[ エコロジー-004 ]
BEAT HOUSE


大型バイクとホンダ「BEAT」をこよなく愛するご夫婦のための住まい。愛車を身近に感じながら住まえること、夏は涼しく暮らせること、という希望を基に生まれた。屋根を緑化することは、人や地球にも優しく(冷暖房負荷の軽減・ヒートアイランド現象の緩和・CO2削減効果・空気の浄化・ストレス解消などなど)、断熱性能が高いので毎年全国でもトップクラスの猛暑を記録するこの地で夏を快適に過ごすための重要な役割を持っている。そして周辺に緑も多いこの地域に違和感なく溶け込む外観となり、家族の生活にも広がりを与え新たな楽しみ方ができる場所にもなっている。
群馬県太田市の「mat house」に続いて埼玉県熊谷市のこの「BEAT HOUSE」でも草屋根が実現できたことを受けて、ここ数年夏場連日猛暑が続く埼玉・群馬周辺地域で今後も草屋根住宅を展開していきたいと考えている。

前面道路に面した大きな開口部は、目の前を通り過ぎる人たち(ソト)とのコミュニケーション機能を持ちながら、目の前の公園の緑を室内に取り込む機能を併せ持つ。

室内はプライベート空間を最小限にして家族と愛車の居場所を最優先。リビング、愛車の居場所、屋外テラスの床をすべてコンクリート土間とすることでウチとソトの繋がりを連続させながら全体を一つにしている。この土間空間では、愛車を眺めながら食事をしたりくつろいだり、いつでも愛車と共に同じ時間が流れる。

大災害や地球環境の変化によってエネルギーや自然の大切さを思い知らされている中で、一つの住宅に何ができるだろうかと考えていた。そんなに大げさなことはできないが、少しでも自然や環境のことを考え続けること。そして昔のような地域社会や家族のコミュニティを大切にすること。それが一住宅でもできることであり、今後最も重要なことだと思う。

春を待ち昨年5月に草屋根づくりが行われた。今回は多くの方々の力で設計当初から考えていたことが実現できた。
昔は近所や親戚が集まって家づくりに参加したもの。屋根瓦や土壁の土を皆で運び上げたりしながら家は出来上がった。人が集まれば対話が生まれ、人と人の繋がりも生まれる。すべてを建築会社に任せるのではなく、自分たちでできることは自分たちでやる。そうすることで家への想いも更に深まる。
- 建設地
- 埼玉県熊谷市
- 敷地環境
- 郊外
- 構造
- 木造
- 階数
- 平屋建て
- 敷地面積
- 367.31㎡
- 建築面積
- 130.63㎡
- 延べ床面積
- 102.68㎡
- 工事費
- 2000万円台
- 家族構成
- 夫婦
- 居住者の年齢
- 30代、20代
- 設計者名(事務所名)
- 小磯 一雄(KAZ建築研究室)


- 2014.01.06
- エコロジー