【 20-30坪 】

杜の里(もりのさと)

写真:スパイラル/小林 浩志

杜の里-室内01_川口

床、天井の材はすべて杉材。壁の仕上げは、土佐漆喰塗り。壁内はすべて杉の3層構造パネル


敷地は、なだらかな坂道に面した台形である。
敷地東側には、モミジの木がもともとあり、この木を残した。眺めについては、敷地と隣接地の緑の関係を考えて、窓位置に合わせて借景している。
2階からは、遠くの森の景色が窓越しに連なるように見える。

 

杜の里-室内02_川口

玄関ホールの階段から、台所、居間、食堂方向を見る。

杜の里-外観_川口

外観右手は元気になったモミジ。外壁は色漆喰左官塗り。

この建主夫婦には、3人の小さな男女の子供達がいる。
この住宅は、都心を遠く離れた自然豊かな子育てには、とても理想的な環境に建っている。
家の壁内は、杉の三層構造パネルの無垢を2枚重ねてあり、全くすきまをつくっていない。
断熱材としてもその材を活用している。
さらには、子供達の健康を考えて、プラスチック部材や、接着材を使用している材料は、内部に直接出る部分には使用していない。
杜の里-室内03_川口

居間、食堂、スタディコーナー、和室のワンルーム空間を見る。

室内の仕上げ材は、木とコンクリートと土佐漆喰である。
木はすべて杉材で、塗装はしていない。家族は素足の感覚でずっと暮らしたいと考えている。
小さな子供達が、家のなかを飛びまわれるようなワンルーム田舎家プランである。
敷地内の高低差の都合上、内部にも階段等の段差があるが、それがかえって空間を楽しく豊かなものにしている。
そして、道路に塀を建てずにプライバシーを確保できている住宅となった。

 

建築DATA

1階床面積 : 59.60㎡ (18.02坪)          〈家族構成〉
2階床面積 : 27.44㎡ ( 8.30坪)            夫婦+子供3人
延べ床面積 : 87.04㎡ (26.32坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2016年4月号掲載]

二人の小さな家

「二人の小さな家」室内_藤原

[室内]東南コーナー窓


「二人の小さな家」外観_藤原

[外観]二階角が窓です

夫婦二人のための小さな終の棲家です。

 

総二階、延床面積21・5坪の中に、将来用ホームエレベータースペースの押し入れがあり、階段含めて広さ10坪の居間食堂では、少し狭苦しい感じがします。
そこで広がりをつくり出すために、東と南に単独の窓を設けるのではなく、二階の南面の東西の両角を窓にしています。
耐力は中央の壁で担います。
コーナーを窓にすることで、両角が開放され、空間が拡大して感じられます。
二人の小さな家-平面図_藤原その上で、空間ボリュウムも大きくするために室内は勾配天井とし、中央部を高くし、下り天井面をそのまま、1m跳ね出した軒裏天井に連続させ、部屋が外部まで延長されてあるように見せます。

 

小さくても開放感があり、春には窓外の並木道の桜が窓いっぱい目に飛び込んできます。

 

建築DATA

1階床面積 : 35.54㎡(10.75坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 35.54㎡(10.75坪)            夫婦
延べ床面積 : 71.07㎡(21.50坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2016年4月号掲載]

川間の家 〜 夫婦二人のペレットストーブのある家 〜

川間の家-居間_落合

[居間]ペレットストーブのある居間。陽当たりも抜群


建て主さんの方からの主な要望は
川間の家-ダイニング_落合

[ダイニング]居間方向を見たところ。テーブル右側のガラスの框戸を開けると台所です

  • 公園の桜が満喫できるような家。
  • 暖房を兼ねた薪ストーブがほしい。
  • 寝室はそれぞれ個室に。
  • 気持のよい浴室がほしい。
  • ネコがキッチンに入れないようにしたい。
  •   でもキッチンの閉塞感はなくしたい。

 

