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大磯の家

 駅からの急な坂道を15分ほど歩いて、ほぼ登り切った所にこの家はあります。敷地からは眼下に相模湾が広がり、天気の良い日には遠く大島や伊豆半島まで眺められます。周囲には木々が茂り、まるで別荘地のようです。この恵まれた景観をどう空間に生かすかが、設計の大事なテーマとなりました。
 海に向かって大きな窓を開ければ景色はよく見えますが、それがそのまま屋内環境の快適さに結びつくとは限りません。ここではあえて窓の大きさに限って、絵画の額のように景色を切り取って見せる事にしました。そしてそれぞれの窓から、生活の様々な場面でそれぞれの景色が得られるように、家の中のどこからでも海への眺望や周囲の緑が目に入るように計画しています。
 建物の形は、敷地の形になじませながら海とアプローチの坂道の正対させるために、四角形の一辺をつまんで引っ張ったような、野球のホームベースのような平面になっています。鈍角の角の所は屋内に吹き抜けになっていて、斜めの壁が小さな空間を生み出しています。屋内の壁は珪藻土の左官仕上げです。窓から差し込む海辺の強い光は時間と共にうつろい、壁に反射して拡散し、柔らかく室内を満たします。
 敷地も家も広くはありませんが、外部との関係を注意深く作ることで、広がりのある豊かな空間となっています。

大磯の家
リビングの窓は障子も全て引き込む事ができます。

大磯の家
2階ホール。正面は寝室。どの場所からも周囲の緑や海の眺めが楽しめます。