家づくりレポート
■ 樫の木を望む二世帯住宅
写真:吉田 香代子

左から2階子世帯の寝室、小屋裏、LDK、テラスと繋がる一室空間。内外共に木製引込み戸と収納ブラインドでTPOに合わせて調整する。
建て主さんは高齢のご両親と共働きの娘さん夫婦、近くには独立した息子さんが居ます。

内と外を繋ぐ、板塀で囲われた坪庭、通り土間とテラス、奥には表庭と隣地の白樫が続く。
敷地を見てまず目を引いたのは西隣地に根をはる白樫(区保存樹)の大木です。
娘さんが子供の頃から見慣れていたその大木をかこむように、枕木の駐車場と表庭、玄関ポーチを設けて親世帯と子世帯、白樫のある街並みとが程よい距離を保てるようにしました。
1階の親世帯は、玄関を兼ねた薪ストーブのある通り土間から板塀で囲まれ水盤のある落ち着いた坪庭へと繋がります。2階の子世帯も専用の玄関と水廻りを設けて設備も全て分離、必要な時は内部扉を使い気軽に行き来します。白樫の大木は、玄関ポーチや通り土間、2階ホール、LD、ウッドテラスと様々な場所や高さから望め、水盤の坪庭や周辺の緑と共に時間や季節の変化を感じることができます。
竣工後、水盤の庭には息子さんが始めたメダカ鉢のビオトープが育ち、定年を迎えたご主人の薪ストーブ焚きも手際よく、夫人のストーブ料理をご馳走になりました。
最近では黒猫も加わり日々ご家族らしい住まいに彩られています。
建築DATA 1階床面積: 77.36㎡ (23.4坪) 〈家族構成〉
2階床面積: 66.78㎡ (20.2坪) 両親+夫婦+息子さん時々泊り
延べ床面積: 144.13㎡ (43.6坪)
構 造:木造2階建て
[家づくりニュース2016年6月号掲載]
■ (学)わらべのこころ・小平あおば幼稚園「森しんしゃ舎」
写真:多田 ユウコ

朝のお遊びの時間。約20m角の建物です。 左右対称で少し堅いイメージですが、実際は背も低く抑え、かわいいボリュームで、周囲にも気を使っています。 2階の腰壁まで杉板を張り、昔の小学校のようでもあります。
1990年から1994年にかけてデザインさせていただいた埼玉県入間市の「あんず幼稚園」をみてご依頼いただきました。
20数年前のものを見て気に入っていただくって、嬉しいお話です。
遮ることの無い連続した空間、外から中を通り抜け再び外に出る内外の繋がった空間。
数年にわたる増築から生み出された迷宮空間。ここで繰り広げられる子供たちの生活ぶりが、幼児教育の共感へと繋がったようです。上手に使いこなしていただいた結果ではあるのですが、、、。

北保育室から中央遊戯室〜エントランスを見る。2階ハイサイドライトから陽射しが木漏れ日のように床を照らします。床は30mmの杉フローリング。低温乾燥材なので優しい風合いが残っています。この材料にすることで床暖房は採用しませんでした。でもとっても暖かい。子供たちはみんな裸足になってしまいます。
小さな小屋から始まった幼稚園。
途中、小学校の廃材を再利用して作られた園舎に変わり、60年以上がんばってきました。東日本大震災にも耐えましたが、耐震改修をしなければならず、建て替えに至ったのです。
東京都の助成金事業になっています。
新園舎は武蔵野の森を再現するように、大きな材木で、包まれるようにデザインされています。
森のような空間
こども達は森の動物たち、虫たち、鳥たちのように自由に元気良く飛び回ります。木のぬくもりと明るい陽射しの中で新しい歴史が作られていきます。近所には卒園生もたくさん住んでいます。孫のいる卒園生もいます。
時々立ち寄ってくれます。そんな卒業生の記憶も消さぬよう、既存園舎の床に使われていた材料は、新園舎の腰壁に再利用しました。
国産杉の大きな梁と柱は全国探し回ってやっと手に入れました。
小さな土地になんとか基準を満たす園舎。
あんず幼稚園が外に広がる空間に対して、こちらは中に広がる空間になっています。中央の広場のような遊戯室は、木漏れ日の落ちる森の中の原っぱです。
森のようにゆっくりと時を刻んでいく新しい園舎です。
建築DATA 1階床面積 : 362.22㎡(109.57坪) 構 造:木造2階建て
2階床面積 : 164.10㎡( 49.64坪) 用 途:幼稚園
延べ床面積 : 526.32㎡(159.21坪)
[家づくりニュース2016年6月号掲載]
- 2016.06.01
- 建築家:倉島 和弥
- RABBITSON一級建築士事務所
■ あざみ野の家 Ⅱ