それに対して、私がそれぞれに提案したのは

  • 1階の居間・ダイニングから公園の桜が見えるように大きな開口部
      を設ける。
      予算的に木製建具はできないが、アルミサッシでもアルミ部分が目
      立たないように工夫。
      2階の畳の部屋が花見の特等席。
  • 着火や消火が簡単で、煙突掃除も薪ストーブほど手の掛からない鋳
      鉄製のペレットストーブを提案。
      ストーブの廻りに耐熱を兼ねた大谷石を積んで雰囲気造り。
      暖房器具はこれ一つで大丈夫。
  • 寝室は別でも、調子の悪いときにお互いの気配がわかるような工夫
      を提案。
  • ハーフユニットバスを使いながら、壁天井は檜張り。
      外から覗けない坪庭も造って温泉気分満喫。
  • 川間の家-浴室_落合

    [浴室]朝風呂派のご夫婦に大好評の温泉気分の味わえる浴室

     キッチンからダイニングを通して外が見えるように開放的にしなが
      らもネコが入れないように鍵付きガラスの框戸を設置。

 

他にもいろいろなやりとりの結果、時間がゆったりと流れるような住宅が出来上がりました。
今度は桜の季節に点検に伺う予定です。
ちょっと楽しみ!

川間の家-外観_落合

[公園から勝手口方向を見たところ]春には公園の桜を満喫できます

 

建築DATA

1階床面積 : 58.87㎡(17.8坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 38.92㎡(11.7坪)            夫婦
延べ床面積 : 97.79㎡(29.5坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2016年3月号掲載]

風の家

風の家-室内_佐々木

蓄熱式床冷暖房を埋設したコンクリート土間の上に箱状の個室が点在する


はじめまして、2015年12月に入会致しました佐々木善樹と申します。
浅草、観音裏の住宅地の一角に佐々木善樹建築研究室を開設しています。
この事務所はThought-FACTORYという別名も持ち、台東区の「アトリエ店舗」に登録されています。
ここでは家づくりに役立つ約800冊の本が自由に読めるようになっており、毎週末には佐々木善樹と家づくりをした住み手の皆さんが交代でマスターをつとめるカフェも開かれます。
一度遊びに来てみてください。

 

「風の家」を紹介します。
建て主は目の前に多摩川を望み、土手に公道を通らずに出入りできる伸びやかな環境の土地を手に入れました。
木造2階建てのこの家は1階のコンクリート土間の上に小さな箱状の個室を置いて寝室や子供室や倉庫とし、2階にはキッチンをはじめとした家族皆の空間を配置してスノコデッキへと繋げました。
このデッキはアウトリビングとしてだけではなく多摩川からの涼風を室内に採り込む装置となるように考えました。
またキッチン上部の小窓のあるロフトは遠く富士山を望む座禅の場になっています。

 

たくさんの居場所がある家が良いと考えます。
単行本と珈琲を持って、今日はどこでお茶をしようかと居場所を探せるような家が理想です。
例えば家族皆での夕食はココで、今日は1人だからお膳を持ってココで食べよう、などなど。
寝る場所さえ季節や気分によって自由でありたいと思います。
生活の多様なシーンを家の間取りによって制限されない家が良いと思います。
広い場所と狭い場所、明るい場所と暗い場所、天井の高い場所と低い場所。
多様な空間を家の中に用意して、あとは時の流れの中で、住み手と共に自在に育ってゆくような家が良いと思っています。

アウトリビングデッキから多摩川方面を望む                      多摩川土手からみた外観

 

 

建築DATA

1階床面積 : 47.43㎡ (14.34坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 28.54㎡ ( 8.63坪)            夫婦+子供2人
延べ床面積 : 75.97㎡ (22.97坪) (その他ロフト:7.72㎡)     
構   造 : 2階建て

 

[家づくりニュース2016年2月号掲載]

スキップハウス ~ワンルームのような家~

仲の良い4人家族。いつでも気配を感じていたいので、ワンルームのような家を希望されました。


容積率の関係で吹抜を設けることは難しく、スキップフロアとすることで、一体感を作りました。

昔ながらの住宅街に建つコンパクトな住宅です。
仲の良い4人家族で、いつでも気配を感じていたいとのリクエストをもらいました。

 

