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八王子・和の中心の家

撮影:石井 雅義

大きな広間は縁側や出入り口とつながって、あけっぴろげ。


出入り口はL型に開放できて大勢の靴や荷物が並ぶ。

一緒に住むのではなくて、敷地の一部に「建てたらどうだい?」と親から、愛のある声をかけられる子世帯の住宅が増えました。
スープの冷めない距離というやつでしょうか。
八王子に建つこの住宅はそんな要素も含みながら、さらに経営する数店舗のコンビニエンスストアの従業員も集まって来ます。
従業員たちで草野球チームをつくっていて、それが絶妙なチームワークを成り立たせていて、スタッフみんなが積極的に頑張るすばらしい店舗経営の源になっています。
ですから、この住宅はいろんな方面の「和の中心」という役割を担っているのでした。
大きな声じゃ言えないけれど、鍵もかけない(笑)。
大きく開放していて、近所の人も寄っていくし、野菜も置いていく。
野球から泥だらけで帰ってきたチームのメンバーがシャワーを浴びて、その後子供も含めた大勢で宴会がはじまる。
台所は誰でも入って、料理が得意な人がつくる。
手が空いた人が片付ける。
従業員たちは家族のようなものとして、爽やかに「体育会系」の関係性の中で日常生活が営まれています。
大勢を許容しながら家族4人の暮らしもあって、風呂敷みたいに大きくても小さくても用が足りることが望まれました。
家具はなるべく置かずに、大勢にも対応できるように大きな座卓だけ創りました。
床はゴロンとなっても気持ちのいい柔らかく厚い杉板にして、庭とつづく半屋外の縁側とつながっています。
縁側は野球チームの泥んこの荷物を置く役割もあり、汚れたままシャワーに直行できます。
広くてL型の出入り口は、いっぺんに多人数の出入りが可能です。
夏は全開放、冬は障子よりも丈夫なダンボール状の鏡板が入った建具を閉めます。
といった訳で楽しい住宅ができたのですが、問題がありまして…
それは、なかなか人が帰らないこと! 
時間が来たら「蛍の光」が流れるような設計しないといけないかなあ。

 

建築DATA

1階床面積 : 76.76㎡(23.21坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 44.07㎡(13.33坪)           夫婦+少年×2+高齢ウサギ×1
延べ床面積 : 184.00㎡(55.00坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年5月号掲載]