家づくりレポート

自分の家とするためのリフォーム

自分の家とするためのリフォーム-01_荒木

細長い2階居間空間です。ロフトの床を支えていた梁や2階の壁だった部分にあった柱を杉材に置き換えて現しとしました。

小規模な建て売り住宅を、建て主さんの今後の人生において住み心地の良い場所とするため、ご自身の価値観に合った空間や材料に改造した。
建て主さんからは、1階居室の暗さや冬の寒さを緩和したいとのご希望があった。
また、耐震強度の向上も望まれていた。
これらについて予算内に収まる方法での提案と説明を繰り返した。

 

建物は幅が一間半を切る細長い小屋裏収納付き総2階建てだったが、熱が篭りやすく今後は使われなくなると思われたトップライト付きの小屋裏収納の床を取り去り、生活の中心となる2階の一室空間の天井高を上げて、トップライトからの採光をこの空間に満たし、更に階段吹抜けを通して1階にまで達する工夫とした。

 

自分の家とするためのリフォーム-02_荒木

断熱性能を考え、既存の窓の内側に明障子を入れ二重窓としました。

2階は、機能的には和室と寝室に別れるが、引き込みの引戸で仕切ることにより、全体を一室空間の居間として、生活の中心として活用できるようにした。
1階はキッチンと水回りをコンパクトにまとめ、前面道路との間の出来るだけの面積を床暖房の入った土間(土間コンクリート仕上げ)として、近隣の方との会話などの交流の場とした。
土間は階段吹抜けを介して2階居間ともつながっている。

 

土間・畳・板間と材質の異なる空間を、ご自身のための、友人を招いての、近隣の方々との空間としてできるだけ広く取り、これからのここでの生活に伴う人間関係を包み込む「ひとつながりの居間」とした。
予算を考慮して、工事は極力内部側から出来るものに絞った。
サッシュも新しいものに替えることはせず、屋内に明障子を設置して二重窓とし断熱性能を確保した。

 

建築DATA

1階床面積 : 21.49㎡( 6.5坪)          〈家族構成〉
2階床面積 : 21.49㎡( 6.5坪)           一人暮らし
延べ床面積 : 42.98㎡(13.0坪)     
構   造 : 木造2階建て

 

[家づくりニュース2015年11月号掲載]

吉川の家 ~ 3本の足を持つ住宅 ~

写真:小川 重雄

吉川の家-外観_庄司

ライトアップされた斜め壁とスカルプチュアルな建築造形。
北西両方向に迫り上がるRC斜め壁からRCスラブ上に木造+ガルバリウム鋼板のフレームで覆われた2Fの構造ヴォリュームが跳ね出しています。


○ 大交差点に建つ
郊外に建つ若い夫婦のための住宅です。
吉川の家-室内_庄司

リビングの西(左)側の大開口部からは桜並木を臨むことができます。
床はウォルナットフローリング仕上げ、天井には露出型の空調機とダクトが見えます。

計画地は将来の歩道セットバック部分を除くと24坪ほどの狭小敷地で、幅員22mの市道と幅員11mの県道が交わる大きな交差点の南東角に位置しています。
西側市道の対岸には吉川市を5㎞近くにわたって南北に貫く桜の並木道が存在し、敷地からはその木々の緑を臨むことができます。
本計画では、圧倒的なスケールを持つ大規模交差点と対峙する、存在感のある造形を持つ建築を提案したいと考えました。

 

○ スカルプチュアルな造形
この住宅では、1F機能はエントランスとホールのみとし、その他のヴォリュームは建て主さんのご希望である3台分の駐車場確保のため外部に開放されたピロティー空間とした上で、この住宅における主な居住空間は全て2Fにプログラムしています。
斜めに迫り上がる象徴的な3本の足“RC傾斜壁”に支えられるフレーミングがこの住宅の建築造形を決定づける大きな要素となっています。
傾斜壁からは西側と北側へスラブを跳ね出させ、そのキャンティヴォリュームを木造の架構で包み込むことによって、必要な居室空間を確保するとともに、この住宅の建築造形を完結させています。
桜並木に向かって視覚的方向性を持つ大開口部によってその眺望を確保し、狭小住空間における開放感と快適性を実現させるとともに、混構造による象徴的なスカルプチュアルな造形を実現させました。

 

