥突き当りが敷地の東南にあたり、そこから南庭の植栽やデッキを眺めながら玄関へと枕木のアプローチが続きます。
南庭の先には1.8m程の高さに児童公園と神社の杜が隣接し、静かで視界も抜け都心では恵まれた環境にありました。

この環境を活かして外部を取込んだり、繋がったり、囲ったり季節や天候、来客によって様々な生活が楽しめるよう、引込み戸や障子、軒下、デッキ、植栽などで程よく調整しています。
敷地と南隣地公園の高低差によって1階は少し囲われて落着いた雰囲気に、2階は地面に近い中2階で浮き上がったような変化のある空間となりました。
パッシブソーラーや雨水タンクを設備し自然との共生を図っています。

建築DATA

1階床面積 : 16.1坪           〈家族構成〉
2階床面積 : 17.5坪           夫婦 + 子供
延べ床面積 : 33.6坪     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2013年6月号_掲載]

保谷の家 「リフォーム」

 新築かリフォームかの選択から始まり幾度もの打合わせと現場調整を重ねてきた保谷の家のリフォームが2月に竣工しました。
 築42年のお住まいはご両親の代から引き継がれ増改築を繰り返していましたが、そのことで居室が分断され内外への視界や採光、通風を遮り構造的な弱点にもなっていました。
 今回の工事では1、2階南側の障害になっている部分の減築を行い、コストを抑えるため外壁やサッシ及び2階居室の一部は再利用して内部を解体、基礎や木造躯体の耐震補強、開口部や天井、壁、床下の高断熱化、段差の解消、温風床暖房、記憶に残る柱梁の利用など、見えにくい事柄も大切にして、使い勝手の良い回遊プランに改修しています。
 保谷の家には1階に3つ、2階に1つ合計4ヶ所の回遊ルートがあります。改修前は北側の玄関から中廊下を中心に、洗面、寝室、階段、和室居間、ダイニング、と全て行き止まりのプランでしたが、リフォームでは1階の玄関ホール~LD~クロゼット~寝室~玄関ホールの居室回遊ルート、玄関ホール~洗面~収納~キッチン~LD~玄関ホールの水廻り回遊ルート、キッチン~LDの配膳回遊ルートの3つがあり、2階も階段ホール~寝室・2~物干しテラス前室~和室・1・2~階段ホールと一回りして物干しデッキや2階トイレにそれぞれの居室からアプローチできます。

保谷の家 「リフォーム」
リフォーム後の北側玄関。ブロック塀を撤去、植栽し木製玄関引戸と通風用網戸、窓防犯用に木製格子を新たに設けた。

保谷の家 「リフォーム」
リフォーム後のLDK。中央壁の奥に減築したキッチン、独立柱の手前は和室居間、奥に暗く孤立したダイニングがあった。