【 野口泰司建築工房 】の家づくり

木の家、木の空間

木の家、木の空間_室内①

仲間を招くのが大好きな家族の為に用意された全長4.3m強の食卓を南方向に見る。右側、筋かいをアレンジした木立状架構は各階からランドマークのように視界に入る。

撮影:安川 千秋

 

40代前半のご夫妻と設計当時小学生だった3人のお子さん達家族の住まいです。
このご家族に出会い、夫妻が日々体当たりで子供達に対している情熱を強く印象付けられました。
この家族にどう「建築」で応えられるか!
そんな思いがこの住宅設計の根底にあったように思います。

 

①南面傾斜地からの夏の卓越風が住宅の隅々を吹き抜けていくこと。
居間・食堂を2階東寄りに、南北縦長に配置し、全長4.3mの食卓や総延長9.1mの調理台+デスクカウンターも、風の流れに沿ってスーッと一方向にレイアウトする構想が、まず浮かび上がりました。

 

②傾斜地正面やや左の横浜方向、西寄り大山・丹沢方向を含む奥深い眺望を取り込むこと。
ふり注ぐ冬の日照をしっかり捉えること。
浴室を2階南西角に位置させ、3つの子供室を1階にずらりと並べ南面させることを続いて確定。
180度のパノラマ状展望が開け、半球状の天空と接するルーフデッキも提案させて頂きました!

 

木の家、木の空間_室内②

2階浴室等の水まわり前の廊下から「小さな吹抜けを持つ階段」を通して居間・食堂方向を見る。

③そして、この住宅北寄り中央の「小さな吹抜けを持つ階段」!
個室群のある1階、居間・食堂や浴室・洗面、北側道路から続く玄関ホールのある2階、そして屋上ルーフデッキ間を、日々家族が上下し移動するこの階段周辺のそこかしこに、一寸ドラマチックな空間的仕掛けを組み込みました。

 

④飾らない、無垢でストレートな素材使いに徹し、環境負荷最少の素材である「木」の架構を力強く表現することにも努めました。

 

⑤等々。

 

書ききれないその他の試みについては、当工房HP「作品」欄を併せて参照頂ければと思います。

 

建築DATA

1階床面積 : 33.57坪           〈家族構成〉
2階床面積 : 33.82坪            夫婦+子供3人
屋 上 屋 : 1.75坪
延べ床面積 : 68.14坪     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年2月号掲載]

陶房を持つ家

「木の家の本」の取材に立ち会う為1月半振りに、植栽を担当した娘と「陶房を持つ家」を訪ねました。
 K夫妻が、社会人となってからずーっと住んでいた名古屋から、第二の人生を楽しむ為に、3月初め本当に久し振りに生まれ故郷のこの大磯の新居に引っ越されました。
 それから春が半分ほど経過する間にすっかり、そして見事なほどに庭の緑は勢いづいていて、私達は思わず歓声をあげました!ご夫妻への挨拶もそこそこに、午後の取材記者の到着を待つ午前中、夢中になって、写真を撮らせて頂きました。
 最高高さ4.5mの勾配天井を持つ19.5畳ほどの居間・食堂にも、木漏れ日に浮かびあがった薄緑の木々の葉のシルエットが窓を覆い隠すばかりに迫ってきます。居間の右側に続き南面する10畳程の寝室の畳ベッドの枕元にもこの緑はチャーンと顔を出していました!
 西側に続くご主人のお兄さんの畑で育ったピカピカの野菜、奥様のお父さんが届けてくれるはちきれるような自然の恵みを素材にして、奥様が腕を振るったお昼を頂きながら「こんなにも緑を見つめる時間が多くなるとは思ってもいなかった!」と、なんだかとても嬉しくなる言葉をご主人から聞きました。
 写真をお見せできずとても残念ですが、これらの居間・食堂や寝室のある母屋、そこから北側に続く渡り廊下状の小さなギャラリー、そしてこの家のなかで重要な位置を占める「陶房」それらに3方から囲まれた2間×4間ほどの中庭が有ります。数株の木々の足元には絵付けの為のスケッチの題材にと夫妻が集められる山野草が植えられます。
 「本当に落ち着いてロクロがまわせる!中庭に迷い込んできた蝶が畑の方から流れ込んでくる気流に乗って上下に漂い、そのうちスーッと浮かび上がって消えていくんです。」
凄い描写ですね。

陶房を持つ家_居間・食堂

居間・食堂より庭方向を見る。木漏れ日に浮かび上がる木々の葉のシルエット、雲海のように浮かぶ何本もの梁の広がり、これを垂直に突き抜けてロフトに至るオブジェのような階段のシルエット。

陶房を持つ家 _外観

3月末の引越からわずか1と月半、一気に雑木の庭の緑が勢いづいた南庭。この緑が、夏に向かう寝室(左側)、居間・食堂(右側)への陽射を和らげている。