[ 設備-005 ]
暖気を家中に循環させ良好な温熱環境をつくる簡単な仕組み。

設備部門

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住宅内に大きな温度差をつくらないことは身体的快適さ、ヒートショックの防止、結露・カビ防止の為に必須と考えた方がよさそうです。

放っておけば暖気は上昇、冷気は下降しますので、(2階建て住宅で言えば)2階天井付近の温度ばかりが上昇し、1階床面は冷気溜まりとなって冷え込みます。対応策として、安価で単純な下がりダクト及び筒状ファンと温度スイッチを使った暖気循環による温度差を解消する仕組みを、Y邸を例に紹介します。

暖房時の熱源には、(使用電力の5倍以上の熱を生み出し熱効率のとても良い)ヒートポンプ式エアコンを採用。太陽光の採り入れ(ダイレクトゲイン)、住宅外周の断熱に加え、基礎断熱による蓄熱を併用し、1階居間・食堂用エアコンを必要に応じ稼働します。

写真は居間・食堂です。左上の天井埋込型エアコンから右(南)はき出し窓方向に床面を舐めるように暖気が吹き出し(晴れの日であれば南からの太陽光により床面が温められ)室温が上昇します。こうして生じた温かい空気=暖気は写真左方向手前にある階段吹抜けから上昇しようとします。

写真中央左寄りにある白い筒が、2階から暖気を呼び戻す下がりダクトです。下部のテレビ横あたりに同じく白く塗装された筒状ファン(V-150C/三菱電機)が仕込まれています。2階に設置された温度スイッチ(P-03CTU/同)と連動し、設定温度になると作動し2階勾配天井頂部に集まる暖気を1階に下ろし、家具巾木位置に見えるスリットから吹き出します。これも、前記暖気に合流します。

*1階に生じた暖気のエネルギーの一部は基礎断熱された床下土間スラブ(+その下の大地)に蓄熱され、夜間あるいは曇・雨天時に放熱し、床面温度=温熱環境の低下を和らげてくれます。

Photo : 野口泰司

(1枚目の写真の左(北)和室方向を見る)
左側に階段吹抜けが見えます。前記居間・食堂に生じた暖気はこの階段吹抜から上昇しようとします。
*1枚目の写真にある下がりダクトと階段吹抜は、住宅平面の対角線上の出来るだけ離れた反対位置に配置すると、暖気循環経路が住宅全体をカバーし理想的です(図面参照)。
Photo : 冨田 治

暖気が上昇する階段吹抜。
上昇する暖気が正面上部のかなり大きな開口により生じるコールドドラフト(冷却された空気が下方に流れ降りる現象)を解消してくれるようです。
Photo : 冨田 治

(前の写真の階段踊り場から、振り返って南方向を見る)
1階から上昇してきた暖気は左の寝室(和室)と中央欄間状の開口から子供室(洋室)に、上り勾配天井に沿って更に上昇移動します。
Photo : 野口泰司

1階から昇ってきた(晴天であれば2階南面からのダイレクトゲインで更に暖められ)暖気は勾配天井を頂部まで昇り、設定温度以上になると、和室左角に見える白い下がりダクト上部から(1枚目の写真の)1階居間・食堂に送られます。
同様に、前の写真で2階子供室に向かった暖気は、1階ご婦人の趣味の作業室に送られこれを温めます。いずれも、再び、2階に向かう循環過程に合流します。
*N邸では下がりダクトは2か所ですが、プランによっては1カ所でも勿論成立します。
Photo : 野口泰司

建設地
神奈川県相模原市 
敷地環境
郊外の住宅地
構造
木造
階数
2階建
敷地面積
197.4㎡
建築面積
67.23㎡
延べ床面積
117.59㎡
工事費
家族構成
夫婦+子供1人
居住者の年齢
50代
設計者名(事務所名)
野口泰司(野口泰司建築工房)

図面

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