建築家【 十文字 豊 】に関する全ての記事:
■ 1月13日-31日|家づくりギャラリー @ 市ヶ谷
新年、1月13日〜1月31日は、家づくりの会の建築家が勢揃いで展示を行います。
この2年間、コロナ禍で悩まされた時間をどのように過ごし、どんな建築を作り、また作ろうとしているのか?
各自、自由に写真や図面を用意しましたので、お気軽にお立ち寄りください。
1月13日[木] 石黒 隆康/BUILTLOGIC(ビルトロジック)
1月14日[金] 丹羽 修/NLデザイン設計室
1月15日[土] 庄司 寛/庄司寛建築設計事務所
1月16日[日] 松澤 静男/マツザワ設計
1月17日[月] 田代 敦久/田代計画設計工房
1月18日[火] 高野 保光/遊空間設計室
1月19日[水] 休館日
1月20日[木] 田中 ナオミ/田中ナオミ アトリエ
1月21日[金] 村田 淳/村田淳建築研究室
1月22日[土] 山本 成一郎/山本成一郎設計室
1月23日[日] 白﨑 泰弘/シーズ・アーキスタディオ
1月24日[月] 藤田 辰男/藤田辰男設計工房
1月25日[火] 松原 正明/木々設計室
1月26日[水] 休館日
1月27日[木] 萱沼 宏記/プラスデザイン1級建築士事務所
1月28日[金] 島村 香子/島村香子建築設計室
1月29日[土] 荒木 毅/荒木毅建築事務所
1月30日[日] 赤沼 修/赤沼修設計事務所
1月31日[月] 諸角 敬/studio A(アー)
■ 開 催 日 : 2022年1月13日(木) 〜 31日(日) 13:00-18:00 (水曜日休館)
入場無料
■ 会 場 : 家づくりギャラリー
東京都千代田区三番町20-2 三番町パークライフ104号
>>アクセスマップ
■ 主 催 : NPO法人家づくりの会
■ 問合せ・申込先 : 家づくり会・事務局
- 2022.01.06
- 展示会
- 建築家:丹羽 修, 久保木 保弘, 伊澤 淳子, 倉島 和弥, 十文字 豊, 半田 雅俊, 古川 泰司, 坂東 順子, 太田 陽貴, 安井 正, 小川 任信, 小谷野 栄次, 小野 育代, 山下 和希, 山本 成一郎, 島村 香子, 川口 通正, 工藤 夕佳, 庄司 寛, 後藤 孝, 徳井 正樹, 杉浦 充, 村田 淳, 松原 正明, 松本 直子, 松澤 静男, 根來 宏典, 森 博, 泉 幸甫, 清水 加陽子, 濱田 昭夫, 田中 ナオミ, 田代 敦久, 白崎 泰弘, 石黒 隆康, 福田 隆一, 荒木 毅, 菊池 邦子, 萱沼 宏記, 落合 雄二, 藤原 昭夫, 藤田 辰男, 赤沼 修, 高野 保光
■ 我が家のお宝「ライトの椅子」

自宅にある「ライトの椅子」
お宝は45年も前から、私の家にあるライトの椅子です。
数か月前たまたまTVの人気番組、なんでも鑑定団を見ていたところ、同じライトの椅子が鑑定団に出品され、なんと出た金額が200万円、応募者もびっくり仰天!!
