家づくりレポート

吹上の家 ~県産木材の住宅~

吹上の家-室内_松澤

子供室。杉と漆喰の空間です。将来は二部屋に分割かな?


県産木材で家をつくりたい・・・から始まった家づくりです。

 

吹上の家-階段_松澤

いつもの中板が無垢板の階段。段板はケヤキ。
手摺は何でしょう?

先ずは土地探しからスタート。2物件目で気に入った土地が見つかり、さっそく計画が始まりました。
予算の関係もあり、長期優良住宅の地域型住宅ブランド化事業に応募し、採択されました。
多少のルールはありますが、ほぼいつもの木の家で要件はクリア出来ますが、構造計算が必要となり、手続きでの木材の伝票処理がネックです。いろいろクリアして、断熱性能と構造強度の高い家が完成しました。予算の関係で、当初予定していた「そよ風」と床暖房は断念せざるを得ませんでしたが、ほぼ建て主さんの希望は満たせたと思います。

 

吹上の家-外観_松澤

北西外観。まだ予算の都合で外構は手付かず。

お子さんは生まれたばかりで、これからが家族にとって大事な時期です。安全で快適な住まいで、楽しく親子で成長して行く事でしょう。
大きなテーマとしては、外部はメンテナンスフリーを目指し、内部は木と漆喰で開放的な空間を目指しています。都心部に比べると敷地は50坪と広いのですが、日照条件をかなり気にされたので、地盤も1階床高も上げています。その為、玄関へのアプローチの段差と階段の段数が増えています。
暮らし方にも当然、様々なこだわりがあり、計画には時間が掛かりました。あそこを変えると、こっちが駄目になり・・・と。どこかで妥協は必要ですが、先ずは我儘いっぱいで家づくりには臨んで下さい。
私たちが出来るだけ嫌な顔を見せずに解決して行きます。

 

建築DATA

1階床面積 : 58.66㎡ (17.75坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 50.40㎡ (15.25坪)            夫婦+子供1人
延べ床面積 : 109.06㎡ (33.00坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2015年5月号掲載]

小田原の家

小田原の家-外観_水口

バリアフリーな平屋から展望のための3階建てのタワーがそびえるような外観。


小田原の家-室内_水口

天井が高く黒い内装とした書庫には古い家のガラス障子やステンドグラスを設置しました。

高齢の母のために息子さんが建てた家です。
ガルバリウム鋼板で仕上げられた少し変わった形のこの家には、脚の調子が良くない母が暮すための平屋のバリアフリーな居住空間と3階の展望室とが収容され、その間をホームエレベーターでつないでいます。
昔、この敷地からも良く見えたという箱根の山波の景色を再び見せてあげたいという建て主さんの強い思いを実現するために設けた3階の展望室は、近接する家の屋根越しに眺望が得られるようにと法的、構造的にも可能な限りの高い位置に設けました。
展望室の外に設けたテラスからは相模湾の海までも望むことができます。

 

3階を高く持ち上げるために結果としてとても天井が高い空間となった2階には、出版関係にお勤めの建て主さんの所持する大量の蔵書のための書庫と、大きな仏壇を置くための仏間を設けました。
書庫の内装は真っ黒に仕上げた上に取り壊した以前の家にあったガラス障子や、新たに大きなステンドグラスをはめ込み、亡き父が使われていた古い机を部屋の真ん中に置いています。
週末には都心で暮らす建て主さんが寝泊りする部屋としても利用されているそうです。

 

建築DATA

敷地面積  : 270.78㎡(81.91坪)          〈家族構成〉
1階床面積 : 66.49㎡(20.11坪)          一人
2階床面積 : 27.18㎡( 8.22坪)
3階床面積 : 14.35㎡( 4.34坪)
延べ床面積 : 108.02㎡(32.67坪)
構   造 : 木造在来工法地上3階建て  

[家づくりニュース2015年4月号掲載]

