【 30-40坪 】

「リフォーム」から「リノベーション」

「リフォーム」から「リノベーション」01_松澤

[現状を残す和室] 落ち着いた和室を極力保存しながら、耐震補強と断熱補強をしっかりと行いました。


数年前までは、建て替えかリフォームか?というような記事がよく見られました。
私も相談があった場合、1,000万円を超えると建て替えを勧めていたような気がします。
またリフォームの依頼も設計事務所にはほとんどありませんでしたが、ここ5年くらいの間に状況がドンドン変わって参りました。
リフォームの依頼が全く無かったわけではありませんが、増築や間取りの変更、バリアフリー化などの数10万円から300万円くらいまでのものがあった程度でしたが、法改正で増築が難しくなったり、耐震補強の補助金が出るようになったり、住宅が余る状況や不景気感があったりで、住宅工事を取り巻く環境が大きく様変わりして参りました。
ここ2、3年は私の事務所でもリノベーションの依頼が少しづつですが出て参りました。

 

リノベーションはリフォームと違って、規模が比較的大きな工事で、新たな魅力を加えるものと考えていますが、そのスタートは耐震補強からのものが多くなっています。
もちろん家族構成が変わって、建て替えるのもどうかな?という建て主さんもいます。
今、建て替えかリノベーションか?の分岐点(総工費)は、既存建物の程度にも拠るのですが、構造的に補強が可能であれば1,500万円かなと考えています。
構造的には比較的安心な、マンションの木の家化などもしたいと考えていますが、戸建の場合は構造体に不安が残るので、しっかりとした事前調査や打合せが必要になります。
新たな魅力を加えるという点では、建築家に依頼する価値が十分にあると思います。
単に直す、きれいにするのではなく、フルのリノベでは新築とは違った魅力を得られるかも知れません。

 

「リフォーム」から「リノベーション」02_松澤

[大きく変わったLDK+] 応接間+DK+和室+縁側を、ほぼワンルームのLDKとして、快適で楽しい空間としました。隣接した脱衣室、浴室、トイレも新しくし、動線をスムーズにしています。

「リフォーム」から「リノベーション」03_松澤

[外観] 昭和56年新耐震になる前の住宅の耐震補強+バリアフリー化+いろいろ今回のリノベーションは珍しいパターンではありますが、予算の関係で外部はあまりいじらない工事となりました。

 

 

建築DATA

1階床面積 : 76.599㎡(23.17坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 33.124㎡(10.02坪)            夫婦
延べ床面積 : 109.723㎡(33.19坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2016年3月号掲載]

つづら折りの家

つづら折りの家-01_高野

東南の木製建具を開放して中庭を取り込む


つづら折りの家-02_高野

南側外観、両脇のモミジと外露地

間口いっぱいに広がるモミジの下を抜けると、瓦葺きの平屋があり、地面につきそうな掃き出しの窓から幾重にも重なる緑が木洩れ陽とわずかに風を運んでいました。
今は誰も住んでいないこの家をゆっくり眺めては歩き、また立ち止まっては眺めたり、敷地内外を歩き回りました。
「家」と「庭」を丁寧に手入れされながら、自然を身近に感じてお住まいになっていたであろうこの平屋の、この場所の光と湿気を含んだこの空気感を体に覚えさせる事が、ここでの家づくりのスタートになると感じました。
モミジや紅白の梅などの庭木や瓦・敷石・大谷石など残せるものは出来るだけ残し再利用することにして古家は解体、敷地は南北に長く二等分されました。

 

新しい住まいは近隣の緑と敷地内の緑を注意深く繋げ、豊かな景観に育つよう配慮し敷地内外に奥行きのある住空間を提案しました。

つづら折りの家-03_高野

広間から階段方向を見る

縦長の敷地に台形の平面形がズレながらつながることで生まれる内と外の視線の抜け方や余白に生まれる空間の溜まりなど、奥行きと人の居場所、外との多様な繋がりを生み出し、間口の狭さは感じさせない空間となりました。
秩序の中のわずかなズレが親しみやすさを生み、家族を穏やかな気持ちにさせるのではないか、機能性や効率最優先からほんの少しだけ距離をとることで、そこには何か情緒が形になって現われるのではないかと考えたのです。
ささやかであっても日々の美しい生活を豊かに味わう、そんな住まいになればと建て主家族と一緒に夢を描きました。

