テーマ:【 庭園・植栽 】

北の緑と半外部空間

北の緑と半外部空間_村田

北の緑(若林の家)

住宅を設計するとき、庭は敷地の南側に計画することが一般的です。南の庭がオープンスペースとなり北側の建物への日照を確保するとともに、きれいな緑を楽しめます。ただ、そのような恵まれた広さの敷地を手に入れるのは、土地取得の費用がかかりなかなか大変です。まとまった大きさの庭が確保できない場合も多いですから、要所に緑を配して、家の各所から緑を楽しめるように意識して設計しています。

 

30坪の敷地に建つこの家は、家族の人数も多く庭はさほど大きく取れませんでした。ですので、小さな緑を分散して配置しています。
写真は、そのうちのひとつ。
北側からアプローチする玄関から道路を見ています。手前にベンチを作りつけたポーチがあって、その向こうが一坪ほどの植栽スペース。そして道路という具合です。南からの陽射しを受け明るく輝く緑が、玄関の扉を開けると目に飛び込んできます。
なかなか素敵でしょう? 
北の緑は、計画次第で魅力的に楽しめます。ここには、魅力的に見えるポイントがもう一つあります。それは、壁や天井に適度に囲まれたポーチが玄関と緑のあいだにあること。このような囲われた場所を半外部空間と呼びます。内と外のあいだに半外部空間があると、より緑を楽しめるようになるのです。

 

[家づくりニュース2015年5月号掲載]

植木には一本一本に個性がある

写真① シマトネリコ

写真① シマトネリコ

私は植木が大好きです。
だから、植え込みには立ち会います。
たとえ一本でも。
植木には一本一本に個性があります。
その植え方によって、植木の表情はがらりと変わります。
図面上で、樹種や高さ、枝幅は指定できても、
一本一本の枝の広がり方や傾きまでは、表現できません。
植木屋さんと、どう植えれば、この木の個性が惹き立つか。
木表はどちらで、それ以外から見た時の見え方は。
成長した時の道路側へのはみ出し、アプローチへのはみ出し。
ライトアップ時の照らされ方。建物との距離、日の当たり方。
植木職人さんとの会話の中で、ここしかないポジションを見つけるのは楽しい。

 

植えているシンボルツリー(写真①)は『シマトネリコ』。
建主さんと一緒に、植木畑に行って選定してきたものです。
シマトネリコは常緑で、育てやすく、暑さに強いのが特徴です。

 

写真② フッキソウ

写真② フッキソウ

こちら(写真②)は、アプローチ足元に植えている『フッキソウ(富貴草)』を植えている様子。
強い日差しでは葉焼けするので、半陽地~陰地に向いています。
常緑で、葉が密に茂る様子から「繁栄」の意味を持たせて名付けられた下草で、とっても縁起が良いのです。
アプローチの土間は『豆砂利洗い出し』仕上げ。
その土間と敷地境界との間に隙間を設け、フッキソウを植えました。

 

狭小地では、立派なアプローチは作れませんが、ちょっとしたスペースを見つけ、作り、品良く仕立てることによって、ちょっとしたスペースが却って、
より心が豊かになるように思います。

「住まいの中に光庭」室内に光・風・緑を……

住まいの中に光庭_十文字比較的大きな住宅では、1階の中程が昼間でも暗く風通しが悪くなりがちです。
伝統的な日本の民家を訪れた事のある方は奥に行くにしたがって、薄暗くひんやりとした感じを体験された事と思います。
一般的に建坪が大きくなればなるほどこの様なスペースが生まれやすくなります。
その様な場合、最も有効的な解決策の一つとして住まいの中の適切な位置に光庭を取ることで快適な内部空間を確保する方法があります。

 

写真にある住宅は1階だけで45坪有り、厨房が真ん中近くで、換気・採光を取ることが難しいことがありました。
そこで、厨房に隣接して南北に2間、東西に1間の光庭(4帖)を設けました。
厨房と反対側は広い玄関ホールに面し、南側は居間です。
厨房側の壁面には、縦長のジャロジー窓を2か所取り換気扇も設けることで問題をクリアーしています。
光庭にはヒメシャラの株立ちと、足元には花灌木を植え、季節によって居ながらにして花を愛でたり紅葉も楽しめます。
天気の良い日には、南の表庭に面したテラス戸を大きく開け、光庭の開き戸を解放することで実に心地よい風が室内を通り抜けます。 

 

[家づくりニュース2014年4月号掲載]

屋上庭園のつくり方

屋上庭園①木造では難しいのですが、鉄筋コンクリート造で家をつくると屋根の上に屋上庭園をつくることができます。単なる舗装ではなく、土を入れて植栽をする屋上のことです。昨今は環境問題や省エネを家づくりの際に大切にする方が多いようです。そのための素材や機器選びも大切ですが、私はこの屋上庭園もよく勧めています。

屋上に土と植物があると、暑い日射による熱が室内に達するのを和らげ(断熱)、緑の蒸散作用は周辺の気温を下げます(微気候の調節)。そして何よりも自然を身近に感じられることは、毎日の暮らしに気づきや楽しみといった彩りを添えてくれます。春の新緑、夏の夕暮れ、秋の紅葉、冬の雪景色。そして屋上は陽当たりが良く湿気も少ないですから、野菜の成育にも最適です。(もちろん、鳥害や水やり不足には注意!)環境にも良し、見ても良し、食べても良しなのです。

屋上庭園で植物を育てるには保水と排水、そして防水の信頼性が大切ですので、メーカーで実績のある部材を使います。そしてその設計で大切なのは、気軽に行けるようにすること。ふと思い立った時にハーブを採りに行ったり、夕焼けを見ながらビールを飲んだり、ちょっとしたことが気兼ねなくできるように動線を計画します。なんだか食べることばかり書いていますが、このようなさりげないことが暮らしの豊かさにつながると思います。

そして、同じ面積で地上に庭をつくる(=その広さの土地を購入する)よりも屋上庭園のコストは断然安いのです!

屋上庭園②

[家づくりニュース2013年4月号_掲載]