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巣立ちの家 ー重度障碍者のためのケアホームー

設計:ハル建築研究所+伊澤計画  撮影:テックフォト

巣立ちの家-外観_伊澤

外観:リビング、デッキは地域に開くように。

 

巣立ちの家-デッキ_伊澤

外でも過ごせるまとまった大きさのデッキ。

はじめまして、この5月に入会しました伊澤淳子ともうします。
先輩方の中で、まだまだ未熟ですが、柔軟にお施主さんと家づくりに取り組んで行きたいとおもっております。
墨田区で設計事務所を始めて6年目になります。
この3月に2軒長屋の半分をリフォームさせて頂き、自宅兼事務所としました。

 

今回の紹介させて頂く建物は、住宅ではなく、障碍者のケアホームです。
男女上下階に重度の障碍をもった方5名ずつが入居しています。

巣立ちの家-廊下_伊澤

2階の廊下、ハイサイドライトで明るく、風通しよく。

親御さんが高齢になり、将来のご子息の生活に不安を抱かれていたところからこの計画が生まれました。
敷地として、緑のある少し離れた広い場所も検討されましたが、住宅街の中で、なるべく小さな規模で近所の人々に見守られながら生活していくことを選ばれました。私が設計に入ったのは丁度その頃からでした。
ご父兄も職員や私たちと一緒に、他の施設の見学や、施設職員の話を聞き、各ご家庭でのそれぞれの生活スタイルも伺いました。
建物裏に避難用滑り台を設置しました。法律では設置義務はありませんでしたが、2階に暮らす車いすを使用する入居者には重要な避難経路です。
リビングは日当りもよく、デッキを介して地域に開くように、配置しました。
(道路側には塀をつくらないことにしました。)
外でも過ごせるよう、デッキはまとまった大きさを取りました。施設ではなく、住まいであることを強く意識し設計しました。
彼らの体は敏感で体調不良を起こしやすく、内装は自然素材を使用しました。
壁は漆喰、床はコルクタイル、居室は無垢のカラマツのフローリングに自然塗装材を使っています。

 

初めて、親元から巣立ち、新しい生活が始まっています。
そのときの不安やドキドキ感はみんな同じことでしょう。
最近は親御さんが訪れても、お客様扱されてしまい、入居者の自立を喜ぶ反面、複雑、とのお話も伺いました。

 

建築DATA

1階床面積 : 169.02㎡(51.12坪)           〈入居者〉
2階床面積 : 180.15㎡(54.49坪)            男女5名ずつ、計10名
延べ床面積 : 349.17㎡(105.62坪)    
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年11月号掲載]