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ぶどう畑の家

 山梨県笛吹市で設計した住宅です。のどかなぶどう畑の中に建っています。この敷地も元々はお父さんがぶどうを育てていた場所です。都心での設計では考えられないようなロケーションで、300坪の土地に対して40坪弱の建物をどんな風に配置するか、この風景にはどんな形があるべきなのか……そんなことを考えて設計をスタートさせました。
 敷地が大きいので、こんな時こそ方位を気にした設計にすれば良いだろうと考えていたのですが、それだけでは解決しない要素がいくつか見えてきました。ほぼ360°開放された敷地でどこを開いてどこを閉じるか、プライベートの確保はどうすれば良いか、そもそもエアコンの室外機や給湯器はどこに置くのが良いのか……等々。
 配置計画で手がかりになったのは、甲府盆地を見下ろす夜景でした。建物を長細くすることで、短辺方向の両側から明るさと通風を確保することが出来、風通しが良く、畑の緑をいつも感じられる家になりました。道路とは反対側をデッキとして開き、道路側は開口部を小さく、2階のスタディコーナーの横長窓から甲府盆地の夜景を眺める計画としています。
 形は単純に「三角屋根の家形」としました。仕上げも、手作りの雰囲気が出ることを願ってガルバリウムの一文字葺としました。のどかなロケーションに素朴な家になったかな、と思っています。
 現場監理は終始和やかに進みました。冬にスタートした現場も春になり、夏になり、ぶどうと桃の育つ様子も楽しみにしながら、中央高速を走り、帰りは甲府盆地の夜景を確認して帰るという小旅行のスタイルで終わってしまうのが少し残念です。引渡の日に、蛍が現れて建主さんと監督と驚いたのが印象的でした。

 余談ですが、畑の中の敷地というのは本当に手強い。地図を見ながらでもなかなか敷地にたどり着けず、着工する前の段階で調査やら観察で敷地に何度か通っていたにも関わらず、地鎮祭に遅刻しそうになりました。

ぶどう畑の家
周囲は、ほとんどが「ぶどう畑」で、住宅は点在する程度。
こんなのどかな場所ですが、実はすぐそばをリニアモーターカーが通ることになっていて、橋脚工事の様子を見ることができます。

ぶどう畑の家
内部の雰囲気は、構造体を現しにして、無垢材・自然素材でまとめています。長細いプランで、短辺方向に風が通り抜けます。周囲の畑や山の緑を室内で感じることが出来るプランです。