[ 間取り動線-013 ]
まちに開いて暮らす「通り土間の家」

間取りや動線部門

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福山市郊外の鞆の浦へ至る幹線道路沿いに建つ住宅。ご家族3人と建主の姉との”二世帯住宅”と構造設計者である”建主のアトリエ”という3つの機能を備える。建主からの要望は、道路沿いであるが周囲に対して閉じる暮らしではなく、「まちに対して開いた暮らしをしたい」、「内部の3つの機能が程よい距離感を保っている」ということであった。

敷地は宅地造成により3段に造成されており、この並びの宅地の2区画分の広さがある。住宅を建てるには十分な広さであり、その余白をこの場所での豊かさにつなげたいと考えた。

北側の上段に通り土間をもつL形の住宅を配置し、南北にできた余白は北庭と南庭の2つの庭とし、南東側の下段は既存のアスファルトを活かし駐車場として利用する計画とした。内部の通り土間から南北の庭、そしてまちへと繋がるような「まちに開いた暮らし」ができる住まいを目指した。

 

中央に配置した通り土間は南北の庭を繋ぎ、二世帯の住宅・アトリエの機能を結ぶ。この土間により、3つの機能に程よい距離感をつくり、各場所を独立させながらも家族の気配を感じる緩やかに繋がった空間とした。土間の吹抜けは、1・2階を繋げ、その境界は障子により距離感を調整する。1階は、通り土間にある引き戸により距離感を調整し、時間や季節によってひとつながりの空間、または個室として使用することを可能とした。

「まちに開いた暮らし」ができるように、瀬戸内の温暖な気候を利用した自然環境をとりいれる住まいを目指した。敷地は海からの風が潮の香りとともに気持ちよく抜けていく海にほど近い場所である。平面計画では、外部環境を取り込む開放的なプランとし、南北に抜ける通り土間を中央に配している。夏は南面に設けた深い庇で日差しを遮り、通り土間南北の引き戸を全開放し、自然な風が通り抜ける住まいとなる。

断面計画は、通り土間南面に吹抜けを設けることで、温度差を利用した重力換気を行う。暖められた空気は土間から吹抜けに上がり、ファミリールーム北側の窓から外部へ抜けていく計画である。冬は南面に設けた窓から差し込む日射熱を熱容量の大きな墨入りモルタルの床に蓄熱させ暖房効果を得ることで、室内環境の安定化を図った。また通り土間は、冬の太陽光による蓄熱だけでなく、夏は夜間に風を通し蓄冷による効果も期待している。

この敷地でもっとも気持ち良い部分が北東側の山並みへの視線の抜けである。その方向に意識を向けて暮らせるよう、建築は北東側に開いたL形としている。北庭は外部土間も北東側に向け、プライバシーを確保する塀を点在させ、その中に植栽を配置し、北東の角には、地域の人達の集いの場となるようベンチを設けている。この場所が四季の変化やその成長を地域で楽しむ原風景になればと願っている。

建設地
広島県福山市 
敷地環境
海浜近郊
構造
木造
階数
地上2階
敷地面積
391.24㎡
建築面積
86.54㎡
延べ床面積
136.23㎡
工事費
-
家族構成
夫婦+子供1人+姉+猫1匹
居住者の年齢
-
設計者名(事務所名)
穂垣友康/くらし設計室

図面

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