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宇須の家

旧市街地・和歌山市宇須にての建て替え

撮影:長岡 浩二

宇須の家-外観_山下

ファザードから玄関・中庭に続く庇。


『宇須の家』は和歌山城下中心部にあり、古い民家が数多く残る旧市街地に計画されました。

 

世代が進むことで町並みが変わり、そして新旧が混在しながらも移り替わる様子が伺えます。
また、依頼主であるご夫妻は築75年経過した町家を購入されその後、この家で15年間子育てをされた後に建替えを決意したと言われます。
自分たちがシニアになり、子供が成長したから「こんどは我々の楽しむ番」との事。
新築する建物が与える周辺環境への配慮を第一に考え、時間の経過と共に町並みと調和する住宅になる様願われました。
平面計画としては敷地の特徴より、間口が狭く奥行きが長い敷地ゆえに、(間口8m╳奥行30m)建物の中央に坪庭を設ける事で、リビング・ダイニング、2FMBR(主寝室)への通風と採光を取るようにしました。
ウナギの寝床スタイルではどうしても玄関までの距離が長く成る、その部分に幅1.6m╳長さ12mの庇を採用しました。
そうする事でファサードを印象付ける形となり、何より急な降雨時にも安心して玄関まで辿り着く結果を生みました。
ご夫妻から出された第二の希望は、子供たちが巣立った後でも戻ってこれる場所を残したい。
その為に和室が2室必要との事。そして子供たちが一緒に住まなくとも、子育て時に残した思い出の絵や写真を飾る事が出来る壁を作りたいとの事でした。
私が提案した場所は誰の目にも触れる玄関先でした。
また、造船会社を経営される傍ら、思い出の品である舵をその壁に飾り付けました。
この家の設計をさせて頂き学んだ事は、住まいは家族の思い出作りの場所であり、そしていつでも戻って来られる場所で有る事でした。

宇須の家-室内_山下

左)リビングより玄関先を見る。                右)玄関先の階段室。思い出の絵を飾る。

 

建築DATA

1階床面積 : 85.69㎡ (25.92坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 85.69㎡ (25.92坪)            夫婦
延べ床面積 : 171.38㎡ (51.84坪)     
構   造 : 木造在来工法2階建て

[家づくりニュース2015年3月号掲載]