建築DATA

1階床面積 : 57.00㎡(17.24坪)          〈家族構成〉
2階床面積 : 54.83㎡(16.59坪)           夫婦+子供1人
延べ床面積 : 111.83㎡(33.83坪)     
構   造 : RC造地上2階建て

 

[家づくりニュース2015年11月号掲載]

スキップハウス ~ワンルームのような家~

仲の良い4人家族。いつでも気配を感じていたいので、ワンルームのような家を希望されました。


容積率の関係で吹抜を設けることは難しく、スキップフロアとすることで、一体感を作りました。

昔ながらの住宅街に建つコンパクトな住宅です。
仲の良い4人家族で、いつでも気配を感じていたいとのリクエストをもらいました。

 

大きな吹抜を設ければ、全体的にワンルームのような設計は可能なのですが、今回は、限られた敷地で、建蔽率が40%、容積率が80%という厳しい条件でした。吹き抜けを作ると全体の面積が小さくなってしまいます。
そこで、それぞれの階を縦方向にずらし、スキップフロアにすることで建物全体の一体感を確保しました。玄関から800mm高いところにLDKがあり、そこから1,600mm階段を上ると読書コーナーがあります。また1,600mm上がると子供コーナーとラウンジがあります。更に1,600mm上がるとロフトが続きます。
玄関からロフトまで、空気は一筆書きとなり、声や気配もつながります。洗面室や浴室、トイレ、クロゼット以外は扉も無く、本当にオープンな家です。
子供の成長に伴ってプライバシーをどのように確保して行くのか課題もありますが、建主さんの要望を取り入れ、納得の完成になったようです。

 

1階は床暖房を入れ、寒さ対策をしました。エアコンはロフト部分にも設置して、冷気が下に降りてくる計画としました。また、キッチンは家具工事の造作としたり、壁はローラー漆喰にしたりと自然素材の雰囲気も出しています。

 

建主さんの楽しさが伝わるのか、大工さんも、滑り台を作ってくれたり、雰囲気の良い現場になりました。

 

建築DATA

1階床面積  : 42.09㎡(12.73坪)           〈家族構成〉
2階床面積  : 41.26㎡(12.48坪)            夫婦+子供2人
ロフト床面積 : 14.85㎡(4.49坪)
延べ床面積  : 98.20㎡(29.71坪)
構   造  : 木造2階建て+ロフト

[家づくりニュース2015年10月号掲載]

古家をリノベーションした「CafeHouse」

「カフェリビング」:かつてあった床柱と棚を残しながら、窓辺に腰掛けられるベンチやキッチンと対面するカウンターなどをつくり、人が集い、くつろげる空間をつくりました。


「二階の部屋」:壁と天井を緩やかな円弧状につなげることで、柔らかく包まれるような居心地を求めました。

自宅の一角を使って小さな事業を始める、そんな生き方を実践する人が増えてきているように私は感じています。
この家も「街に開かれたスペース」のある京町家のリノベーションです。

 

「カフェハウス」と名前がついていますが、使い方はなんでもいいのです。自宅でお店を開きたい、アトリエで製作活動をしたい、仕事の打ち合わせもできるオフィスを自宅に持ちたいといった、家で仕事をするライフスタイルにふさわしい家です。
不意の来客でもプライベート空間を気にせず接客ができたり、友達と時間を気にせずゆったりお酒を飲んだり、そんな使い方のできる空間を「カフェリビング」と名づけました。

 

近代の産業化社会になって、職業の専門分化がすすみ、生業が家の外にどんどん出て行ってしまいました。と同時にかつては当たり前のように住まいのなかにものごとが失われ、失ってみて初めてその大切さに気づく、といったことを私たちは繰り返しているようにも感じます。
その大切なことの一つが人と人とが出会い、対話し、そこで人の心に変化が生じることだと思います。

 

建築DATA

敷地面積  : 54.79㎡(16.57坪)
建築面積  : 46.30㎡(14.00坪)
延べ床面積 : 63.27㎡(19.13坪)
構   造 : 木造2階建て
用   途 : 店舗併用住宅

[家づくりニュース2015年10月号掲載]

DROP ON LEAF ~快適さを追求したコート型住宅~

DROP ON LEAF-外観_杉浦

道路側外観


DROP ON LEAF-雨落とし_杉浦

大雨時の雨落としの様子

土地の区画面積に比較的ゆとりのある、東京都郊外の住宅地に計画した住まいです。
敷地は傾斜する前面道路から1.6m~2.5mの高さにあります。
旧住まいは接道面では最も低い西寄りの位置より敷地にアプローチするように造成され、2m以上の高低差を屋根の無い屋外階段で上っていました。
しかし本設計ではその負担を軽減するために、高低差の少ない東側寄りの位置から建物へアプローチする計画としました。そして天候の優れないときでも雨に曝されずに住まいに入れるように深い庇を設けています。

