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季節の彩りの中にある大好きな家で

「家は道具です。」
はっきりと言い切ってもらえたことが、我が家の家づくりの原点です。

田中ナオミさんに初めてお会いしたのは、家づくりの会の事務所でした。とある雑誌で田中さんのお仕事を目にしたのがきっかけで、どうしてもご本人と直接お話してみたい。そろそろ家を建てようか。特別なビジョンもなく、まだ家づくりの黎明期でした。

田中さんのキラキラした瞳に促され、我が家の住宅事情や家族構成を心地よく話すうちに、「この人とだったら納得のいく家づくりができる。」確信しました。すると、にこやかだった田中さんの顔が急に真顔に。「最初に言っておきます。私に決めていただくならば、意思表示はイエスかノーで。」ときっぱり。家づくりは決して簡単ではない航海。双方ともに覚悟が必要なのでした。

後日、家族と一緒に田中さんの自宅兼アトリエを訪れました。まずは居住スペースの部屋を一つずつ巡り、生活の展開図を見せていただいた上で、その後田中さんの家づくりに対する考え方をじっくりと伺いました。

「空間が広いか狭いかは関係ない。その場所がちゃんと機能すればいいのです。家は道具です。」

今日も我が家の一番大きな道具の中を行ったり来たり、私は元気に家事に勤しみます。春には色とりどりの花が庭を埋め尽くし、夏には縁側に座ってスイカの種を飛ばし、秋には干し柿のカーテンが長い影を作り、冬には白菜や大根の漬物づくり。季節とともにある一年。誕生日やクリスマスのように「また来年!」と潔く去っていく日々がたまらなく愛おしいです。

あえて困ったことを挙げるならば。大好きな家にばかりいると、主婦の目線でトイレ、洗面、風呂などの水回りの汚れが無性に気になってしまって。主婦共通の悩みでしょうか。それなのに、しばし家を空けると、どうしようもなく家が恋しくなってしまうのです。ちょっとした欠点には目をつぶってあげなくちゃ。人と家。よく似ています。