見ていた私も今なら歴史的価値が有るので、内心50万ぐらいはするかなと思っていたのですが、その4倍の200万円にはしびれました。
これを期に、椅子は我が家のお宝となり大切に保存しています。
そもそもどうして我が家にこの椅子が存在するのかと言いますと、大分昔の話になりますが、私が設計事務所に入って2年目の45年も前のことです。
当時ライト設計の帝国ホテルが老朽化と営業効率を高めるための高層化のため、建て替え計画が進行中で、解体工事がまさに始まろうとしているときでした。
ファサードの一部を明治村に移築する以外はすべて取り壊し、備品等も破棄するとのことで動き出していた時期です。

旧帝国ホテル「孔雀の間」
この様な時に、事務所の先輩からうちのボスが、破棄されてしまうライトの椅子を手に入れるので欲しいかとの問いかけが有り、値段は1脚2万円とのことでした。
当時、2万円といえば大金で、私がもらっていた給料と同額です。しかしあまり躊躇せずに欲しいと返事していました。
他の同期の二人は即座に断っていたのを覚えています。
数週間後、木枠でしっかりと梱包されたライトの椅子が10数脚事務所に届けられました。
先輩に呼ばれて椅子が置かれた打合せ室に行くと、自分の名前を紙に書いて好きな椅子に貼るように、お金は後日でと私からお願いしました。
すると先輩は、君はこの椅子が2万円しても欲しいと価値が解っているので、所有する資格があるとボスにも判断され、この様ないきさつにより、我が家のお宝を無償で手に入れた次第です。
[家づくりニュース2015年12月号掲載]
■ 10月31日|家づくりカフェ @ 市ヶ谷ギャラリー
家づくりカフェテーマ
「光・風・緑を上手に取り込んだ家づくり」
家づくりには住まい手の世代、家族構成、ライフスタイル、予算、等と、又、その土地には歴史、風土、地質といったものと、形状、大きさ、周辺環境、道路付け、さらには、法規制等と様々な条件があります。
したがって、このミニ講座では、上記のいろいろな諸条件下(ほとんどが厳しいケースです。)で、いかにして試行錯誤の結果生まれたそれぞれの住まいが、明るく居心地よく、さわやかな風の抜ける気持ちの良い住まいで、緑を上手に取り込み、厳しい条件を出来るかぎりクリヤーしたことで、快適な住まいが実現しているかを、10軒のケースを写真と図面を通してわかりやすく解説いたします。
土曜の午後、ゆったりとお茶を飲みながら今後の家つくりをご一緒に考えてみませんか。
土曜日の午後のひととき美味しいスィーツでお茶をしながら、
建築家と家づくりについて深く楽しく学んでみませんか?
いざ家を建てようと思い立っても、巷にはいろんな情報が溢れ何が良いのか迷ってしまいませんか。
カフェでは、建築家が毎回テーマを設け、家づくりについて建て主さんと雑談形式で考えていきます。
建築家と気軽に話せる場であり、おなじ目的を持った建て主さんどうしの情報交換の場でもあります。
“家づくりカフェ”はこれから家を建てようとする人のための少人数制連続プログラムです。
1回だけでも、いつからでも参加OKです。是非ご参加ください。
■講 師 : null /アルコーブ・U
■日 時 : 2015年10月31日(土) 14:00~16:00
■会 場 : 家づくりの会ギャラリー
東京都千代田区三番町20-2 三番町パークライフ104号
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■参加費 : 500円/お一人様(お茶とお菓子付き)
■定 員 : 10名様(要予約・先着順)
■申込先 : NPO法人家づくりの会
■ 早春の桂離宮
40年ぶりに早春の桂離宮を訪れました。
「永遠なるもの」と世界的に宣伝されてすでに久しい。
昭和初期、ブルーノ・タウトが訪れ(桂では眼が思惟する)と、その造形的特質を指摘し、ひいては、桂が持つ無装飾性・簡潔性・完璧なプロポーション・内部空間と外部空間の密接なつながりといった建築的な性格を看取し、日本のみならず世界の至高の文化遺産となっています。
