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方円汎居(ほうえんはんきょ)

撮影:齋部 功

方円汎居-室内_藤原

居間からダイニングと中庭をみる


方円汎居-外観_藤原

カーポートから玄関への階段

この家の完成は実は三年ほど前です。
昨年ようやく、一階が当初思い描いていた通りになり、順調のようなので、あえて今月の家に出すことにしました。

 

私たち住宅設計者の役割は、依頼者の個別の条件に合わせて、その方固有の住宅を考えていくことです。
しかしこの家は逆のアプローチを経ています。
中高層住宅がスプロール的に開発されて行く環境の敷地に対して、生活を守って行くために、どんな居住者にも当てはまる戸建ての住宅はどうあり得るのか、という点から考えてみました。
道路より低い敷地故に、湿気と集中豪雨の際の被害を避けるべく、居住スペースは一層持ち上げ、その分の費用増はそこで収益をあげられるように、最初は貸ロッカー、ゆくゆくはカフェに、と計画しました。
また周囲の中高層住宅からのプライバシイー確保のため、中庭を設け、自分の家の屋根越しの陽射しが、終日入る寸法の大きさで、形状も丸くしました。
他の、間取りや仕様、ディティール等も、個別性より、住まいとして必要なものを、原則誰にも無理なく受け入れられる在り様を意識し、細部をあまり決め込まず計画しました。

 

本来普通の形態のはずが、結果として、周囲に対し、極めて固有な存在になってしまいました。
居住スペースの下の一階は、最初貸しロッカールームとしていましたが、今はその一部を、当初の予定通り、自らが運営する、手作りパンも販売するカフェにされています。
夜は家族の生活を優先し、閉めているのに、一、二週間以上も前に予約が必要な程、盛況のようです。

 

建築DATA

1階床面積 : 50.26坪            〈家族構成〉
2階床面積 : 47.37坪            夫婦+子供2人
延べ床面積 : 97.63坪     
構   造 : 二階建て(1階鉄筋コンクリート造/2階木造)

[家づくりニュース2014年6月号掲載]