 

photo:Masao Nishikawa

 

建築DATA

1階床面積 : 69.69㎡(21.08坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 35.60㎡(10.76坪)            夫婦
延べ床面積 : 105.29㎡(31.85坪)     
構   造 : 木造2階建て

 

[家づくりニュース2016年2月号掲載]

吉川の家 ~ 3本の足を持つ住宅 ~

写真:小川 重雄

吉川の家-外観_庄司

ライトアップされた斜め壁とスカルプチュアルな建築造形。
北西両方向に迫り上がるRC斜め壁からRCスラブ上に木造+ガルバリウム鋼板のフレームで覆われた2Fの構造ヴォリュームが跳ね出しています。


○ 大交差点に建つ
郊外に建つ若い夫婦のための住宅です。
吉川の家-室内_庄司

リビングの西(左)側の大開口部からは桜並木を臨むことができます。
床はウォルナットフローリング仕上げ、天井には露出型の空調機とダクトが見えます。

計画地は将来の歩道セットバック部分を除くと24坪ほどの狭小敷地で、幅員22mの市道と幅員11mの県道が交わる大きな交差点の南東角に位置しています。
西側市道の対岸には吉川市を5㎞近くにわたって南北に貫く桜の並木道が存在し、敷地からはその木々の緑を臨むことができます。
本計画では、圧倒的なスケールを持つ大規模交差点と対峙する、存在感のある造形を持つ建築を提案したいと考えました。

 

○ スカルプチュアルな造形
この住宅では、1F機能はエントランスとホールのみとし、その他のヴォリュームは建て主さんのご希望である3台分の駐車場確保のため外部に開放されたピロティー空間とした上で、この住宅における主な居住空間は全て2Fにプログラムしています。
斜めに迫り上がる象徴的な3本の足“RC傾斜壁”に支えられるフレーミングがこの住宅の建築造形を決定づける大きな要素となっています。
傾斜壁からは西側と北側へスラブを跳ね出させ、そのキャンティヴォリュームを木造の架構で包み込むことによって、必要な居室空間を確保するとともに、この住宅の建築造形を完結させています。
桜並木に向かって視覚的方向性を持つ大開口部によってその眺望を確保し、狭小住空間における開放感と快適性を実現させるとともに、混構造による象徴的なスカルプチュアルな造形を実現させました。

 

建築DATA

1階床面積 : 57.00㎡(17.24坪)          〈家族構成〉
2階床面積 : 54.83㎡(16.59坪)           夫婦+子供1人
延べ床面積 : 111.83㎡(33.83坪)     
構   造 : RC造地上2階建て

 

[家づくりニュース2015年11月号掲載]

吹上の家 ~県産木材の住宅~

吹上の家-室内_松澤

子供室。杉と漆喰の空間です。将来は二部屋に分割かな?


県産木材で家をつくりたい・・・から始まった家づくりです。

 

吹上の家-階段_松澤

いつもの中板が無垢板の階段。段板はケヤキ。
手摺は何でしょう?

先ずは土地探しからスタート。2物件目で気に入った土地が見つかり、さっそく計画が始まりました。
予算の関係もあり、長期優良住宅の地域型住宅ブランド化事業に応募し、採択されました。
多少のルールはありますが、ほぼいつもの木の家で要件はクリア出来ますが、構造計算が必要となり、手続きでの木材の伝票処理がネックです。いろいろクリアして、断熱性能と構造強度の高い家が完成しました。予算の関係で、当初予定していた「そよ風」と床暖房は断念せざるを得ませんでしたが、ほぼ建て主さんの希望は満たせたと思います。

 

吹上の家-外観_松澤

北西外観。まだ予算の都合で外構は手付かず。

お子さんは生まれたばかりで、これからが家族にとって大事な時期です。安全で快適な住まいで、楽しく親子で成長して行く事でしょう。
大きなテーマとしては、外部はメンテナンスフリーを目指し、内部は木と漆喰で開放的な空間を目指しています。都心部に比べると敷地は50坪と広いのですが、日照条件をかなり気にされたので、地盤も1階床高も上げています。その為、玄関へのアプローチの段差と階段の段数が増えています。
暮らし方にも当然、様々なこだわりがあり、計画には時間が掛かりました。あそこを変えると、こっちが駄目になり・・・と。どこかで妥協は必要ですが、先ずは我儘いっぱいで家づくりには臨んで下さい。
私たちが出来るだけ嫌な顔を見せずに解決して行きます。

