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リノベーションという選択

骨組み状態のみになった建物


ただ今、築三十数年となる木造2階建て住宅のリノベーション工事中です。
キッチンや浴室の一部やり替え、壁紙の張替えなど比較的小規模な工事をおこなう「リフォーム」と違い「リノベーション」とは、建物を柱と梁だけの骨組み状態にして、新たに間取りを考え直し、耐震補強をおこない、老朽化した設備配管などを取替え、もとの建物性能以上に再生させる工事のことです。

現場にあった鶴と松の書院格子

もともとはご両親が住まわれていたこの住まい、子世帯に孫が生まれたことをきっかけに、2世帯住宅として一緒に暮らすことができないかと計画が始まりました。

現場は、都心の道路より奥まった緑に囲まれた静かな環境。
室内に入ると床はたわみ多少ガタがきているものの、手の込んだ欄間や格子戸、立派な床柱、庭の眺めなどが目に入りました。

建替えか、リフォームか? 
と悩まれた末、後世代に家の記憶を残し、2世帯が程よい距離感が保てるようプランを考え直す、リノベーションという選択となりました。
リノベーションとする理由は、住み慣れた家に愛着がある、継いだ家を守りたい、建替えると面積が減ってしまう、少しでもコストを抑えたいなど様々です。
木造住宅は柱と梁が構造体となっているので改築しやすく、大きく間取りや水回りを変更しても適切に設計してゆけば何世代にも渡って住み続けることが可能です。

完成予定模型

完成予定模型

先ずは、骨組みの見直しです。
建物の構造基準は、昭和56年に「耐震」に対する考え方が根本的に改正されました。
このことから、改正以前の基準の建物を「旧耐震の建物」、以降の建物を「新耐震の建物」といいます。
旧耐震の建物は、現状の耐震診断をおこない、今の構造基準を満たすように補強計画を考えなければなりません。

表面的な化粧直しだけでなく、構造補強や断熱性能を高めるリノベーションは、新築に近いコストが掛かります。
東京都では、耐震補強工事やバリアフリー改修などに掛かる費用の一部を助成する制度もあるので要チェックです。

解体工事を終え、骨組みだけになった建物は壮観です。
親の代から住み続けられた住まい。数々の家の思い出。
次の次の世代と同じく、新たに生まれかわるための準備です。

建築DATA

延べ床面積 : 62.23坪           〈家族構成〉
構   造 : 木造2階建て         両親 + 夫婦 + 子供2人

[家づくりニュース2013年6月号_掲載]