 

全体計画としては、プライバシーが確保しやすく、小さなお子様が思いっきり遊んでも近隣に音が伝わりにくいコートハウス形状としました。
室内各所から庭全体を見守ることが可能です。

DROP ON LEAF-室内01_杉浦

平屋の離れ内観

この中庭の南側にあたる離れの書斎兼音楽室は平屋建てとして高さを抑え、冬場の採光により有効な屋根形状を検討しました。
母屋からはその平屋棟の屋根を眺めることができます。折角見える屋根ですので、それならば雨の雫まで楽しんでしまおうと発想が繋がり、外部には樋ではなく雨落としを設け、内部天井には葉脈のような小屋組をもつ離れとしました。
離れまでは中庭の地面の高さにまで下がって移動します。
屋外の地面により近づくことで、内部でありながらも半屋外の渡り廊下を歩くような気分を演出しました。このような床のレベル差や天井高の変化に、異なる開口部の位置による陰影が相まって、様々な居場所が与えられる住まいとなりました。

 

この建物の環境設備的な特徴としては、トップランナー基準レベルの断熱性能に、全館空調による冷暖房システムを導入し、更には太陽光パネルによるエネルギーを利用しています。

DROP ON LEAF-室内02_杉浦

リビングから平屋の離れへの動線や中庭を臨む

DROP ON LEAF-室内03_杉浦

構造梁の間やダクトスペースには照明が組み込まれている

全館空調はどの場所にいても温度差の少ない快適な温熱環境を保つシステムですが、全ての部屋や洗面所やトイレにまでも巡る大きなダクトは、空間をデザインするうえで意匠的には問題となるものです。マンションの梁型のように単に配管を覆うことは容易ですが、あまり美しいものではありません。ここでは配管経路を意識しない意匠を目指しました。

 

建築DATA

敷地面積:253.92㎡(76.81坪)              〈家族構成〉
建築面積: 98.11㎡(29.67坪)               40才代夫婦+女の子
延べ面積:212.76㎡(64.35坪)
構  造:木造2階建て(木造軸組工法/制震構造付加)

[家づくりニュース2015年9月号掲載]

井口の家 ~Uさん家の小さな図書館~

井口の家_村田

西の庭へはブリッジから。ベンチの上にはパーゴラを設えてあり、ブドウを絡ませます。


井口の家_村田

図書室から東の主庭を見ています。主木はモミジを選びました。

家族全員の本を一箇所にまとめ、みんなで読めるようにしたい。」
この家には、そんな要望から生まれた大きな本棚のある図書室があります。
本を読むという行為は極めて個人的な行為ですが、一箇所に本をまとめることで、家族間で共通の話題を生むきっかけとなります。分け隔てなく本を選べる環境をつくることで、本を仲立ちとして家族をつなぐ素晴らしい要望だと感じました。

 

この地域は建ぺい率が厳しく(40%)地上部の面積が限られるため、地下を作る必要がありました。2階はお向かいの緑を借景として楽しむリビングで、1階は個室と水まわり、地下は寝室。そして、読書にふさわしい環境と外とのつながりを求めて半地下を図書室にしています。
床面は地面から1.2mほど低いところにあり、天井の高さは3.8mほど。その大きな壁の一面が本棚です。半階下がることで、地面にもぐるような格好となり、適度に囲まれて落ち着いた雰囲気になっています。東西両側はウッドデッキのある庭で、読書の途中でふと上方に視線をむけると、風にそよぐ緑と空が見えるという具合です。庭へはブリッジから自由に行き来できます。


 

デッキの木漏れ日の中で風を感じながら、あるいはソファにゆったりと身をあずけて、時には階段に腰掛けながらなど、その時々の心地よい場所を選んで読書を楽しめるように考えました。

 

建築DATA

地階床面積 : 39.17㎡(11.85坪)           〈家族構成〉
1階床面積 : 50.18㎡(15.18坪)            夫婦+子供
2階床面積 : 52.76㎡(15.96坪)
延べ床面積 :142.18㎡(43.01坪)
構   造 : 木造・地上2階、地下1階建て