格子で覆われた建物南面。腐りづらい特殊な木材を使い、近い将来変化するであろう色に塗ってある。
成熟した閑静な住宅街の中に或る住まいで、永らく生活していたSさんが建て替えを決意されたのは家族構成の変化と、夏暑く冬寒い断熱性の低い家に耐えられなくなったからと伺った。
その為、当初から断熱性と空調には気を使いながらの設計となった。
壁は従来の充填断熱ながら、特に性能の高い断熱材を使用し、夏の厳しい暑さに対しては屋根面での外断熱で対応している。
庇も充分に出し、直射日光から家を守るデザインとした。
南面の家を囲う格子はデザイン性と共に、外壁面に当たる直射日光から外壁を保護する役目も持っている。
1階には床暖房を使っているが、温水を使ったものではなく、ダクトの中を暖まった空気が流れる北欧のシステムを採用した。

作り付け家具を使い、LDにも収納を作った。
引っ越し後(丁度寒い時期でした)の印象も良く、工事の時期移っていたマンションと変わらない暖かさだと聞き、ホッとしている。
また配置計画では道路から奥まった位置に建物を配置し、道路側に相当量の植栽を植える事で周囲の環境にも配慮した。
プランニングに関してはいつも通り収納に配慮し、片付いた生活が出来るように細かい工夫を重ねている。
またキッチンも収納と考え、この家に合わせてデザインし家具工事で設置した。
建築DATA 地階床面積: 86.40㎡ (26.13坪) 〈家族構成〉
1階床面積: 129.98㎡ (39.32坪) 父、娘(次女)、長女夫婦+子供
2階床面積: 111.79㎡ (33.82坪)
延べ床面積: 328.17㎡ (99.27坪)
構 造:地下コンクリート+木造2階建て
[家づくりニュース2016年5月号掲載]
■ 森のあとりえ

仲間が集い語らう大空間のLDK、赤いキッチンが心を高揚させます

窓の向こうには四季折々に表情を変える安曇野の景色が広がります
「いつもと違う暮らし」を楽しむため、オフホワイトと木を基調とした作りの中に玄関ドアをはじめとする赤・青・緑の「色」や「模様」などポップな要素を取り入れました。
「色・模様」を取り入れる事で建物は全く違った表情を持ち、それらを目にする事で視覚的な面から心の高揚感が溢れ出し、住まい手の個性が溢れた「いつもと違う暮らし」が生まれました。

お客様を明るく元気よく迎えてくれる赤い玄関ドア
もう一つの「いつもと違う暮らし」は、北アルプスに面した南・西面には大きな窓とテラスを設け、四季折々に移りゆく北アルプスや里山の風景、森を吹く風、沢を流れる水の音、しんしんと音を立てずに降る雪さえもがまるで自分だけのためにあるかのように感じます。
35畳という大空間のリビングでは、集まってくる仲間達も自由に料理を作ったりお喋りを楽しんだりして、「いつもと違う暮らし」に触れてもらおうとの思いから、赤い扉のオープンなアイランド型キッチンが設置されています。
建築DATA 1階床面積 : 21.97㎡ ( 6.64坪) 〈家族構成〉
2階床面積: 114.11㎡ (34.51坪) 夫婦など
延べ床面積: 136.08㎡ (41.16坪)
構 造 : 木造2階建て
[家づくりニュース2016年5月号掲載]
- 2016.05.17
- 建築家:山下 和希
- アトリエ・アースワーク
■ 杜の里(もりのさと)
写真:スパイラル/小林 浩志