 

建築DATA

1階床面積 : 58.66㎡ (17.75坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 50.40㎡ (15.25坪)            夫婦+子供1人
延べ床面積 : 109.06㎡ (33.00坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2015年5月号掲載]

小田原の家

小田原の家-外観_水口

バリアフリーな平屋から展望のための3階建てのタワーがそびえるような外観。


小田原の家-室内_水口

天井が高く黒い内装とした書庫には古い家のガラス障子やステンドグラスを設置しました。

高齢の母のために息子さんが建てた家です。
ガルバリウム鋼板で仕上げられた少し変わった形のこの家には、脚の調子が良くない母が暮すための平屋のバリアフリーな居住空間と3階の展望室とが収容され、その間をホームエレベーターでつないでいます。
昔、この敷地からも良く見えたという箱根の山波の景色を再び見せてあげたいという建て主さんの強い思いを実現するために設けた3階の展望室は、近接する家の屋根越しに眺望が得られるようにと法的、構造的にも可能な限りの高い位置に設けました。
展望室の外に設けたテラスからは相模湾の海までも望むことができます。

 

3階を高く持ち上げるために結果としてとても天井が高い空間となった2階には、出版関係にお勤めの建て主さんの所持する大量の蔵書のための書庫と、大きな仏壇を置くための仏間を設けました。
書庫の内装は真っ黒に仕上げた上に取り壊した以前の家にあったガラス障子や、新たに大きなステンドグラスをはめ込み、亡き父が使われていた古い机を部屋の真ん中に置いています。
週末には都心で暮らす建て主さんが寝泊りする部屋としても利用されているそうです。

 

建築DATA

敷地面積  : 270.78㎡(81.91坪)          〈家族構成〉
1階床面積 : 66.49㎡(20.11坪)          一人
2階床面積 : 27.18㎡( 8.22坪)
3階床面積 : 14.35㎡( 4.34坪)
延べ床面積 : 108.02㎡(32.67坪)
構   造 : 木造在来工法地上3階建て  

[家づくりニュース2015年4月号掲載]

松が崎の住まい

撮影:小川 重雄

松が崎の住まい-外観_松本

南道路から玄関までの造園アプローチ。


設計段階では息子さんから近代の名作住宅建築や好みの空間について写真や映画のシーンからお話し頂き、建築専門でない方からの感想など伺う事ができ、視野の広がる時間を共有させて頂きました。
一方で私が個人的に好んで用いているオニグルミの原木(床材に使用しています)やその製材風景を見に、遠路南会津の材木店までご家族とご一緒頂きました。
松が崎の住まい-室内_松本

1階リビング。柔らかい光が障子越しに差し込む。

何十本と積まれた一〇〇年生の原木が、住まいの大切な一部として床材になるまでの一プロセスに興味を持って頂いたことは、自然の素材に感謝しつつ、「消費する」のではなく「ものと付き合う(愛着を持つ)」関係を築きたいと思う私自身にとっては大変嬉しく、またお気持ちに感謝した機会でもありました。

 

敷地は南道路、北側に小さな林の見える豊かな周辺環境を暮らしに享受したく、結果LDKは南北両方に開放したプランニングとなりました。
プライバシーを意識し高めの塀に囲まれた南庭、2階インナーテラスを介した吹抜からは朝陽がダイニングに差し込み、住まいを南北にぬける心地よい風が通ります。
回遊動線や立体的な連続感からは住まいの一体感を得て、実質以上の広がりを得られていると思います。
そのほか、障子や鍛鉄の薪ストーブ、空間に繊細さを加える格子戸、漆喰や土壁、四種の広葉樹の板、力強い赤松の梁・・・etcなど用いて『自然を享受し、楽に楽しく自然体で暮らす住まい』を試みています。
竣工間際には雑木林と少々茶庭なども連想させる玄関への造園アプローチができ、最後に建主さんこだわりの家具が入った際は、住宅が生き生きと感じられた瞬間でした。
お引越後も、何かと口実をつくってはお邪魔させて頂いておりますが(笑)、年月を経ると共に徐々に味わいを増し、より豊かな暮らしを育む住宅になってほしいと願っています。