[家づくりニュース2015年9月号掲載]

わたしの仕事場 ~谷中の和菓子屋と設計事務所~

坪庭からお店側を見ています。

わたしの仕事場-01_丸石

お店と事務所を坪庭で繋いでいます。

はじめまして。
わたくし、6月に入会をさせていただきました丸石と申します。
生まれは神奈川。
育ちは大阪です。
20歳で東京に出てきて、ちょうど人生の半分をむかえました。
現在は、台東区の谷中で和菓子屋と一緒に設計事務所をやっております。
直近で、ご紹介できる住宅がございませんので、わたくしの仕事場を紹介させていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

大家さんからお借りした住宅をリフォームして、1階に和菓子屋の店舗と、わたくしの仕事場である設計事務所を併設させています。
和菓子屋の店主は、わたくしの大学時代の友人で、そうそうに建築設計に見切りをつけて、和菓子道を選んだ賢い子です。
リフォームするにあたっては、家づくり学校で学ばせて頂いたことが、とても役に立ちました。

わたしの仕事場-事務所_丸石

事務所風景

一つ目に古材の授業。古いものと新しいものとを同居させる面白さに気づきました。二つ目は緑の授業。人は緑が室内にあるだけで、おしゃれ!と言ってくれることに気づきました。三つ目は左官・和紙の授業。保育園に通う娘の図画工作と同じように、右脳をフルに使って表現してみる。という表現の根本に気づかされました。
「ぼくはこれから、食べていけるのだろうか?」
「名もない建築設計事務所にお客さまが来てくれるのだろうか?」
そんなモヤモヤから、建築では呼べないお客様を、呼べそうな業種の人と組んでみよう。何かの出会いが、万が一、仕事を生むかもしれない。そう考えてできたのが、この和菓子屋と一緒に始めた仕事場です。

 

建築DATA

1階床面積  : 45.45㎡(13.8坪)           〈使用用途〉
2階床面積  : 45.45㎡(13.8坪)           店舗・事務所
屋根裏床面積 : 20.75㎡( 6.3坪) 
構    造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2015年8月号掲載]

知多(ちた)の家 ~5度目の増改築~

知多の家-ダイニング_後藤

耐震改修したダイニング:以前は少し暗めの空間でしたが、天井を高くし既存の梁を少し見せ、室内を漆喰で塗り直して、軽やかな光と風で満たされる空間に変わりました。


はじめまして、今年入会させていただいた後藤です。
生まれも育ちも三重県で、今も三重県に住んでいますが、仕事場が名古屋なので、余所の人には三重なの?名古屋なの?とよく聞かれます。
ということで最近は「三重県名古屋市の後藤です」と言っていますが、なんか変だぞと気づかれないのも少し寂しい所です。

 

知多の家-外観_後藤

外観:薄暗かった前面道路に陽が入るように、道路から建物を少し控えて配置しました。道路と建物の少しの間が、まちの人が集まる場になって賑わいをつくっています。

1年前に愛知県知多市で完成した住宅のご紹介です。
タイトルにあるように、今回で5度目の増改築となりました。
その時代の生活に合わせるように増築と改築を重ねられた大きな家でしたが、大きく複雑になりすぎた部分を壊し、おじいちゃん、おばあちゃんが慣れ親しんだ部分は、耐震改修をし、新たに必要とされる部屋を増築するという計画は、解体~耐震改修~解体~増築という大掛かりな工事となりました。
耐震改修し残す部分だけで30坪ほどあり、十分生活できる空間であったので、ただ部屋を増築するだけではまた使われない部屋になるかも?と懸念もあり、日々長く過ごす部屋となるアトリエを、普通なら生活空間に近くにするのが便利とも思いましたが、敢えて一番遠ざけ、更にまちに開かれた場にもなるよう提案しました。
建物が完成に近づき、奥様もここなら出来るわ!と一念発起し、機織り教室や子供たち向けのワークショップを開いたりと、今では知人友人だけでなく近所の方や学校帰りの子供たちがふらっと顔をみせる、まちの賑わいの場として、家中に楽しい声が響いています。

