[ 作り方-007 ]
RICO

作り方部門

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福島県郡山市。小山に囲まれ小川が流れ、周囲には田んぼが広がる、のどかな分譲地の一画に建つ住宅です。丘を削って出来た分譲地であり、その裾野にある敷地は、立って360度ぐるりと見回すと、牧歌的な風景が遠くに見えたり、街路樹が借景になったり、隣地の擁壁が光に照らされていたり… 遠近多様な景色が見つかります。

 

そんな環境に包まれるように暮らせればと思い、程よく囲われた、けれども外のような場所(”広間”と名付けました。)を作り出すよう、敷地に木箱をいくつか据えました。箱の隙間が四方に生まれ、開口となります。そこに屋根裏部屋を内包した大屋根を載せて出来上がりです。

 

木箱の中はそれぞれお風呂だったり台所だったりと用途がはっきりしており、仕上げもきちんと施されています。一方、木箱の外側、広間側は柱や梁が剥き出しです。仕上げられていない、ハリボテ状態。現しになった躯体を拠り所に、住み手が趣味思考やその時の気分に合わせて棚を造り付けたり、飾ったり、少しずつ成長させていければと考えました。

 

もうひとつ。彼らは東日本大震災で家を失いました。ビニールクロスの壁の裏に隠れていたコンクリートの躯体が、いとも簡単に壊れ、姿を現したそうです。そんな彼らにとって、構造体が身近にあり、常日ごろ目にし、触り、利用する事は、非常に重要なのではないかと考えました。

 

広間にいると、色んな景色が楽しめますし、光に包まれ、風が通り抜けます。そこでの生活は、自然とともに暮らすことをあらためて感じさせてくれます。そんな中で、大好きな漫画をこれでもかというほど並べ、囲まれ、読みふける。そんな平穏な時間を取り戻せる事こそ、大げさですが、ほんの小さな、復興の原点になると感じます。

地形に沿うように傾斜した大屋根が白い木箱群に載り、おおらかな印象の外観となっています。

木箱の隙間が開口となって四方で外と繋がり、各方向から光が入り込んでいます。

木箱の内側は、それぞれ用途に応じて仕上げられています。一方、外側は構造体剥き出しのハリボテ状態。空間に陰影とリズムを与え、漫画や雑貨を飾る場となるなど、生活と密に結びついています。

大屋根内の架構はすべて斜めに傾いており、傾斜地である事を擬似的に体感します。

建設地
福島県郡山市 
敷地環境
郊外
構造
木造
階数
地上2階
敷地面積
281.87㎡
建築面積
82.81㎡
延べ床面積
124.21㎡
工事費
非公開
家族構成
夫婦+子供1人
居住者の年齢
30代
設計者名(事務所名)
松下慎太郎+鈴木崇志(一級建築士事務所タスエス)

図面

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