 

建築DATA

1階床面積 : 63.28㎡(19.14坪)          〈家族構成〉
2階床面積 : 55.53㎡(16.80坪)            母+息子
延べ床面積 : 118.81㎡(35.94坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2015年3月号掲載]

千鳥の家 − 家と暮らしのリノベーション −

撮影 : 吉田 香代子

千鳥の家_室内_赤沼

内部は全室引き戸でつながるバリアフリーな空間に、生活スタイルも低めのテーブルを中心とした椅子座に見直しました。


築50年の古い木造家屋に住む娘さんと高齢のお母さまのためのリノベーションです。
耐震改修は区の助成を受けて基礎や木造躯体を補強し、使える屋根や外壁、開口部は部分的な改修とメンテナンスでコストを抑えつつ、内部は大幅に造り直しました。

 

お母さまが暮らす1階はLDKと寝室、水廻りが引き戸で繋がるバリアフリーな空間に、2階の和室4部屋は娘さんの仕事場と寝室に全て改修しています。
壁や床、特に天井裏には十分な換気口と断熱材を入れ、既存窓にはインナーサッシを取付けて温熱性能を確保し、直接手や足が触れる床やカウンターはいつものように木の無垢材を使い、壁や天井は土佐和紙などの自然素材で仕上げています。

 

千鳥の家-外観_赤沼

丁寧に手を加えて直した家は、住まい手はもちろんのこと街並みにも優しく馴染みます。

生活スタイルも畳から低めのテーブルを中心とした椅子座に見直しました。
物をあまり増やさず広々と暮らせるように、食事だけでなく休息や家事作業もこなせる通常よりも奥行きがあり低めのテーブルを製作し、椅子も座面が低く広めで多用性のあるものを吟味しました。
大勢集まった時には箱脚を倒して座卓にも早変わり、横になりたい時には隣の寝室と引込み戸で繋がりベッドで寛ぐこともできます。
先日伺うと、吟味した椅子も揃いテーブルと椅子座の生活にお二人ともすっかり馴染んでいるご様子でした。

 

建築DATA

1階床面積 : 14.8坪           〈家族構成〉
2階床面積 : 15.8坪            母+娘
延べ床面積 : 30.6坪     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年12月号掲載]

いなかそだちの家 ー土間とアトリエのある住宅ー  

いなかそだちの家01_丹羽

書棚とアトリエ風景

 

はじめまして、今年5月に入会させていただきました丹羽です。簡単な自己紹介です。生まれ育ったのは千葉県柏市。一卵性の双子。
成人して兄は革製品をつくる職人になり、弟の私は建築の道を選びました。双方とも28才の時に仕事を独立し、現在はお互いの住まいとアトリエが一体になった長屋をつくり、ひとつ屋根の下に8人でにぎやかに暮らしています。
何をするにも一緒・・・双子の宿命ですね・・・

 

昨年竣工した住宅を紹介いたします。敷地は300坪ほどあり、周囲には水田が広がっています。
そのような環境で育った建て主さんが望まれた家は飾らない、そしてどこか懐かしい、土間のある家でした。
(土間に台所があります。)
建築の専門家でもある建て主さんとの家づくりは、お互いが手を組み、議論を重ねながら二人三脚で設計作業が進んでいきました。

いなかそだちの家03_丹羽

切り取られた景色

素材も、空間も無駄をそぎ落としていくような作業。内部の床、壁や天井のほとんどは通常下地で使うようなベニヤ仕上げのままです。
無事工事が完了した後の内覧会には、地元にお住まいの方など大勢が見学にお越し下さいました。
その多くの感想は『アトリエからの眺めが最高ですね!』というもので、いつも見慣れているはずの田園風景が、窓で切り取られたことで一枚の絵のような印象深い景色に変わったことに驚きを隠せない様子でした。
改めて自分たちが住むこの土地のすばらしさに気づいてくださったのだと思い、とても嬉しく感じた瞬間でした。

 

建築DATA

1階床面積 : 50.77㎡(15.3坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 48.58㎡(14.7坪)            夫婦+子供2人
延べ床面積 : 99.35㎡(30.0坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年11月号掲載]