松が崎の住まい

撮影:小川 重雄

松が崎の住まい-外観_松本

南道路から玄関までの造園アプローチ。


設計段階では息子さんから近代の名作住宅建築や好みの空間について写真や映画のシーンからお話し頂き、建築専門でない方からの感想など伺う事ができ、視野の広がる時間を共有させて頂きました。
一方で私が個人的に好んで用いているオニグルミの原木(床材に使用しています)やその製材風景を見に、遠路南会津の材木店までご家族とご一緒頂きました。
松が崎の住まい-室内_松本

1階リビング。柔らかい光が障子越しに差し込む。

何十本と積まれた一〇〇年生の原木が、住まいの大切な一部として床材になるまでの一プロセスに興味を持って頂いたことは、自然の素材に感謝しつつ、「消費する」のではなく「ものと付き合う(愛着を持つ)」関係を築きたいと思う私自身にとっては大変嬉しく、またお気持ちに感謝した機会でもありました。

 

敷地は南道路、北側に小さな林の見える豊かな周辺環境を暮らしに享受したく、結果LDKは南北両方に開放したプランニングとなりました。
プライバシーを意識し高めの塀に囲まれた南庭、2階インナーテラスを介した吹抜からは朝陽がダイニングに差し込み、住まいを南北にぬける心地よい風が通ります。
回遊動線や立体的な連続感からは住まいの一体感を得て、実質以上の広がりを得られていると思います。
そのほか、障子や鍛鉄の薪ストーブ、空間に繊細さを加える格子戸、漆喰や土壁、四種の広葉樹の板、力強い赤松の梁・・・etcなど用いて『自然を享受し、楽に楽しく自然体で暮らす住まい』を試みています。
竣工間際には雑木林と少々茶庭なども連想させる玄関への造園アプローチができ、最後に建主さんこだわりの家具が入った際は、住宅が生き生きと感じられた瞬間でした。
お引越後も、何かと口実をつくってはお邪魔させて頂いておりますが(笑)、年月を経ると共に徐々に味わいを増し、より豊かな暮らしを育む住宅になってほしいと願っています。

 

建築DATA

1階床面積 : 63.28㎡(19.14坪)          〈家族構成〉
2階床面積 : 55.53㎡(16.80坪)            母+息子
延べ床面積 : 118.81㎡(35.94坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2015年3月号掲載]

宇須の家

旧市街地・和歌山市宇須にての建て替え

撮影:長岡 浩二

宇須の家-外観_山下

ファザードから玄関・中庭に続く庇。


『宇須の家』は和歌山城下中心部にあり、古い民家が数多く残る旧市街地に計画されました。

 

世代が進むことで町並みが変わり、そして新旧が混在しながらも移り替わる様子が伺えます。
また、依頼主であるご夫妻は築75年経過した町家を購入されその後、この家で15年間子育てをされた後に建替えを決意したと言われます。
自分たちがシニアになり、子供が成長したから「こんどは我々の楽しむ番」との事。
新築する建物が与える周辺環境への配慮を第一に考え、時間の経過と共に町並みと調和する住宅になる様願われました。
平面計画としては敷地の特徴より、間口が狭く奥行きが長い敷地ゆえに、(間口8m╳奥行30m)建物の中央に坪庭を設ける事で、リビング・ダイニング、2FMBR(主寝室)への通風と採光を取るようにしました。
ウナギの寝床スタイルではどうしても玄関までの距離が長く成る、その部分に幅1.6m╳長さ12mの庇を採用しました。
そうする事でファサードを印象付ける形となり、何より急な降雨時にも安心して玄関まで辿り着く結果を生みました。
ご夫妻から出された第二の希望は、子供たちが巣立った後でも戻ってこれる場所を残したい。
その為に和室が2室必要との事。そして子供たちが一緒に住まなくとも、子育て時に残した思い出の絵や写真を飾る事が出来る壁を作りたいとの事でした。
私が提案した場所は誰の目にも触れる玄関先でした。
また、造船会社を経営される傍ら、思い出の品である舵をその壁に飾り付けました。
この家の設計をさせて頂き学んだ事は、住まいは家族の思い出作りの場所であり、そしていつでも戻って来られる場所で有る事でした。

