【 70-80坪 】

知多(ちた)の家 ~5度目の増改築~

知多の家-ダイニング_後藤

耐震改修したダイニング:以前は少し暗めの空間でしたが、天井を高くし既存の梁を少し見せ、室内を漆喰で塗り直して、軽やかな光と風で満たされる空間に変わりました。


はじめまして、今年入会させていただいた後藤です。
生まれも育ちも三重県で、今も三重県に住んでいますが、仕事場が名古屋なので、余所の人には三重なの?名古屋なの?とよく聞かれます。
ということで最近は「三重県名古屋市の後藤です」と言っていますが、なんか変だぞと気づかれないのも少し寂しい所です。

 

知多の家-外観_後藤

外観:薄暗かった前面道路に陽が入るように、道路から建物を少し控えて配置しました。道路と建物の少しの間が、まちの人が集まる場になって賑わいをつくっています。

1年前に愛知県知多市で完成した住宅のご紹介です。
タイトルにあるように、今回で5度目の増改築となりました。
その時代の生活に合わせるように増築と改築を重ねられた大きな家でしたが、大きく複雑になりすぎた部分を壊し、おじいちゃん、おばあちゃんが慣れ親しんだ部分は、耐震改修をし、新たに必要とされる部屋を増築するという計画は、解体~耐震改修~解体~増築という大掛かりな工事となりました。
耐震改修し残す部分だけで30坪ほどあり、十分生活できる空間であったので、ただ部屋を増築するだけではまた使われない部屋になるかも?と懸念もあり、日々長く過ごす部屋となるアトリエを、普通なら生活空間に近くにするのが便利とも思いましたが、敢えて一番遠ざけ、更にまちに開かれた場にもなるよう提案しました。
建物が完成に近づき、奥様もここなら出来るわ!と一念発起し、機織り教室や子供たち向けのワークショップを開いたりと、今では知人友人だけでなく近所の方や学校帰りの子供たちがふらっと顔をみせる、まちの賑わいの場として、家中に楽しい声が響いています。

知多の家-アトリエ02_後藤

トップライトの光がアトリエに彩りをつくり、格子を通して他の部屋にも光と影を届けてます。
 

知多の家-アトリエ_後藤

アトリエ:びっくりする程の大量の糸を収納出来て、ミリ単位の作業も出来るようにいつも明るく、全身を使った作業でも大勢の人でも窮屈さを感じない空間にしました。

建て主様の木を「いっぱい」使ってほしい!というご要望に応えて、見え方や空間の質に合わせて、設計中も現場でもあれやこれやと選んで、材木屋さんにも協力して頂き、仕上げに16種類もの木を使いました。
ただ建て主様からこんなに使ってとは言ってないですよ~(笑)と話になり、「いっぱい」とは種類の事ではなくて、量の事だったという僕の勘違いでしたが、空間に合っているし、木の表情が素晴らしいとすごく喜んでもらえて良い想い出話になりました。

 

建築DATA

1階床面積 : 1階床面積 : 既存改修部 98.09㎡(29.7坪)/ 増築部 114.19㎡(34.5坪)  〈家族構成〉
2階床面積 : 増築部 42.07㎡(12.7坪)                           祖父母+夫婦+娘 
延べ床面積 : 254.35㎡(76.9坪)    
構   造 : 木造2階建て

 

[家づくりニュース2015年8月号掲載]

ブナの木と山野草の庭がある住まい

写真:スパイラル/小林 浩志

ブナの木と山野草の庭がある住まい_外観

コンクリート打ち放しの北側外観。上部には屋根が掛かり、ソーラーパネルが取り付けてあります。敷地間口の左右と中央には、将来、大きくなる木を植えています。

この住宅は下町の密集地に建っています。
防犯上の考慮とプライバシーの確保の点から、道路側を少し、クローズな感じにしています。
3階建ての二世帯住宅で、親世帯と娘夫婦世帯の一家7人で暮らしています。
昔から下町に生まれ育ち、暮らしてきた家族が、新たな家をどのようにつくるかを、みんなで考え、子供たちも孫たちも未来につなぐことを夢見た家づくりです。

