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府中の家

大黒柱
 3・11のあの震災から二ヶ月後に竣工したこの建物は、工事中に大きな地震や数々の余震を体験しましたが、大黒柱に荷重を集中させることで構造体に重心が生まれ、建物全体が一体化した骨組みになり、耐震上もバランスの取れた安定を保っていました。また、大黒柱の存在感と安心感が、末永く年輪を重ねるであろう住まいへの愛着を生み出してくれるのです。大黒柱に沿うようにゆったりとした階段と広く使いやすい通路スペースが続き、屋根の形状をそのままあらわした船底天井の広くて明るい2階の空間へと展開します。

多彩な収納スペース
 造り付けの家具や床下収納などバリエーション豊かな収納スペースや収納のための仕掛けを、建物の随所にみることができます。2階床下にはデッドスペースを利用した大容量の収納があるのですが、この仕掛けは床下のメンテナンスにも役立ちます。その他、書斎を兼ねた納戸スペース、クローゼットやキッチン廻りの収納、トイレの小さな家具はそれぞれに生活上の細かな要望に答えているのです。

土間を生活に取り込む
 かつての日本ではよく見かけた土間を生活のなかに取り込むことは、住まいの動線を豊かにしてくれます。玄関から続くタイル貼りの土間スペースは、外部空間と連続して光と風を心地よく取り入れられるように工夫しています。敷地形状に合わせた変形のプランもまた豊かな動線を生み出し、建物の多様な表情をみせてくれます。

角地を活かす
 東南角に立地するこの敷地は、その形状を利用して明るくワイドな開口面をもつことが可能になります。反面、道路からの目線や開放性に対するプライバシーへの配慮が必要になりますが、外構やプランニングの工夫によって、それを解決することができます。ここでは1階のワイドな開口面からの採光と通風を十分にとりながら、優しい木目の外構が周囲からの目線を遮断し、プライバシーの確保を実現しています。

photo:府中の家_01
この住まいの一番広い空間である、2階居間・食堂スペースから階段室を臨みます。屋根の形状をそのままあらわした船底天井には、放射状に照明を配置しました。

photo:府中の家_02
玄関から続くタイル貼りの土間スペースは、外部空間と連続して、光と風を心地よく取り入れられるように工夫しています。