[ 作り方-005 ]
礫明 第一期

作り方部門

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敷地は東京の小石川、急な坂道を上った住宅密集地の一角の路地にある。裏手は崖地であり、狭い路地を進んだ先の街を見渡す広がりに可能性を感じ、この場所に建てたいと思った。

すぐに計画を始め、あるべきかたちへとゆっくりと数年単位の時間をかけ、設計することにした。

ところが日本の都市銀行における融資の仕組みは、融資が実行されると1年以内に竣工し、住宅自体を担保とすることで契約が成立するものであった。

そこで決めたことは、必要最低限のものを決定し、あとはその時々に必要なものと最終形を見定めながら、現在進行形の住宅とすることだった。

だから、この住宅の室内の壁は、石膏ボード素地のまま、床もコンクリート金コテ仕上げや、ラーチ合板素地のままだ。

窓には障子も、カーテンもなく、建具もない。通常、仕上げによって覆い隠されてしまうものをそのまま現しとし、建築の骨格となる簡素な小屋をつくることが第一期計画の目的となった。

玄関ホールからアプローチを見る。一部敷地内に残存している大谷石を再利用した奥行き約7mのアプローチ。コンクリートは打設せず、砂利と敷き瓦を敷くのみに留めて、可変性を与えている。未仕上げの多い内装に対し、植栽は先行して完成させており、ヤマモミジ、ナンテン、ユキヤナギなどが生える。
外壁は色漆喰塗り壁、木ゴテ摺り掻き落し仕上げ。

2階。つくり続けている空間であり、現在は第一期のために仕上げを施していない空間が広がる。壁は石膏ボード、床と天井はラーチ合板、共に素地現し。石膏ボードはスクエアエッジのボードに最大450mmピッチで真鍮ビスを打ち込んでいる。下地材であるこれらの材料の見栄えについて施工面から検討が重ねられた。

壁の石膏ボードの切断面が見えないよう、すべての場所で紙の貼ってある小口部分を使用している。将来開口周囲に木枠を取り付ける際に備えて、躯体と石膏ボードの間に18mm分の見付を取っている。
壁は仕上げ材を貼らないため、ビス打ち箇所の下書きもできない中で10mm位置のビス打ちと、ボード同士のの突きつけ面がぴったりと合った精度を実現。

地階。スギ縁甲板化粧型枠コンクリート打放し仕上げの空間が広がる。今後奥の壁一面に本棚が増設する予定。階段の側桁は12mm厚のスチールプレートを黒味錆色塗装し、上下コンクリートにスポット溶接している。踏面は30mm厚のベイ松を使用。

                             撮影:小林浩志

建設地
東京都文京区小石川 
敷地環境
住宅地
構造
木造在来工法(地上1,2階) 壁式鉄筋コンクリート造(地下1階)
階数
地下1階、地上2階
敷地面積
122.04㎡
建築面積
57.55㎡
延べ床面積
130.90㎡
工事費
-
家族構成
親夫婦+子夫婦
居住者の年齢
-
設計者名(事務所名)
川口通正+川口琢磨
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