宇須の家-室内_山下

左)リビングより玄関先を見る。                右)玄関先の階段室。思い出の絵を飾る。

 

建築DATA

1階床面積 : 85.69㎡ (25.92坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 85.69㎡ (25.92坪)            夫婦
延べ床面積 : 171.38㎡ (51.84坪)     
構   造 : 木造在来工法2階建て

[家づくりニュース2015年3月号掲載]

吉祥寺南町の家

撮影:小川 重雄

吉祥寺南町の家-室内_庄司

高さ4.4mの吹抜空間の上部に穿たれたトップライトから1階のリビングに天空光が差し込みます。壁は杉板型枠によるコンクリート化粧打放し仕上げで、木目の柔らかさを表現しました。


東京・吉祥寺の駅から徒歩15分に立地する5人の子供たちを含む9人家族のための住宅です。
敷地は歪みのない長方形の地型で、整然と升目状に区画された閑静な住宅街の一画に位置していました。
この住宅では、子供たちを健やかに育むための器として豊かな明るさとおおらかさを備えた住空間を持ち、その優良な矩形敷地に相応しい直線的でシンプルな建築を提案したいと考えました。

 

○ バッファが創る豊かさ

吉祥寺南町の家-外観_庄司

敷地ヴォリュームの中に3.5m角の “Cube BOX” が4.5mのキャンティレバー形状で浮かんでいます。“Cube BOX” の外壁は外断熱無目地左官工法+漆喰塗りです。

建蔽/容積:40/80%という厳しい網掛けの中で、必要な床面積を確保するために、この住宅は最大の建坪を前提とした地下1階地上2階の構成になっています。
敷地の外周部の南・西・北に3枚の壁を立て、その壁に囲まれたヴォリュームの中に3.5m角のCube状の断面形状を持つ矩形のBOXを浮かべます。
3枚の壁と挿入された “Cube BOX” の間に創り出される「バッファゾーン」は中庭・トップライトを持つ階段吹抜・リビング空間の三つの機能を持ち、各々が光溜まり、或いは風の通り道としての役割を果たします。
そこに満ち溢れる柔らかい光や風は、地下の居室を含む住空間の隅々にまで浸透し、この住宅に居心地のよい豊かな空気感をもたらしていくのです。

 

○ ZEB化住宅への展望
この住宅では、“Cube BOX” の屋上に外観からはその存在を判別できない断面処理で太陽電池パネルを搭載させることによって、ソーラーパネルを敷設したプロトタイプ住宅としての意匠性を追求するとともに、将来的な完全ZEB(Zero Emission Building)化の実現も視野に入れています。
ほぼ真南に正対させた出力4.0kwの太陽電池パネルからの発電によって、竣工後のデータ上、季節によっては金額ベース(買電金額−売電金額)におけるZEB化は既に達成できていると建て主さんも喜ばれています。

 

建築DATA

地階床面積 : 40.76㎡ (12.33坪)           〈家族構成〉
1階床面積 : 68.59㎡ (20.75坪)            夫婦+親族2人+子供5人
2階床面積 : 54.60㎡ (16.52坪)
延べ床面積 : 163.95㎡ (49.60坪)     
構   造 : RC造地下1階地上2階建て

[家づくりニュース2015年2月号掲載]

庭を取り込む

庭を取り込む-室内_半田

内観:吹き抜けによって、冬は奥の食堂まで陽が入る。夏は大きな庇とバルコニー、樹木で日射を遮蔽。
“冬は暖かく夏は涼しい” を実現。


気持ちの良い『住まいの秘訣』の一つが “戸外とのつながり” です。
この家の庭はわずか3坪ですが、一坪を植栽に残りをウッドデッキにしています。
庭を取り込む-外観_半田