大きな吹抜を設ければ、全体的にワンルームのような設計は可能なのですが、今回は、限られた敷地で、建蔽率が40%、容積率が80%という厳しい条件でした。吹き抜けを作ると全体の面積が小さくなってしまいます。
そこで、それぞれの階を縦方向にずらし、スキップフロアにすることで建物全体の一体感を確保しました。玄関から800mm高いところにLDKがあり、そこから1,600mm階段を上ると読書コーナーがあります。また1,600mm上がると子供コーナーとラウンジがあります。更に1,600mm上がるとロフトが続きます。
玄関からロフトまで、空気は一筆書きとなり、声や気配もつながります。洗面室や浴室、トイレ、クロゼット以外は扉も無く、本当にオープンな家です。
子供の成長に伴ってプライバシーをどのように確保して行くのか課題もありますが、建主さんの要望を取り入れ、納得の完成になったようです。

 

1階は床暖房を入れ、寒さ対策をしました。エアコンはロフト部分にも設置して、冷気が下に降りてくる計画としました。また、キッチンは家具工事の造作としたり、壁はローラー漆喰にしたりと自然素材の雰囲気も出しています。

 

建主さんの楽しさが伝わるのか、大工さんも、滑り台を作ってくれたり、雰囲気の良い現場になりました。

 

建築DATA

1階床面積  : 42.09㎡(12.73坪)           〈家族構成〉
2階床面積  : 41.26㎡(12.48坪)            夫婦+子供2人
ロフト床面積 : 14.85㎡(4.49坪)
延べ床面積  : 98.20㎡(29.71坪)
構   造  : 木造2階建て+ロフト

[家づくりニュース2015年10月号掲載]

wood_smile_gallery

ood_smile_gallery-室内_古川

ギャラリー内部。ハイサイドライトから溢れる自然光と既存の骨組みのフレームワークがポイント。半透明のパーテションの向こうは事務室。その枠も扉も杉で作っています。


これは新木場の老舗材木屋さんのリノベーションです。
wood_smile_gallery-玄関・アプローチ_古川

玄関アプローチにはオープンデッキを設けて道行く人の憩いの場になるようにしています。デッキもベンチも杉で作っています。

ですから、人が住むわけではないので「今月のいえ」というにはいささか心苦しいのですが、道行く人がふらっと立ち寄れる街のリビングをつくることを目指して設計をしましたので、強引ではありますがこれも「いえ」だと思ってご紹介させていただきます。

 

「wood_smile_gallery」とは文字通り、木を見て触れて笑顔になる、木の良さを多くの人に感じてもらう場所ということです。
良さを体で感じてもらえることができれば、家の中に木を使いたくなる。
そうした拠点として、街のリビングとしてこの場所では音楽やフリーマケットなど様々なイベントが始まっています。
目的は様々でも来ていただくことで木の良さを発見してもらえることが大切だと思っています。
なかでも、木の良さを体で一番体感してもらえるのは床です。
床には千葉県産の杉のフローリングを丁寧に低温で乾燥させたものを使っています。
低温で乾燥させることで、木の中にもともと含まれている精油成分や酵素などがそのまま残るようで、実際に低温で乾燥させた杉板は触りごごちも暖かく柔らかく感じます。
これは床の上に座って寝転んで触って違いを感じて欲しいところです。
一人でも多くの人が木のもつ優しさの魅力をこの場所で発見して欲しいと思います。

 

建築DATA

1階床面積 : 27坪
構   造 : 平屋建て
使用用途  : ギャラリー・事務所

[家づくりニュース2015年7月号掲載]

うなぎの寝床

うなぎの寝床-外観_根來

プライバシーを保ちつつ、光や風を取り入れる工夫をした外観


品川区大井町で設計・監理した木造3階建ての住宅。
敷地の形状は間口4m、奥行き14.5m、所謂「うなぎの寝床」。
この敷地特性を上手く活かすため、内部は階段を挟んだスキップフロアで構成し、各フロアが緩やかに繋がり、奥行きのある空間となっております。
狭小住宅の場合、よく道路に面して玄関ドアが付いておりますが、子供の飛び出しや、玄関ドアを空けると中が丸見えになるのは、好ましい玄関構えとは言えません。
うなぎの寝床-室内_根來