敷地の約4分の1を自然観あふれる庭にして、土間を通り、玄関から直接、庭に出ることが出来る住宅をつくることにしました。
両親が最高齢になっても、3階分の上り下りが楽なように、ホームエレベーターも目立たないように設けました。

ブナの木と山野草の庭がある住まい_室内

庭と一体になった室内。木製のガラス戸・網戸・障子は全て、左側の壁に引き込んでいます。

家族全員が自然が大好きなので、何も無かった場所に豊かな自然を、建築と一緒に新たにつくることにしました。
1階にブナの木と山野草がたくさん植えられた広めの庭。
3階にはジューンベリーが植えられた花壇のあるテラス、そしてスカイツリーが良く見え、ナスやキュウリ、トマトを栽培している野菜畑がある屋上デッキをつくりました。
1階の庭には、屋根が掛かっている、お茶が飲めるテラスを設けています。
外部に通風がある日陰を設けることや雨天の作業スペースとして、とても役立っています。
北側の道路側にも、設計の初期に、あらかじめ植栽スペースを確保して、モミジ(紅葉)や常緑樹のソヨゴ(冬青)、ドウダンツツジを植えて、道行く人に楽しんでいただくことを考えました。

この住宅の構造には鉄筋コンクリート壁式造を採用しています。
鉄筋コンクリート造でも、マンションのように部屋の角に、大きな柱型が出ないため、家具などを各部屋のコーナーに、すっきり置くことが出来ます。
耐火性や耐震性も大きく、3階建ての住宅には、とてもお勧めのつくり方です。
僕は3・11の地震の時、この現場の中にいました。
前の道路と電柱はうねりながら大きく揺れましたが、この住宅は、この構造方式と杭を打っているために、思いのほか揺れませんでした。
町屋の震度は6弱でした。建主家族もそのとき一緒でした。

これからも、この家族7人と、これまで僕が設計した住宅の家族と同じように、ずーと、お付き合いしていくことになると思います。

建築DATA

1階床面積 : 26.40坪(84.29㎡)      〈家族構成〉
2階床面積 : 26.57坪(87.86㎡)       夫婦 + 娘 + 娘夫婦 + 子供2人
3階床面積 : 26.39坪(87.26㎡)
延べ床面積 : 77.86坪(257.41㎡)     
構   造 : 壁式RC造3階建て

[家づくりニュース2013年9月号掲載]

終の住処

終の住処_十文字 豊リビング前面のワイドな開口よりテラス越しに満開の桜を臨む。

 地下2階・地上2階建ての広さ25坪の2階が70歳を迎えたご夫婦の終の住処です。
 中央に設けた光の庭を囲むようにそれぞれのスペースを配置し、光と風が室内全体に行き渡り明るく快適な住環境がそこに生まれています。
 南バルコニーに面した20帖大のL.D.K.には、シンクとレンジを組み込んだオープンカウンターのキッチンを東寄りに配置し、西に連続する一段上がった和室にはご夫妻の希望の掘り炬燵を設置しました。 
 普段オープンの和室は、必要に応じて壁より戸襖を引き出し間仕切ることで客間ともなります。又、2面の開口部には障子が組み込まれ、閉めることで落ち着いた和室となります。
 春にはリビング前面のワイドな開口よりテラス越しに桜の古木を臨み、居ながらにして花見を満喫することができます。
 リビングと寝室に挟まれた4帖大の光の庭には夫妻の好きな鉢植えを置き、低めの開口より湯船に浸かりながら眺められ、同時に十分な採光と通風を浴室に与えてくれます。
 寝室は将来を見据え、光庭まで一体として使用することで広さと明るさを享受し、水廻り・トイレには直接出入りできることでとても重宝がられています。トイレにはもう一つ出入口を設けています。
 来客時には寝室の壁に引き込まれた建具を閉めることで、光庭寄りのスペースがサニタリーへの通路となります。
 このように限られたスペースの中に光庭を取り、引き込み建具を適所に組み込むことで機能的で豊な空間が実現しています。
 実はこの家の地下1階に夫妻の趣味空間があり、1階はお姉さんの住居です。そこで階段ホールにホームエレベーターを設置しています。

終の住処_平面図_十文字 豊

地下1階:27.62 坪      〈家族構成〉
  1階:25.24 坪       大人 2人
  2階:25.24 坪
延べ  :78.42 坪