外観:道路側は高めの板塀と生け垣で囲い、シンボルツリー側に開く。
大きなバルコニーは、ウッドデッキの屋根にもなっている。
プライバシーを確保しながら緑を室内に取り込む。

キーポイントは、居間の掃き出し窓を引き込みにしていること。
1間半の大きな開口部のおかげでウッドデッキと居間が繋がります。広々として緑が身近に感じられる伸びやかなスペースになりました。
道路とウッドデッキの境は高めの板塀で仕切っています。

 

写真ではまだ生えそろっていませんが、植え込みのネットフェンスには、テイカカズラを絡ませてプライバシーを守ります。
一番大きなシンボルツリーはアオダモ。別名コバトネリコ、野球のバットをつくる落葉広葉樹、爽やかで美しい木です。
二階のバルコニーからも目線の高さで新緑や紅葉が楽しめます。
蛇籠で包んだ足下の石垣にもそのうち緑が根付くはず。
戸建て住宅は個人の資産ですが、地域の景観の一部でもあります。
わずか1坪の庭でも、木を植えることによってすてきな町並みに貢献できますよ。

 

建築DATA

1階床面積 : 45.2㎡(13.6坪)              〈家族構成〉
2階床面積 : 44.1㎡(13.5坪)               夫婦+子供2人
延べ床面積 : 89.9㎡(27.1坪)+ロフト6.6㎡(2坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2015年2月号掲載]

稲毛の家

撮影 : 西川 公朗

稲毛の家_写真1_高野

玄関土間越しにタタミルームを見る。右手引戸が床下収納入口。


サッカー大好き少年と若いご夫婦の住まいです。

 

最初の設計をスタートしたのが今から8年前でした、いくつかのハードルを越えやっと実施設計が完了、これからという時に突然ご主人の転勤が決まり、しかも遠方のため家族皆で行く事に。
残念ながら計画は頓挫しました。

 

そしてその記憶も薄れかけた5年後に、ご家族が稲毛に戻ることが決定。
ある日突然なんの前触れも無く、設計の再依頼のメールをいただきプロジェクトが復活!!
ご家族の家づくりの夢は、転勤先での5年間の生活経験と子供の成長とともに、いろいろと変化していました。
僕としても自分の5年前の仕事からはじめるより、新たな気持ちでもう一度プランを出してみたいと考え、一度白紙に戻して0からの設計を試みました。

稲毛の家_写真2_高野

絞られた開口から、外の気配を取り込む。砂漆喰仕上げの壁・天井が優しい光と影をつくる。

 

 

5年間のブランクを経て実施案となった住まいは、一階に土間と和の庭とつながるタタミルームをつくり水回りやバスコートをまとめました。
半階上がってウッドデッキやバスコートとも視線がつながるLDKをつくり、更に半階上がったところに寝室とウォークインクロゼットと書斎を配して、さらに数段スキップしてキッチンの真上に子供部屋があります。
LDKの床下は、何でも入る全面大収納空間になっています。
室内のどこにいても家族が集まるLDKと気配がつながり、敷地内のささやかな緑を楽しむコンパクトながらも、柔らかな光に満たされた住まいになりました。

 

建築DATA

1階床面積 : 54.48㎡(16.48坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 40.21㎡(12.16坪)            夫婦+子供1人
延べ床面積 : 94.69㎡(28.65坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年12月号掲載]

千鳥の家 − 家と暮らしのリノベーション −

撮影 : 吉田 香代子

千鳥の家_室内_赤沼

内部は全室引き戸でつながるバリアフリーな空間に、生活スタイルも低めのテーブルを中心とした椅子座に見直しました。


築50年の古い木造家屋に住む娘さんと高齢のお母さまのためのリノベーションです。
耐震改修は区の助成を受けて基礎や木造躯体を補強し、使える屋根や外壁、開口部は部分的な改修とメンテナンスでコストを抑えつつ、内部は大幅に造り直しました。