ブレースを活用し、解放的な内部空間を実現しております

本住宅では、玄関ドアを奥の方の脇に設けております。
狭い敷地ながらも人の歩く距離を長くすることにより、路地の奥に惹き込まれるような、少しでも豊かなアプローチを造り出そうと考えました。
スキップフロアの空間は、視覚的にも楽しく、この階段を視覚的にも機能的にも如何に生活空間に馴染ませるかがポイントとなる訳ですが、デザイン的なことだけでなく、重力(温度差)換気のスペースとしても活用することが可能です。
夏場は暖気が上昇し、最上階に設けたハイサイドライトから抜けて、家全体が涼しい空間になります。
冬場は階段下に設けた蓄熱暖房機(深夜電力)の暖気が緩やかなに上昇し、家全体を暖めます。
最上階には天井扇が設けられ、天井に溜まった暖気が2階のリビングダイニングに落ちてくるようなサーキュレーションを計画しております。
スキップフロアの空間を開放的に繋ぐには、階段の設計は重要です。
階段を単なる移動空間として捉えるのではなく、吹抜けの一部として組み込み、横方向への広がりを生み、かつ彫刻的に、そんな階段を目指しました。
人の動きとともに、光の取り入れ方や風の流れをも設計したつもりです。

 

建築DATA

1階床面積 : 29.27㎡( 8.84坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 36.22㎡(10.93坪)            家族構成:夫婦+子供1人
3階床面積 : 27.39㎡( 8.27坪)
延べ床面積 : 92.88㎡(28.04坪)
構   造 : 木造3階建て

[家づくりニュース2015年7月号掲載]

庭を取り込む

庭を取り込む-室内_半田

内観:吹き抜けによって、冬は奥の食堂まで陽が入る。夏は大きな庇とバルコニー、樹木で日射を遮蔽。
“冬は暖かく夏は涼しい” を実現。


気持ちの良い『住まいの秘訣』の一つが “戸外とのつながり” です。
この家の庭はわずか3坪ですが、一坪を植栽に残りをウッドデッキにしています。
庭を取り込む-外観_半田

外観:道路側は高めの板塀と生け垣で囲い、シンボルツリー側に開く。
大きなバルコニーは、ウッドデッキの屋根にもなっている。
プライバシーを確保しながら緑を室内に取り込む。

キーポイントは、居間の掃き出し窓を引き込みにしていること。
1間半の大きな開口部のおかげでウッドデッキと居間が繋がります。広々として緑が身近に感じられる伸びやかなスペースになりました。
道路とウッドデッキの境は高めの板塀で仕切っています。

 

写真ではまだ生えそろっていませんが、植え込みのネットフェンスには、テイカカズラを絡ませてプライバシーを守ります。
一番大きなシンボルツリーはアオダモ。別名コバトネリコ、野球のバットをつくる落葉広葉樹、爽やかで美しい木です。
二階のバルコニーからも目線の高さで新緑や紅葉が楽しめます。
蛇籠で包んだ足下の石垣にもそのうち緑が根付くはず。
戸建て住宅は個人の資産ですが、地域の景観の一部でもあります。
わずか1坪の庭でも、木を植えることによってすてきな町並みに貢献できますよ。

 

建築DATA

1階床面積 : 45.2㎡(13.6坪)              〈家族構成〉
2階床面積 : 44.1㎡(13.5坪)               夫婦+子供2人
延べ床面積 : 89.9㎡(27.1坪)+ロフト6.6㎡(2坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2015年2月号掲載]

稲毛の家

撮影 : 西川 公朗

稲毛の家_写真1_高野

玄関土間越しにタタミルームを見る。右手引戸が床下収納入口。


サッカー大好き少年と若いご夫婦の住まいです。

 

最初の設計をスタートしたのが今から8年前でした、いくつかのハードルを越えやっと実施設計が完了、これからという時に突然ご主人の転勤が決まり、しかも遠方のため家族皆で行く事に。
残念ながら計画は頓挫しました。

