[ 作り方-005 ]
木箱212構法による新しい家づくり


都内の閑静な住宅街の角地に建つ、夫婦と子供3人の住まいである。
当事務所で開発した木造一方向ラーメン造「木箱212構法」を採用。
柱、梁に規格部材2×12(ツーバイトゥエルブ)材を用いて、鳥居型のフレームをつくり、細かいピッチで並べトンネル状の構造体をつくる。
奥行き方向の外周壁だけで耐力を持たせているため、内部に構造要素が必要なく、柱や壁のない開放的な一室居住空間が可能になる構法である。
間仕切りの付け替えにより間取りの変更も自由なため、生活スタイルの変化にも十分対応することができる。
間口はフレームだけで持たせているため、全面開口が可能である。
基礎を含め、外断熱としている。
柱、梁に同じ部材を使い、仕口は1種類という合理的な簡易工法のため、材木の輸入、構法の開発、設計、施工と家づくりのすべての工程を1設計事務所で行うことが可能になった。
家づくりの責任を明確にする「新しい家づくり」の提案である。

2階は天井高4M、南面全面開口の明るく開放的なリビングである。
内部に構造要素を持たない「木箱212構法」の特徴を活かし、柱や壁のない広々とした大空間をつくることができた。
間口方向はフレームだけでも持たせているため、南面を全面開口として冬の太陽光を最大限室内に取り込む。
室内側は2×12材の柱が表しになっており、間に棚板を渡すことで、壁全体を収納棚とした。
家全体が本棚でできているようにも見える。

都内の住宅街の角地に建つ。
外観はシンプルな箱型であり、外壁には黒のガルバリウム鋼板を使用している。

柱と梁に用いているのは、枠組壁構法に用いる規格部材「2×12(ツーバイトゥエルブ)材」である。
組み立てた鳥居型のフレームを455㎜ピッチ並べ、トンネル状の構造体をつくる。
内部に柱や壁をつくる必要がなく、間仕切りの付け替えにより間取りを容易に変更できるため、生活スタイルの変化にも十分対応できる。
空間の可変性を確保することで、木造住宅の長寿命化に繋がる。

仕口(柱と梁の接合部)は市販品のラグスクリューを用い工具で留めるだけである。
部材も1種類、仕口も1種類という合理的な簡易構法の開発によって、設計事務所が主体となった新しい家づくりを実現した。
設計者が各工程で関わるため設計の意図を正確に実現することができ、同じ職人グループで施工するため品質も安定、1社で家づくりが完結するため経費も抑えられる。
合理的な簡易構法による新しい家づくりの提案である。
- 建設地
- 東京都板橋区
- 敷地環境
- 住宅地
- 構造
- 木箱212構法
- 階数
- 地上2階
- 敷地面積
- 171.81m²
- 建築面積
- 61.92m²
- 延べ床面積
- 103.32m²
- 工事費
- 17,633,890円
- 家族構成
- 夫婦+子供3人
- 居住者の年齢
- 40代
- 設計者名(事務所名)
- 葛西 潔(葛西潔建築設計事務所)


- 2014.01.09
- 作り方