鵠沼橘の家/段差のある住まい

撮影:新澤 一平

鵠沼橘の家/段差のある住まい-LDK_小野

LDK。右手はキッチン、左縦格子の奥はスタディースペースです。正面がバルコニーに続くコーナー窓です。


鵠沼橘の家/段差のある住まい-外観_小野

外観。T字路の前面道路は唯一、周囲が建て込んでも視線の抜けが確保できるため、格子バルコニーとコーナー窓を設けました。

はじめまして。6月から家づくりの会に加入しました小野です。
初回の寄稿ですので、ご挨拶と今春竣工した住宅の紹介をします。

 

設計事務所を開設して、今年で8年目になります。
以前は、福祉施設や集合住宅など、比較的大きな建築をつくる設計事務所に勤務していました。
建築中は現場に通いつめ、監督さんをはじめ職人さんなど複数の方と現場で打合せをしながら仕事をしていました。
そこで、建築は様々な人の協力の上につくられていることを実感しました。
独立した現在は、戸建て住宅を中心に、新築やリフォームにたずさわっています。
そこでも定期的に、現場で打合せするようにしています。
建て主さんや現場監督とともに現場で打合せすることは、建築過程の時間を共有でき、完成後もその臨場感は、はっきりと記憶に残ると思います。

 

写真の住宅は、間口が狭く、奥行きが深い敷地に建っています。

鵠沼橘の家/段差のある住まい-玄関_小野

玄関。正面はテラスに続く地窓、奥に寝室があります。

この敷地の奥行きの長さが生活動線に影響しないよう、玄関と階段を建物中央に配置しました。
その結果、廊下/階段から居室への室内動線が短くなりました。
玄関を入ると正面にテラスに続く地窓があります。階段室には、小物を飾るニッチがあり、壁面には絵が飾られ、家族のギャラリーになっています。
また1階正面のガレージ部分は、階高が低くできましたので、直上の2階LDKと他の部屋の間に、階段2段分の段差をつくりました。
この段差は、腰掛けになったり、視線をずらしたり・・・ワンルーム空間のアクセントになっています。
外観は、切り妻屋根で、木格子のバルコニーを正面の隅角部に設けました。
このバルコニーはたとえ将来、敷地周辺に建物が密集しても、外部の光や風を取り込める部分です。
屋根は深緑色の鋼板を葺き、周辺風景に溶け込むように配慮しています。
配色は、建て主さんと現場で打合せしながら決めました。
家づくりは、こうした打合せの積み重ねがとても重要と考えています。

 

建て主さんと設計者、施工者との共同作業を経て、長く住み継いで行ける住まいを一つでも多く手がけたいと考えています。

 

建築DATA

1階床面積 : 73.64㎡(22.23坪)※インナーガレージ含む      〈家族構成〉
2階床面積 : 69.91㎡(21.11坪)                  夫婦+子供1人
延べ床面積 : 143.55㎡(43.34坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年10月号掲載]

北上尾

写真:石井 雅義

北上尾_居間

「居間が中心」…居間が中心となって2階の子供室等の気配もわかります。


ご夫婦とまだ小さい男の子と女の子の四人家族の住宅です。

 

奥さんからの要望は「子供達が基本自分のことは自分で出来るようになること」

 

そのためにこちらが考えたことの一つは、幼稚園から帰った子供達が玄関ホール脇の手洗いで手を洗い、うがいをして、バッグを裏手の廊下のハンガーにかけて、その脇で部屋着に着替えて、居間に戻っておやつを食べる、という動線計画。

 

台所経由で冷蔵庫から牛乳を出して、おやつと一緒に居間に行くというサブ経路もあります。

 

おりこうさんな子供達はちゃんとこの通りに使ってくれているとのことです。

 

「お帰り」………家がぼんぼりのように街を照らします。
「コンパクト」…コンパクトな玄関ホール。正面の引き戸を開けると居間、右側の引き戸を開けるとシューズインクロークがあります。
「一休み」………2階廊下の途中に本が読めるベンチを設置しています。


建築DATA

1階床面積 : 62.33㎡(18.85坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 44.39㎡(13.43坪)            夫婦+子供二人
延べ床面積 : 106.72㎡(32.28坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年7月号掲載]