 

そしてその記憶も薄れかけた5年後に、ご家族が稲毛に戻ることが決定。
ある日突然なんの前触れも無く、設計の再依頼のメールをいただきプロジェクトが復活!!
ご家族の家づくりの夢は、転勤先での5年間の生活経験と子供の成長とともに、いろいろと変化していました。
僕としても自分の5年前の仕事からはじめるより、新たな気持ちでもう一度プランを出してみたいと考え、一度白紙に戻して0からの設計を試みました。

稲毛の家_写真2_高野

絞られた開口から、外の気配を取り込む。砂漆喰仕上げの壁・天井が優しい光と影をつくる。

 

 

5年間のブランクを経て実施案となった住まいは、一階に土間と和の庭とつながるタタミルームをつくり水回りやバスコートをまとめました。
半階上がってウッドデッキやバスコートとも視線がつながるLDKをつくり、更に半階上がったところに寝室とウォークインクロゼットと書斎を配して、さらに数段スキップしてキッチンの真上に子供部屋があります。
LDKの床下は、何でも入る全面大収納空間になっています。
室内のどこにいても家族が集まるLDKと気配がつながり、敷地内のささやかな緑を楽しむコンパクトながらも、柔らかな光に満たされた住まいになりました。

 

建築DATA

1階床面積 : 54.48㎡(16.48坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 40.21㎡(12.16坪)            夫婦+子供1人
延べ床面積 : 94.69㎡(28.65坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年12月号掲載]

戸部の家/5M×5M House

戸部の家-①_石黒

LDKです。ロフトは開放的にしてLDKと繋がります。
道路に面した2方向は開口部を大きくし視線が抜けるよう検討しました。


横浜駅から1駅という都心に建つ小さな住宅です。
戸部の家-②_石黒

外観です。1階部分はサイディング、2階以上はガルバリウム鋼板です。建物の平面は5M×5Mで、高さは10M弱です。

敷地面積が35平米、コインパーキング2台分の大きさでした。

 

商業地域で準防火地域ですので、規制は緩く木造3階建てには有利な条件と判断しました。
建て主さんは木を現したデザインを好み、構造材を見せる設計を希望されましたが、コストと木造3階建ての条件では難しく、規制の範囲内でどれだけ木の柔らかいの雰囲気を出せるかをテーマのひとつとしました。
また小さな敷地でローコストですから、なるべく無駄なく合理的に設計することも重要なポイントでした。
完成してみれば床は杉の無垢材、壁は左官材料と木や自然素材が持つ暖かみは表現できたと感じています。

 

LDKを3階に設け、オープンなロフトとリンクさせることで、縦方向にも視線が繋がり、また道路に向けて大きな開口を設けたことで、開放的で視線の通る住宅になったように感じています。
ベランダがなくて洗濯物を干す事に工夫が必要だったり、3階のLDKまで、階段を上らないといけなかったり、通常の住宅よりは変則的な事が多いですが、大事なところを残し、省けることは省くという決断でかえってスッキリした暮らし方が出来るのではないかと感じました。
工務店さんの努力もあり、コストもほぼ希望通りに納めることができました。

 

建築DATA

1階床面積 : 13.29㎡ (4.02坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 25.00㎡ (7.56坪)            夫婦
3階床面積 : 25.00㎡ (7.56坪)
延べ床面積 : 73.76㎡ (22.31坪)     
構   造 : 木造3階建て

 

[家づくりニュース2014年8月号掲載]

日野の家

撮影:篠澤 裕

日野の家-2階_荒木

2階吹抜けと奥様の活動コーナー。
智頭杉現しの柱に水平の棚板が取り付き、上り梁がリズミカルに架かる簡潔な内部空間となっている。


ご夫婦と母親の三人と二匹の猫のための住宅です。
敷地購入後、私どもに設計依頼をして下さいました。
細長い敷地で奥に低い崖があるので、長い間売れ残っていた土地だったようです。
敷地を初めて拝見した際にはとても恵まれている印象を受けました。
敷地内に李の木が生え、さらにその奥の敷地外の崖地には、様々の大きな樹木が生い茂っていたからです。