今度訪ねるにあたり考えたことは、この桂の地が古来より月の名所として知られ、かつて藤原道長の別荘があった場所であり、「源氏物語」の桂殿の舞台となったところであること。
又、桂を創建した八条宮智仁親王の数奇な運命(智仁親王の兄が御陽成天皇になると豊臣秀吉は智仁親王を猶子として迎えるが、淀君に鶴松が誕生すると養子縁組を破棄される。その後徳川の天下となり、兄御陽成天皇が弟である智仁親王を後継者として皇位を譲ろうとした際に、家康とその側近達によって阻まれる。)
この様な宿命ともいえる過去の中、智仁親王は持って生まれた文芸・建築・造園等に秀でた才能と趣味の良さを桂造営に傾注し、源氏物語の書かれた平安朝の世界を心に描きつつ、子である智忠と二代にわたり時には、小堀遠州の助言・指導も受けながら段階的に理想郷を造り上げていったのでしょう。
再訪して強く感じたことは、桂の造形が、日本の文化的伝統において、タウトの言う無装飾性で簡潔性が極めて著しいといった感じはなく、むしろ様式の振幅の振れ方が古典様式をふまえて前衛的と感じられ、実は装飾思考が極めて高く、知性に裏打ちされた八条宮親子の冷静に本質を見通したうえでの、豊な感覚に富む最良の趣味の良さを強く感じ名状しがたい幸せ感に包まれました。
[家づくりニュース2015年3月号掲載]
■ 「住まいの中に光庭」室内に光・風・緑を……
比較的大きな住宅では、1階の中程が昼間でも暗く風通しが悪くなりがちです。
伝統的な日本の民家を訪れた事のある方は奥に行くにしたがって、薄暗くひんやりとした感じを体験された事と思います。
一般的に建坪が大きくなればなるほどこの様なスペースが生まれやすくなります。
その様な場合、最も有効的な解決策の一つとして住まいの中の適切な位置に光庭を取ることで快適な内部空間を確保する方法があります。
写真にある住宅は1階だけで45坪有り、厨房が真ん中近くで、換気・採光を取ることが難しいことがありました。
そこで、厨房に隣接して南北に2間、東西に1間の光庭(4帖)を設けました。
厨房と反対側は広い玄関ホールに面し、南側は居間です。
厨房側の壁面には、縦長のジャロジー窓を2か所取り換気扇も設けることで問題をクリアーしています。
光庭にはヒメシャラの株立ちと、足元には花灌木を植え、季節によって居ながらにして花を愛でたり紅葉も楽しめます。
天気の良い日には、南の表庭に面したテラス戸を大きく開け、光庭の開き戸を解放することで実に心地よい風が室内を通り抜けます。
[家づくりニュース2014年4月号掲載]
■ 20年後のリニューアルで外観が一新したアトリエ棟
30数年前イラストレーター夫妻のために設計した、RC造3階建て住宅兼アトリエの建つ東側隣接地が売りに出たとのことで、夫妻は迷うことなく手に入れました。
以前から手狭になっていたアトリエを此の期に、新たに別棟としてアトリエ棟を建て、既存建物の3階テラスと新しいアトリエ棟を繋げることを前提とした設計を私に依頼してきました。
それは今から数えて20年前のことです。

(写真―1)内外打ち放しコンクリートの外壁で、グレーのスティールサッシュの竣工時のアトリエ棟。
デザインに大変こだわりのある夫妻のために、アトリエ棟は既存建物同様シンプルな立方体のボックスで、二人の好きな指定色の真赤なエントランス扉がポイントで、それ以外は内外ともに打ち放しコンクリート仕上げです。
開口部全てはオーダーしたスティールサッシュで面内に納めることで、外観に陰影が生まれることを意図し、色はグレーの焼付塗装です。(写真―1)
それから20年、竣工当初の写真のようにシャープで美しかった打ち放しコンクリートも時の流れで輝きを失い、リニューアルにあたり夫妻の発案で、外壁は既存住宅棟と同じ真白に吹き替え、スティールサッシュは玄関扉の真赤にすることになりました。
若干の不安があったものの、足場が外れてリニューアルした純白のアトリエ棟の前に立って微笑んでいる夫妻を見て、私もほっとした次第です。(写真―2)

(写真―2)リニューアルをして純白の外壁に真赤に縁どられた開口部、後方に3階の既存建物との連絡部分が見えます。
[家づくりニュース2013年10月号掲載]