知多の家-アトリエ02_後藤

トップライトの光がアトリエに彩りをつくり、格子を通して他の部屋にも光と影を届けてます。
 

知多の家-アトリエ_後藤

アトリエ:びっくりする程の大量の糸を収納出来て、ミリ単位の作業も出来るようにいつも明るく、全身を使った作業でも大勢の人でも窮屈さを感じない空間にしました。

建て主様の木を「いっぱい」使ってほしい!というご要望に応えて、見え方や空間の質に合わせて、設計中も現場でもあれやこれやと選んで、材木屋さんにも協力して頂き、仕上げに16種類もの木を使いました。
ただ建て主様からこんなに使ってとは言ってないですよ~(笑)と話になり、「いっぱい」とは種類の事ではなくて、量の事だったという僕の勘違いでしたが、空間に合っているし、木の表情が素晴らしいとすごく喜んでもらえて良い想い出話になりました。

 

建築DATA

1階床面積 : 1階床面積 : 既存改修部 98.09㎡(29.7坪)/ 増築部 114.19㎡(34.5坪)  〈家族構成〉
2階床面積 : 増築部 42.07㎡(12.7坪)                           祖父母+夫婦+娘 
延べ床面積 : 254.35㎡(76.9坪)    
構   造 : 木造2階建て

 

[家づくりニュース2015年8月号掲載]

wood_smile_gallery

ood_smile_gallery-室内_古川

ギャラリー内部。ハイサイドライトから溢れる自然光と既存の骨組みのフレームワークがポイント。半透明のパーテションの向こうは事務室。その枠も扉も杉で作っています。


これは新木場の老舗材木屋さんのリノベーションです。
wood_smile_gallery-玄関・アプローチ_古川

玄関アプローチにはオープンデッキを設けて道行く人の憩いの場になるようにしています。デッキもベンチも杉で作っています。

ですから、人が住むわけではないので「今月のいえ」というにはいささか心苦しいのですが、道行く人がふらっと立ち寄れる街のリビングをつくることを目指して設計をしましたので、強引ではありますがこれも「いえ」だと思ってご紹介させていただきます。

 

「wood_smile_gallery」とは文字通り、木を見て触れて笑顔になる、木の良さを多くの人に感じてもらう場所ということです。
良さを体で感じてもらえることができれば、家の中に木を使いたくなる。
そうした拠点として、街のリビングとしてこの場所では音楽やフリーマケットなど様々なイベントが始まっています。
目的は様々でも来ていただくことで木の良さを発見してもらえることが大切だと思っています。
なかでも、木の良さを体で一番体感してもらえるのは床です。
床には千葉県産の杉のフローリングを丁寧に低温で乾燥させたものを使っています。
低温で乾燥させることで、木の中にもともと含まれている精油成分や酵素などがそのまま残るようで、実際に低温で乾燥させた杉板は触りごごちも暖かく柔らかく感じます。
これは床の上に座って寝転んで触って違いを感じて欲しいところです。
一人でも多くの人が木のもつ優しさの魅力をこの場所で発見して欲しいと思います。

 

建築DATA

1階床面積 : 27坪
構   造 : 平屋建て
使用用途  : ギャラリー・事務所

[家づくりニュース2015年7月号掲載]

うなぎの寝床

うなぎの寝床-外観_根來

プライバシーを保ちつつ、光や風を取り入れる工夫をした外観


品川区大井町で設計・監理した木造3階建ての住宅。
敷地の形状は間口4m、奥行き14.5m、所謂「うなぎの寝床」。
この敷地特性を上手く活かすため、内部は階段を挟んだスキップフロアで構成し、各フロアが緩やかに繋がり、奥行きのある空間となっております。
狭小住宅の場合、よく道路に面して玄関ドアが付いておりますが、子供の飛び出しや、玄関ドアを空けると中が丸見えになるのは、好ましい玄関構えとは言えません。
うなぎの寝床-室内_根來

ブレースを活用し、解放的な内部空間を実現しております

本住宅では、玄関ドアを奥の方の脇に設けております。
狭い敷地ながらも人の歩く距離を長くすることにより、路地の奥に惹き込まれるような、少しでも豊かなアプローチを造り出そうと考えました。
スキップフロアの空間は、視覚的にも楽しく、この階段を視覚的にも機能的にも如何に生活空間に馴染ませるかがポイントとなる訳ですが、デザイン的なことだけでなく、重力(温度差)換気のスペースとしても活用することが可能です。
夏場は暖気が上昇し、最上階に設けたハイサイドライトから抜けて、家全体が涼しい空間になります。
冬場は階段下に設けた蓄熱暖房機(深夜電力)の暖気が緩やかなに上昇し、家全体を暖めます。
最上階には天井扇が設けられ、天井に溜まった暖気が2階のリビングダイニングに落ちてくるようなサーキュレーションを計画しております。
スキップフロアの空間を開放的に繋ぐには、階段の設計は重要です。
階段を単なる移動空間として捉えるのではなく、吹抜けの一部として組み込み、横方向への広がりを生み、かつ彫刻的に、そんな階段を目指しました。
人の動きとともに、光の取り入れ方や風の流れをも設計したつもりです。