 

建物は木造2階建てにて計画しました。
コンクリートの縁石と板塀のアプローチを辿り、道路から少し奥まったところにある玄関引戸を開けると、土間とひとつながりの「椅子座」の板間の空間が広がり、その奥の「床座」の智頭杉の小上がりの板間の先に、庭の豊かな緑が目に飛び込んで来ます。

日野の家-階段_荒木

椅子座の板間と床座の智頭杉貼りの小上がりの先に庭の緑が見える1階。軽快な螺旋階段が上下階をつないでいる。

椅子座の板間には、ダイニングとキッチンがあり、道路側の平屋の居室(お母様の部屋)とも引戸で繋がっています。
中央付近にあるシンプルな構造の螺旋階段を上ると、上下の空間をつなぎ下階に自然光を届ける大きな吹抜けの周囲に、ご夫婦の寝室や

 

それぞれの活動空間が、あいまいに仕切られて配置されています。
2階のどの部屋からも南の庭とその先の樹木の緑が目に入ります。
それぞれに沢山の本をお持ちのご家族のために、1階全体と吹抜けでつながる2階の西側の壁面にとどまつのパネルにて固定の本棚を作りました。

 

この建物は、内部に智頭杉の柱・梁を「現し」にした力強い空間を持っていますが、この厚い板で作られた本棚も、柱や梁と一体となって、簡潔な内部空間を形成しています。

 

建築DATA

1階床面積 : 52.58㎡(15.91坪)            〈家族構成〉
2階床面積 : 37.75㎡(11.42坪)            夫婦+母親+猫2匹
延べ床面積 : 90.33㎡(27.32坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年6月号掲載]

OPERA

書斎からの眺望


書斎をリビングに突出させることで展望感を高め、住まいの象徴となっている。

斜面の中腹に位置する旗竿形状型敷地に計画した2世帯住宅です。
ウィークポイントの多い傾斜地ですが、つくり方によっては良好な眺望を享受することができます。
趣味でオペラを歌唱される夫婦にとってウェイトの高かった要望は、
「防音性能の高い地下室を設けたい」、
「北東側の眺望を生かしたい」
というものでした。

 

既存の細長いアプローチには大きな高低差があり、隣地も高かったり低かったりといくつもの高低差がありました。
どこの相談先でも、
「建て替えには擁壁のやり替えが必至で多額な費用がかかってしまい、コストを要する地下室はもってのほか」
という回答だったそうです。
それ以前に地階の工事に必要な重機車両が入れません。
単なる土留め壁のやり直しに多額が投じられてしまうことは非常にもったいないと感じました。
そこでそれらを少しでも行わずに済む半地下の防音室に擁壁の役も担わす提案をし、周囲の高低差測量を行うことから計画がはじまりました。

アプローチ夜景




 

地下室の設定レベルからはスキップフロア形式が効率良さそうです。
しかし最上階の一角にある3帖の書斎スペースは眺望が臨める東側に位置しません。
仕事を自宅の書斎にもち込まれることが多いと伺っており、ここも景観を臨める環境にしたいところです。
そして書斎の東側にあるリビング越しの外壁もガラス開口にすることで、こぢんまりと落ち着きを感じつつも開放的で気持ちよいという、相反する要素が同在する不思議な展望書斎が誕生しました。
                            

 

新しい建物は擁壁を兼ねたオペラルームの半地下レベルで入ることが可能です。
長い階段アプローチは緩やかなスロープに変わり駐車台数も増えました。
更には、旧家屋の解体工事や、基礎及び地下室躯体工事に必要な重機についても、想定よりも大きい(=作業性の高い)ものが入れることとなり、工事費用の節約に貢献しています。

 

旧家屋のアプローチ

 

建築DATA

敷地面積 : 187.15㎡ (56.61坪)           〈家族構成〉
建築面積 : 71.21㎡ (21.54坪)            両親+夫婦+子供1人
構  造 : 木造軸組工法一部鉄筋コンクリート造

[家づくりニュース2014年5月号掲載]