 

お母さまが暮らす1階はLDKと寝室、水廻りが引き戸で繋がるバリアフリーな空間に、2階の和室4部屋は娘さんの仕事場と寝室に全て改修しています。
壁や床、特に天井裏には十分な換気口と断熱材を入れ、既存窓にはインナーサッシを取付けて温熱性能を確保し、直接手や足が触れる床やカウンターはいつものように木の無垢材を使い、壁や天井は土佐和紙などの自然素材で仕上げています。

 

千鳥の家-外観_赤沼

丁寧に手を加えて直した家は、住まい手はもちろんのこと街並みにも優しく馴染みます。

生活スタイルも畳から低めのテーブルを中心とした椅子座に見直しました。
物をあまり増やさず広々と暮らせるように、食事だけでなく休息や家事作業もこなせる通常よりも奥行きがあり低めのテーブルを製作し、椅子も座面が低く広めで多用性のあるものを吟味しました。
大勢集まった時には箱脚を倒して座卓にも早変わり、横になりたい時には隣の寝室と引込み戸で繋がりベッドで寛ぐこともできます。
先日伺うと、吟味した椅子も揃いテーブルと椅子座の生活にお二人ともすっかり馴染んでいるご様子でした。

 

建築DATA

1階床面積 : 14.8坪           〈家族構成〉
2階床面積 : 15.8坪            母+娘
延べ床面積 : 30.6坪     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年12月号掲載]

巣立ちの家 ー重度障碍者のためのケアホームー

設計:ハル建築研究所+伊澤計画  撮影:テックフォト

巣立ちの家-外観_伊澤

外観:リビング、デッキは地域に開くように。

 

巣立ちの家-デッキ_伊澤

外でも過ごせるまとまった大きさのデッキ。

はじめまして、この5月に入会しました伊澤淳子ともうします。
先輩方の中で、まだまだ未熟ですが、柔軟にお施主さんと家づくりに取り組んで行きたいとおもっております。
墨田区で設計事務所を始めて6年目になります。
この3月に2軒長屋の半分をリフォームさせて頂き、自宅兼事務所としました。

 

今回の紹介させて頂く建物は、住宅ではなく、障碍者のケアホームです。
男女上下階に重度の障碍をもった方5名ずつが入居しています。

巣立ちの家-廊下_伊澤

2階の廊下、ハイサイドライトで明るく、風通しよく。

親御さんが高齢になり、将来のご子息の生活に不安を抱かれていたところからこの計画が生まれました。
敷地として、緑のある少し離れた広い場所も検討されましたが、住宅街の中で、なるべく小さな規模で近所の人々に見守られながら生活していくことを選ばれました。私が設計に入ったのは丁度その頃からでした。
ご父兄も職員や私たちと一緒に、他の施設の見学や、施設職員の話を聞き、各ご家庭でのそれぞれの生活スタイルも伺いました。
建物裏に避難用滑り台を設置しました。法律では設置義務はありませんでしたが、2階に暮らす車いすを使用する入居者には重要な避難経路です。
リビングは日当りもよく、デッキを介して地域に開くように、配置しました。
(道路側には塀をつくらないことにしました。)
外でも過ごせるよう、デッキはまとまった大きさを取りました。施設ではなく、住まいであることを強く意識し設計しました。
彼らの体は敏感で体調不良を起こしやすく、内装は自然素材を使用しました。
壁は漆喰、床はコルクタイル、居室は無垢のカラマツのフローリングに自然塗装材を使っています。

 

初めて、親元から巣立ち、新しい生活が始まっています。
そのときの不安やドキドキ感はみんな同じことでしょう。
最近は親御さんが訪れても、お客様扱されてしまい、入居者の自立を喜ぶ反面、複雑、とのお話も伺いました。