床、天井の材はすべて杉材。壁の仕上げは、土佐漆喰塗り。壁内はすべて杉の3層構造パネル
敷地は、なだらかな坂道に面した台形である。
敷地東側には、モミジの木がもともとあり、この木を残した。眺めについては、敷地と隣接地の緑の関係を考えて、窓位置に合わせて借景している。
2階からは、遠くの森の景色が窓越しに連なるように見える。

玄関ホールの階段から、台所、居間、食堂方向を見る。

外観右手は元気になったモミジ。外壁は色漆喰左官塗り。
この住宅は、都心を遠く離れた自然豊かな子育てには、とても理想的な環境に建っている。
家の壁内は、杉の三層構造パネルの無垢を2枚重ねてあり、全くすきまをつくっていない。
断熱材としてもその材を活用している。
さらには、子供達の健康を考えて、プラスチック部材や、接着材を使用している材料は、内部に直接出る部分には使用していない。

居間、食堂、スタディコーナー、和室のワンルーム空間を見る。
木はすべて杉材で、塗装はしていない。家族は素足の感覚でずっと暮らしたいと考えている。
小さな子供達が、家のなかを飛びまわれるようなワンルーム田舎家プランである。
敷地内の高低差の都合上、内部にも階段等の段差があるが、それがかえって空間を楽しく豊かなものにしている。
そして、道路に塀を建てずにプライバシーを確保できている住宅となった。
建築DATA 1階床面積 : 59.60㎡ (18.02坪) 〈家族構成〉
2階床面積 : 27.44㎡ ( 8.30坪) 夫婦+子供3人
延べ床面積 : 87.04㎡ (26.32坪)
構 造 : 木造2階建て
[家づくりニュース2016年4月号掲載]
■ 二人の小さな家

[室内]東南コーナー窓

[外観]二階角が窓です
総二階、延床面積21・5坪の中に、将来用ホームエレベータースペースの押し入れがあり、階段含めて広さ10坪の居間食堂では、少し狭苦しい感じがします。
そこで広がりをつくり出すために、東と南に単独の窓を設けるのではなく、二階の南面の東西の両角を窓にしています。
耐力は中央の壁で担います。
コーナーを窓にすることで、両角が開放され、空間が拡大して感じられます。
その上で、空間ボリュウムも大きくするために室内は勾配天井とし、中央部を高くし、下り天井面をそのまま、1m跳ね出した軒裏天井に連続させ、部屋が外部まで延長されてあるように見せます。
小さくても開放感があり、春には窓外の並木道の桜が窓いっぱい目に飛び込んできます。
建築DATA 1階床面積 : 35.54㎡(10.75坪) 〈家族構成〉
2階床面積 : 35.54㎡(10.75坪) 夫婦
延べ床面積 : 71.07㎡(21.50坪)
構 造 : 木造2階建て
[家づくりニュース2016年4月号掲載]
■ 「リフォーム」から「リノベーション」