八王子・和の中心の家

撮影:石井 雅義

大きな広間は縁側や出入り口とつながって、あけっぴろげ。


出入り口はL型に開放できて大勢の靴や荷物が並ぶ。

一緒に住むのではなくて、敷地の一部に「建てたらどうだい?」と親から、愛のある声をかけられる子世帯の住宅が増えました。
スープの冷めない距離というやつでしょうか。
八王子に建つこの住宅はそんな要素も含みながら、さらに経営する数店舗のコンビニエンスストアの従業員も集まって来ます。
従業員たちで草野球チームをつくっていて、それが絶妙なチームワークを成り立たせていて、スタッフみんなが積極的に頑張るすばらしい店舗経営の源になっています。
ですから、この住宅はいろんな方面の「和の中心」という役割を担っているのでした。
大きな声じゃ言えないけれど、鍵もかけない(笑)。
大きく開放していて、近所の人も寄っていくし、野菜も置いていく。
野球から泥だらけで帰ってきたチームのメンバーがシャワーを浴びて、その後子供も含めた大勢で宴会がはじまる。
台所は誰でも入って、料理が得意な人がつくる。
手が空いた人が片付ける。
従業員たちは家族のようなものとして、爽やかに「体育会系」の関係性の中で日常生活が営まれています。
大勢を許容しながら家族4人の暮らしもあって、風呂敷みたいに大きくても小さくても用が足りることが望まれました。
家具はなるべく置かずに、大勢にも対応できるように大きな座卓だけ創りました。
床はゴロンとなっても気持ちのいい柔らかく厚い杉板にして、庭とつづく半屋外の縁側とつながっています。
縁側は野球チームの泥んこの荷物を置く役割もあり、汚れたままシャワーに直行できます。
広くてL型の出入り口は、いっぺんに多人数の出入りが可能です。
夏は全開放、冬は障子よりも丈夫なダンボール状の鏡板が入った建具を閉めます。
といった訳で楽しい住宅ができたのですが、問題がありまして…
それは、なかなか人が帰らないこと! 
時間が来たら「蛍の光」が流れるような設計しないといけないかなあ。

 

建築DATA

1階床面積 : 76.76㎡(23.21坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 44.07㎡(13.33坪)           夫婦+少年×2+高齢ウサギ×1
延べ床面積 : 184.00㎡(55.00坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年5月号掲載]

若林の家

若林の家_室内01

ロフトからリビングを見下ろす。窓の向こうには、ルーバー手すりで囲われたバルコニーと花壇。


密集地に建つ3世代6人家族の住まい。
一般的に、家族の人数に応じて部屋数も増え、各部屋の広さも限られてきます。
特に密集地で斜線制限が厳しい場合は顕著です。
そこで、なにか特別な建築表現や構成を追い求めるのではなく、これまで大切にしてきた通りに、設えや納まりと言った、生活の背景を丁寧に設計することを心がけました。
リビングは採光と通風に優れた2階にあります。
2階リビングの利点は、高い天井をつくれること。
ここでは、切妻屋根のかたちに合わせた船底天井としました。高いところで3.6mあり、ロフトともつながっています。
このように天井を高くすると、実際の面積以上の広がりを感じられるようになります。
リビングの窓先には、背の高いルーバー手すりで囲まれた少し広めのバルコニー。
テーブルと椅子を置ける程度の広さです。
また、屋上緑化システムを使ってつくられた花壇もあります。
好みの草花を植え、ルーバー手すりにはつる性植物を絡ませて緑のスクリーンとなる予定です。

 

家の各所にほどこした設えの一部もご紹介します。
玄関まわりでは、玄関扉やポスト口などを木で一体につくりました。
まとまりのあるデザインとすることで、木や漆喰などの素材をより純粋に楽しむことができます。
内部には同じく木でつくり付けたベンチがあって、差し入れられた郵便はその上に出てくる仕組みになっています。
寝室として使う和室には、障子とは別にガラリ戸を設けました。
夏の夜に窓を開けて寝るための工夫です。
やわらかい光が室内を満たし、揉紙を貼った収納、漆喰壁との相性も良さそうです。

若林の家_玄関

玄関内のベンチ。波板ガラスの下がポスト口になっています。

若林の家_和室

モダンな雰囲気の和室。ガラリ戸は壁の中に引き込むことができます。

 

建築DATA

1階床面積 : 13.78坪           〈家族構成〉
2階床面積 : 18.22坪            夫婦+子供3人+母
ロフト面積 : 6.29坪
延べ床面積 : 38.29坪     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年4月号掲載]