 

建築DATA

1階床面積 : 169.02㎡(51.12坪)           〈入居者〉
2階床面積 : 180.15㎡(54.49坪)            男女5名ずつ、計10名
延べ床面積 : 349.17㎡(105.62坪)    
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年11月号掲載]

いなかそだちの家 ー土間とアトリエのある住宅ー  

いなかそだちの家01_丹羽

書棚とアトリエ風景

 

はじめまして、今年5月に入会させていただきました丹羽です。簡単な自己紹介です。生まれ育ったのは千葉県柏市。一卵性の双子。
成人して兄は革製品をつくる職人になり、弟の私は建築の道を選びました。双方とも28才の時に仕事を独立し、現在はお互いの住まいとアトリエが一体になった長屋をつくり、ひとつ屋根の下に8人でにぎやかに暮らしています。
何をするにも一緒・・・双子の宿命ですね・・・

 

昨年竣工した住宅を紹介いたします。敷地は300坪ほどあり、周囲には水田が広がっています。
そのような環境で育った建て主さんが望まれた家は飾らない、そしてどこか懐かしい、土間のある家でした。
(土間に台所があります。)
建築の専門家でもある建て主さんとの家づくりは、お互いが手を組み、議論を重ねながら二人三脚で設計作業が進んでいきました。

いなかそだちの家03_丹羽

切り取られた景色

素材も、空間も無駄をそぎ落としていくような作業。内部の床、壁や天井のほとんどは通常下地で使うようなベニヤ仕上げのままです。
無事工事が完了した後の内覧会には、地元にお住まいの方など大勢が見学にお越し下さいました。
その多くの感想は『アトリエからの眺めが最高ですね!』というもので、いつも見慣れているはずの田園風景が、窓で切り取られたことで一枚の絵のような印象深い景色に変わったことに驚きを隠せない様子でした。
改めて自分たちが住むこの土地のすばらしさに気づいてくださったのだと思い、とても嬉しく感じた瞬間でした。

 

建築DATA

1階床面積 : 50.77㎡(15.3坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 48.58㎡(14.7坪)            夫婦+子供2人
延べ床面積 : 99.35㎡(30.0坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年11月号掲載]

春日部のいえ/2.5世帯で住む住まい

春日部のいえ_室内_福田

2階の居間は勾配天井にして梁を見せて、小さなお子さん用にブランコがかけられるようにしてあります。


この度、家づくりの会に入会させて頂きました、福田建築設計事務所の福田隆一と申します。
会に入らせて頂くきっかけとなったのは、6年前に現事務所を立ち上げ独立した際、たまたま建築雑誌でみた家づくり学校生徒募集の文字。
この学校に出会い設計者として建築家としての心構えを勉強させていただいたことが、今の入会につながっています。
家づくり学校とは、家づくりの会の先輩方が運営されており、良質な住宅設計を目指す若手設計者に向けた、実践型カリキュラムを4年間で学ぶ学校です。
(先日、建築学会の教育賞も受賞されました。僕はかろうじて若手で入れてもらえました。)
独立したての右も左もわからない時期に、この学校に出会えたことはとてもラッキーなことでした。
今回、会に入会させていただき、よりよい家づくりを提供していけるように、皆さんといっしょに勉強しながら楽しく活動していければと思っております。
よろしくお願いします。

 