[現状を残す和室] 落ち着いた和室を極力保存しながら、耐震補強と断熱補強をしっかりと行いました。
数年前までは、建て替えかリフォームか?というような記事がよく見られました。
私も相談があった場合、1,000万円を超えると建て替えを勧めていたような気がします。
またリフォームの依頼も設計事務所にはほとんどありませんでしたが、ここ5年くらいの間に状況がドンドン変わって参りました。
リフォームの依頼が全く無かったわけではありませんが、増築や間取りの変更、バリアフリー化などの数10万円から300万円くらいまでのものがあった程度でしたが、法改正で増築が難しくなったり、耐震補強の補助金が出るようになったり、住宅が余る状況や不景気感があったりで、住宅工事を取り巻く環境が大きく様変わりして参りました。
ここ2、3年は私の事務所でもリノベーションの依頼が少しづつですが出て参りました。
リノベーションはリフォームと違って、規模が比較的大きな工事で、新たな魅力を加えるものと考えていますが、そのスタートは耐震補強からのものが多くなっています。
もちろん家族構成が変わって、建て替えるのもどうかな?という建て主さんもいます。
今、建て替えかリノベーションか?の分岐点(総工費)は、既存建物の程度にも拠るのですが、構造的に補強が可能であれば1,500万円かなと考えています。
構造的には比較的安心な、マンションの木の家化などもしたいと考えていますが、戸建の場合は構造体に不安が残るので、しっかりとした事前調査や打合せが必要になります。
新たな魅力を加えるという点では、建築家に依頼する価値が十分にあると思います。
単に直す、きれいにするのではなく、フルのリノベでは新築とは違った魅力を得られるかも知れません。

[大きく変わったLDK+] 応接間+DK+和室+縁側を、ほぼワンルームのLDKとして、快適で楽しい空間としました。隣接した脱衣室、浴室、トイレも新しくし、動線をスムーズにしています。

[外観] 昭和56年新耐震になる前の住宅の耐震補強+バリアフリー化+いろいろ今回のリノベーションは珍しいパターンではありますが、予算の関係で外部はあまりいじらない工事となりました。
建築DATA 1階床面積 : 76.599㎡(23.17坪) 〈家族構成〉
2階床面積 : 33.124㎡(10.02坪) 夫婦
延べ床面積 : 109.723㎡(33.19坪)
構 造 : 木造2階建て
[家づくりニュース2016年3月号掲載]
■ 川間の家 〜 夫婦二人のペレットストーブのある家 〜

[居間]ペレットストーブのある居間。陽当たりも抜群
建て主さんの方からの主な要望は

[ダイニング]居間方向を見たところ。テーブル右側のガラスの框戸を開けると台所です
- 公園の桜が満喫できるような家。
- 暖房を兼ねた薪ストーブがほしい。
- 寝室はそれぞれ個室に。
- 気持のよい浴室がほしい。
- ネコがキッチンに入れないようにしたい。
でもキッチンの閉塞感はなくしたい。
それに対して、私がそれぞれに提案したのは
- 1階の居間・ダイニングから公園の桜が見えるように大きな開口部
を設ける。
予算的に木製建具はできないが、アルミサッシでもアルミ部分が目
立たないように工夫。
2階の畳の部屋が花見の特等席。 - 着火や消火が簡単で、煙突掃除も薪ストーブほど手の掛からない鋳
鉄製のペレットストーブを提案。
ストーブの廻りに耐熱を兼ねた大谷石を積んで雰囲気造り。
暖房器具はこれ一つで大丈夫。 - 寝室は別でも、調子の悪いときにお互いの気配がわかるような工夫
を提案。 - ハーフユニットバスを使いながら、壁天井は檜張り。
外から覗けない坪庭も造って温泉気分満喫。 - キッチンからダイニングを通して外が見えるように開放的にしなが
[浴室]朝風呂派のご夫婦に大好評の温泉気分の味わえる浴室
らもネコが入れないように鍵付きガラスの框戸を設置。
他にもいろいろなやりとりの結果、時間がゆったりと流れるような住宅が出来上がりました。
今度は桜の季節に点検に伺う予定です。
ちょっと楽しみ!

