家づくりレポート »

松が崎の住まい

撮影:小川 重雄

松が崎の住まい-外観_松本

南道路から玄関までの造園アプローチ。


設計段階では息子さんから近代の名作住宅建築や好みの空間について写真や映画のシーンからお話し頂き、建築専門でない方からの感想など伺う事ができ、視野の広がる時間を共有させて頂きました。
一方で私が個人的に好んで用いているオニグルミの原木(床材に使用しています)やその製材風景を見に、遠路南会津の材木店までご家族とご一緒頂きました。
松が崎の住まい-室内_松本

1階リビング。柔らかい光が障子越しに差し込む。

何十本と積まれた一〇〇年生の原木が、住まいの大切な一部として床材になるまでの一プロセスに興味を持って頂いたことは、自然の素材に感謝しつつ、「消費する」のではなく「ものと付き合う(愛着を持つ)」関係を築きたいと思う私自身にとっては大変嬉しく、またお気持ちに感謝した機会でもありました。

 

敷地は南道路、北側に小さな林の見える豊かな周辺環境を暮らしに享受したく、結果LDKは南北両方に開放したプランニングとなりました。
プライバシーを意識し高めの塀に囲まれた南庭、2階インナーテラスを介した吹抜からは朝陽がダイニングに差し込み、住まいを南北にぬける心地よい風が通ります。
回遊動線や立体的な連続感からは住まいの一体感を得て、実質以上の広がりを得られていると思います。
そのほか、障子や鍛鉄の薪ストーブ、空間に繊細さを加える格子戸、漆喰や土壁、四種の広葉樹の板、力強い赤松の梁・・・etcなど用いて『自然を享受し、楽に楽しく自然体で暮らす住まい』を試みています。
竣工間際には雑木林と少々茶庭なども連想させる玄関への造園アプローチができ、最後に建主さんこだわりの家具が入った際は、住宅が生き生きと感じられた瞬間でした。
お引越後も、何かと口実をつくってはお邪魔させて頂いておりますが(笑)、年月を経ると共に徐々に味わいを増し、より豊かな暮らしを育む住宅になってほしいと願っています。

 

建築DATA

1階床面積 : 63.28㎡(19.14坪)          〈家族構成〉
2階床面積 : 55.53㎡(16.80坪)            母+息子
延べ床面積 : 118.81㎡(35.94坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2015年3月号掲載]