春日部のいえ_室内02_福田

1階の居間は、明るめの色味で統一し落着き感を持たせました。

まだ独立したばかりで、実績は少なく、ご紹介できる物件は本当に限られてしまうのですが、去年竣工した2世帯で住まう家をご紹介したいと思います。
この家は、地元の足立区の大工さんから紹介を頂いたお施主さんの家です。
細かく言うと2.5世帯となる大家族の家となります。
いままでお互い離れて住んでいた人たちが集まって一緒に住むということはやはり課題が多く、家に対する思いの違いや世代間の生活感の違い、お金に関する感覚の違いや時間のずれ・・・などなど、住む人みんなのヒアリングからスタートし、意見のまとめに右往左往しながら、何度も何度も、間取りを練り直しやっと出来上がった気持ちの良い家です。
生活空間は1階と2階で分け、インテリアに対する趣味の違いや、生活への思いの違いを分けました。
なるべく素材も自然なものを採用し、小さなお子さんにも本物に触れることのできる空間ができたと思います。周辺は田んぼに囲まれたとても環境の良いところです。
カエルの声、合唱を久しぶりに聞きました。
末永く、仲良く住み続けていただけたら、うれしいなと思い、願います。

 

建築DATA

1階床面積 : 70.38㎡(21.28坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 70.38㎡(21.28坪)            祖母+母+若夫婦+子供2人
延べ床面積 : 140.76㎡(42.57坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年10月号掲載]

鵠沼橘の家/段差のある住まい

撮影:新澤 一平

鵠沼橘の家/段差のある住まい-LDK_小野

LDK。右手はキッチン、左縦格子の奥はスタディースペースです。正面がバルコニーに続くコーナー窓です。


鵠沼橘の家/段差のある住まい-外観_小野

外観。T字路の前面道路は唯一、周囲が建て込んでも視線の抜けが確保できるため、格子バルコニーとコーナー窓を設けました。

はじめまして。6月から家づくりの会に加入しました小野です。
初回の寄稿ですので、ご挨拶と今春竣工した住宅の紹介をします。

 

設計事務所を開設して、今年で8年目になります。
以前は、福祉施設や集合住宅など、比較的大きな建築をつくる設計事務所に勤務していました。
建築中は現場に通いつめ、監督さんをはじめ職人さんなど複数の方と現場で打合せをしながら仕事をしていました。
そこで、建築は様々な人の協力の上につくられていることを実感しました。
独立した現在は、戸建て住宅を中心に、新築やリフォームにたずさわっています。
そこでも定期的に、現場で打合せするようにしています。
建て主さんや現場監督とともに現場で打合せすることは、建築過程の時間を共有でき、完成後もその臨場感は、はっきりと記憶に残ると思います。

 

写真の住宅は、間口が狭く、奥行きが深い敷地に建っています。

鵠沼橘の家/段差のある住まい-玄関_小野

玄関。正面はテラスに続く地窓、奥に寝室があります。

この敷地の奥行きの長さが生活動線に影響しないよう、玄関と階段を建物中央に配置しました。
その結果、廊下/階段から居室への室内動線が短くなりました。
玄関を入ると正面にテラスに続く地窓があります。階段室には、小物を飾るニッチがあり、壁面には絵が飾られ、家族のギャラリーになっています。
また1階正面のガレージ部分は、階高が低くできましたので、直上の2階LDKと他の部屋の間に、階段2段分の段差をつくりました。
この段差は、腰掛けになったり、視線をずらしたり・・・ワンルーム空間のアクセントになっています。
外観は、切り妻屋根で、木格子のバルコニーを正面の隅角部に設けました。
このバルコニーはたとえ将来、敷地周辺に建物が密集しても、外部の光や風を取り込める部分です。
屋根は深緑色の鋼板を葺き、周辺風景に溶け込むように配慮しています。
配色は、建て主さんと現場で打合せしながら決めました。
家づくりは、こうした打合せの積み重ねがとても重要と考えています。

 

建て主さんと設計者、施工者との共同作業を経て、長く住み継いで行ける住まいを一つでも多く手がけたいと考えています。

 

建築DATA

1階床面積 : 73.64㎡(22.23坪)※インナーガレージ含む      〈家族構成〉
2階床面積 : 69.91㎡(21.11坪)                  夫婦+子供1人
延べ床面積 : 143.55㎡(43.34坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年10月号掲載]