[公園から勝手口方向を見たところ]春には公園の桜を満喫できます
建築DATA 1階床面積 : 58.87㎡(17.8坪) 〈家族構成〉
2階床面積 : 38.92㎡(11.7坪) 夫婦
延べ床面積 : 97.79㎡(29.5坪)
構 造 : 木造2階建て
[家づくりニュース2016年3月号掲載]
■ つづら折りの家

東南の木製建具を開放して中庭を取り込む

南側外観、両脇のモミジと外露地
今は誰も住んでいないこの家をゆっくり眺めては歩き、また立ち止まっては眺めたり、敷地内外を歩き回りました。
「家」と「庭」を丁寧に手入れされながら、自然を身近に感じてお住まいになっていたであろうこの平屋の、この場所の光と湿気を含んだこの空気感を体に覚えさせる事が、ここでの家づくりのスタートになると感じました。
モミジや紅白の梅などの庭木や瓦・敷石・大谷石など残せるものは出来るだけ残し再利用することにして古家は解体、敷地は南北に長く二等分されました。
新しい住まいは近隣の緑と敷地内の緑を注意深く繋げ、豊かな景観に育つよう配慮し敷地内外に奥行きのある住空間を提案しました。

広間から階段方向を見る
秩序の中のわずかなズレが親しみやすさを生み、家族を穏やかな気持ちにさせるのではないか、機能性や効率最優先からほんの少しだけ距離をとることで、そこには何か情緒が形になって現われるのではないかと考えたのです。
ささやかであっても日々の美しい生活を豊かに味わう、そんな住まいになればと建て主家族と一緒に夢を描きました。
photo:Masao Nishikawa
建築DATA 1階床面積 : 69.69㎡(21.08坪) 〈家族構成〉
2階床面積 : 35.60㎡(10.76坪) 夫婦
延べ床面積 : 105.29㎡(31.85坪)
構 造 : 木造2階建て
[家づくりニュース2016年2月号掲載]
■ 風の家

蓄熱式床冷暖房を埋設したコンクリート土間の上に箱状の個室が点在する
はじめまして、2015年12月に入会致しました佐々木善樹と申します。
浅草、観音裏の住宅地の一角に佐々木善樹建築研究室を開設しています。
この事務所はThought-FACTORYという別名も持ち、台東区の「アトリエ店舗」に登録されています。
ここでは家づくりに役立つ約800冊の本が自由に読めるようになっており、毎週末には佐々木善樹と家づくりをした住み手の皆さんが交代でマスターをつとめるカフェも開かれます。
一度遊びに来てみてください。
「風の家」を紹介します。
建て主は目の前に多摩川を望み、土手に公道を通らずに出入りできる伸びやかな環境の土地を手に入れました。
木造2階建てのこの家は1階のコンクリート土間の上に小さな箱状の個室を置いて寝室や子供室や倉庫とし、2階にはキッチンをはじめとした家族皆の空間を配置してスノコデッキへと繋げました。
このデッキはアウトリビングとしてだけではなく多摩川からの涼風を室内に採り込む装置となるように考えました。
またキッチン上部の小窓のあるロフトは遠く富士山を望む座禅の場になっています。
たくさんの居場所がある家が良いと考えます。
単行本と珈琲を持って、今日はどこでお茶をしようかと居場所を探せるような家が理想です。
例えば家族皆での夕食はココで、今日は1人だからお膳を持ってココで食べよう、などなど。
寝る場所さえ季節や気分によって自由でありたいと思います。
生活の多様なシーンを家の間取りによって制限されない家が良いと思います。
広い場所と狭い場所、明るい場所と暗い場所、天井の高い場所と低い場所。
多様な空間を家の中に用意して、あとは時の流れの中で、住み手と共に自在に育ってゆくような家が良いと思っています。

アウトリビングデッキから多摩川方面を望む 多摩川土手からみた外観
建築DATA 1階床面積 : 47.43㎡ (14.34坪) 〈家族構成〉
2階床面積 : 28.54㎡ ( 8.63坪) 夫婦+子供2人
延べ床面積 : 75.97㎡ (22.97坪) (その他ロフト:7.72㎡)
構 造 : 2階建て
[家づくりニュース2016年2月号掲載]
- 2016.02.02
- 建築家:佐々木 善樹
- 佐々木善樹建築研究室
■ つばさの家 -RC造で実現した開放的空間-