 

建築DATA

1階床面積 : 29.27㎡( 8.84坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 36.22㎡(10.93坪)            家族構成:夫婦+子供1人
3階床面積 : 27.39㎡( 8.27坪)
延べ床面積 : 92.88㎡(28.04坪)
構   造 : 木造3階建て

[家づくりニュース2015年7月号掲載]

Kintaro House

kintaro house-金太郎_田中

階段上部に設置した四方向型金太郎


東京の都心に創った住宅。住み手は、夫婦と少年がふたり。
ご主人の御両親の敷地の一部が供出されました。
奥様の御両親は立派な五月人形を下さっていて、双方のご両親から「健やかに元気に」という気持ちが伝わります。
kintaro house-外観_田中

外観

あっちこっちの温かい支援があって、感謝の中で平穏な暮らしが続くように「金太郎人形」が四方から見えるように計画しました。
一階は個室などのプライヴェートゾーン。
周囲の視線も気にならない二階に、家族が集まって過ごす場所を配しました。
子育て+仕事に忙しい毎日であるのを鑑みて、家事はみんなと居る中でスムーズに捗るように、ぐるっと回れるキッチンと同じラインに機能を組み込みました。
設計をするたびに毎度思いますが、「自分が住みたい!」。
これを手前味噌と言うのでしょうねえ。
kintaro-house-室内_田中

▲食べるところから、くつろぐ場所を見る  ▲家事効率抜群のぐるっとキッチン    ▲階段を上ると徐々に見えてくる金太郎

 

建築DATA

1階床面積 : 51.42㎡ (15.55坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 51.42㎡ (15.55坪)            家族構成:夫婦+少年×2人
延べ床面積 :102.84㎡ (31.10坪)
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2015年6月号掲載]

「久が原の家」子育てを楽しめる二世帯住宅

久が原の家-LD_吉原

キッチンを中心とし、自然素材を使った気持ちの良いリビングダイニング。


二世帯住居の生活スタイルは、昔とは違い随分と多様化してきています。
二世帯とされる理由としては、共働きをする子世帯が増えたこと、将来の親世帯の高齢化を考えて、実家を受継ぎたいなど様々です。二世帯住宅は生活の場が重なることにより、建築費や光熱費などの経済的なメリットがあり、実家の建て替えやリノベーションの場合には、特にその効果が大きくなります。また経済面だけでなく、急な外出や病気などいざという時に、世帯間でサポートし合えるという安心感、親世帯は子や孫と暮らせる楽しみ、子世帯にとっては家事や育児の協力が得られるというメリットがあります。そして二世帯住宅は、いくら親子といっても生活スタイルや趣味の違いがあるので、世帯間の要望をバランスよく、自由な発想でプランに纏めてゆくこと事が重要なポイントとなってきます。
各世帯間のプライバシーを確保し、みんなが集まれるパブリックな場所とそれぞれが落ち着ける居場所を考え、また親世帯が高齢となった場合のバリアフリー対策なども大切です。

 

久が原の家-ロフト_吉原

リビングに繋がるロフトは、子供たちの秘密基地。

「久が原の家」は、もともとご両親が住まわれていた家を、マンション住まいだった子世帯と一緒に暮らすために建て替えた家族6人のための二世帯住宅です。上下階に各世帯をゾーン分けすることにより、お互い気を使わないよう世帯間のプライバシーを尊重しつつも、同居することによって家事・育児が協力でき、さらに将来、介護の面でもサポートし易いように計画しました。
1階は、親世帯のためにスロープや引戸、広い水回りの計画などにより「バリアフリー」に配慮し、趣味の庭いじりも楽しめるプラン。2階はキッチンを中心とし、ダイニング、リビング、子供スペースと繋がる、子世帯が「子育てを楽しめる家」がテーマの住まいとしました。

 

建築DATA

1階床面積 : 78.66㎡(23.79坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 82.81㎡(25.05坪)            両親+夫婦+子供2人、計6人
延べ床面積 : 161.47㎡(48.84坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2015年5月号掲載]