■ 終の住処
リビング前面のワイドな開口よりテラス越しに満開の桜を臨む。
地下2階・地上2階建ての広さ25坪の2階が70歳を迎えたご夫婦の終の住処です。
中央に設けた光の庭を囲むようにそれぞれのスペースを配置し、光と風が室内全体に行き渡り明るく快適な住環境がそこに生まれています。
南バルコニーに面した20帖大のL.D.K.には、シンクとレンジを組み込んだオープンカウンターのキッチンを東寄りに配置し、西に連続する一段上がった和室にはご夫妻の希望の掘り炬燵を設置しました。
普段オープンの和室は、必要に応じて壁より戸襖を引き出し間仕切ることで客間ともなります。又、2面の開口部には障子が組み込まれ、閉めることで落ち着いた和室となります。
春にはリビング前面のワイドな開口よりテラス越しに桜の古木を臨み、居ながらにして花見を満喫することができます。
リビングと寝室に挟まれた4帖大の光の庭には夫妻の好きな鉢植えを置き、低めの開口より湯船に浸かりながら眺められ、同時に十分な採光と通風を浴室に与えてくれます。
寝室は将来を見据え、光庭まで一体として使用することで広さと明るさを享受し、水廻り・トイレには直接出入りできることでとても重宝がられています。トイレにはもう一つ出入口を設けています。
来客時には寝室の壁に引き込まれた建具を閉めることで、光庭寄りのスペースがサニタリーへの通路となります。
このように限られたスペースの中に光庭を取り、引き込み建具を適所に組み込むことで機能的で豊な空間が実現しています。
実はこの家の地下1階に夫妻の趣味空間があり、1階はお姉さんの住居です。そこで階段ホールにホームエレベーターを設置しています。
地下1階:27.62 坪 〈家族構成〉
1階:25.24 坪 大人 2人
2階:25.24 坪
延べ :78.42 坪
■ コートを挟んだ2世帯の家
敷地は南西2方向道路の角地で南北に細長く、北に行くほど裾広がりに開いた形状の約70坪の広さです。南に親世帯、北に子世帯それぞれの住居を計画し、コートを挟んで互いに過干渉にならず、即かず離れず過ごすことのできる分離型2世帯住宅です。
計画は中央にコート、その前後に親世帯と子世帯の住居スペースを取り、西道路側を低く抑え、両方の玄関・水廻り等を連続させそれぞれの住居を繋ぎます。コートは外部に閉じ、内側に開きそれぞれの住居に光と風をもたらせます。さらに、そこにドライエリアを取り、親世帯の地下室に採光と通風をもたらせます。
一方道路側は外部の視線・防犯に配慮し、外壁・塀・片引き戸等でクロスし、出来るだけ低く抑えることで境界一杯の建物が道行く人に圧迫感を与えないようにするとともに、2階部分の親世帯・子世帯の屋根の連なりがよりシンプルに美しく見えることを意図しました。
西側道路より外観を見る。
親世帯の広めの玄関は、コートより大きな嵌め殺し窓を通して十分な明るさが確保され、2階への階段と地階への階段の昇り降りを安全かつ明るく足元を照らします。
バリアフリーに配慮した玄関は、段差解消のための式台、その脇に手摺を兼ねた細めの丸柱、下駄箱の天板は握りやすい形状で高齢者に配慮しました。
親世帯玄関ホール、バリアフリーに配慮し段差解消のための式台、その脇に手摺を兼ねた細めの丸柱、下駄箱の天板は握りやすい形状。
親世帯の生活の場は1階で全て完結するように、南にリビング・ダイニング、コートに面して寝室・水廻り等を機能的に使いやすく配置しました。
子世帯の住居は、コートをかいしても冬季の陽射しが1階フロアーまで差し込みません。そこでコートに面したリビング・ダイニングの南前面を吹き抜けとし、上部に大開口を取ることで十分な日照を確保しています。
コートに向ってワイドに開かれたそれぞれの浴室からは、前面上部より木製格子が取り付けられ、湯船に浸かりながら庭の足元を観賞します。山ボウシ・寒椿・満作・南天・サツキ等、さらにその傍らの蹲居より流水による水琴窟が庭師の手で仕込まれました。
中庭コートより浴室側を見る。
まさにこのコートは、2世帯住居の中心に位置しこの住宅が成立するための最重要な場所といえます。