手前からリビング-ダイニング。雁行配置をしながら、中庭の向うにワークスペースがあります。
敷地は住宅密集地にあり、杉並区の定める地区計画上、耐火構造であることが求められました。
また、近くを通る環状線からの遮音対策も考え、RC造とするのが自然な選択肢でした。

南側テラスから見上げた外観。大きな開口と、2層ある深い庇が特徴。上部のベイマツの軒庇はテラス部分のみならず、南面の間口いっぱいに架けています。

アプローチ側からの外観。プライバシー保護を目的に、奥に開放的なリビングがあることが判らないようにしています。
また、南面に対し大きな開口を設けて家の奥まで陽光を届け、夏の強い日差しを遮るために深い庇を設けました。
さらには、家の中心に中庭状のルーフテラスを設けて周囲に開口部を設け、そこから下に光を落とす工夫をしています。
RC造であることのメリットやオーナーの要望を収斂していった結果、屋根や天井が「つばさ」を広げたような形状となり、大らかな家族を表現するのに相応しいものとなりました。
「つばさ」を仰ぐと、周囲から覗かれる心配なく青空が垣間見え、住宅が密集しているとは思えない「のびやかな」空間に仕立て上げることができたと思っています。
建築DATA 1階床面積 : 100.61㎡(30.43坪) 〈家族構成〉
2階床面積 : 63.64㎡(19.25坪) 夫婦+子供2人
延べ床面積 : 164.25㎡(49.68坪)
構 造 : RC造地上2階建
[家づくりニュース2015年12月号掲載]
- 2015.12.01
- 建築家:白崎 泰弘
- シーズ・アーキスタディオ建築設計室
■ 厚木の家 ~ 四世代をつなぐ平屋の家 ~

四世代が集まる25帖の居間、食堂、キッチン。

世代をつなぐ通り土間。子夫婦の趣味土間から玄関方向を見る。左がストーブ土間と中庭。
四世代、両親+夫婦+子夫婦+孫の七人家族と二匹の愛犬のための家です。
寄せ棟の屋根が変形コの字型に庭を囲み、各世代がお互いに適度な距離を保ちつつ仲良く暮らせるように部屋を配置しました。
玄関から薪ストーブのある居間、そして庭へと続く通り土間は、世代をつなぐ路地の役割を持ち、中庭を室内へと導き離れの和室へと続きます。
高齢者と愛犬のために玄関から庭の木製デッキまでは土間を介して段差のないバリアフリー空間とし、祖父母の部屋は水廻りと家族の集まる居間の近く、陽当たりの良いところに設けています。
通り土間には、栃木産の芦野石を敷き詰め、室内床は無垢のスギ板、壁は漆喰で仕上げたことで、やわらかい空間に仕上がりました。
中庭と北庭には施主さん自ら選んだ季節を感じられる樹々を植え、主要な窓には大きな木製建具を使うことで、周囲に配された植樹をより身近に感じることができます。
10年前、施主さん夫妻のために山梨に建つ週末住居を設計していて、この家は二件目の設計依頼となります。
そこで使った太陽熱を利用した床暖房システム「そよ風」と薪ストーブをこの家でも採用することにより、52坪の広い家全体をまんべんなく暖めることができるようになりました。
大家族が一つ屋根の下で暮らす日常。
世代が移る数十年後、そしてその後も同じようにこの家での暮らしが続いてくれればと思います。
建築DATA 1階床面積 : 171.90㎡( 52坪) 〈家族構成〉
敷地面積 : 595.04㎡(180坪) 夫婦+両親+子夫婦+孫
構 造 : 木造平屋建て
[家づくりニュース2015年12月号掲載]