家づくりレポート

日野の家

撮影:篠澤 裕

日野の家-2階_荒木

2階吹抜けと奥様の活動コーナー。
智頭杉現しの柱に水平の棚板が取り付き、上り梁がリズミカルに架かる簡潔な内部空間となっている。


ご夫婦と母親の三人と二匹の猫のための住宅です。
敷地購入後、私どもに設計依頼をして下さいました。
細長い敷地で奥に低い崖があるので、長い間売れ残っていた土地だったようです。
敷地を初めて拝見した際にはとても恵まれている印象を受けました。
敷地内に李の木が生え、さらにその奥の敷地外の崖地には、様々の大きな樹木が生い茂っていたからです。

 

建物は木造2階建てにて計画しました。
コンクリートの縁石と板塀のアプローチを辿り、道路から少し奥まったところにある玄関引戸を開けると、土間とひとつながりの「椅子座」の板間の空間が広がり、その奥の「床座」の智頭杉の小上がりの板間の先に、庭の豊かな緑が目に飛び込んで来ます。

日野の家-階段_荒木

椅子座の板間と床座の智頭杉貼りの小上がりの先に庭の緑が見える1階。軽快な螺旋階段が上下階をつないでいる。

椅子座の板間には、ダイニングとキッチンがあり、道路側の平屋の居室(お母様の部屋)とも引戸で繋がっています。
中央付近にあるシンプルな構造の螺旋階段を上ると、上下の空間をつなぎ下階に自然光を届ける大きな吹抜けの周囲に、ご夫婦の寝室や

 

それぞれの活動空間が、あいまいに仕切られて配置されています。
2階のどの部屋からも南の庭とその先の樹木の緑が目に入ります。
それぞれに沢山の本をお持ちのご家族のために、1階全体と吹抜けでつながる2階の西側の壁面にとどまつのパネルにて固定の本棚を作りました。

 

この建物は、内部に智頭杉の柱・梁を「現し」にした力強い空間を持っていますが、この厚い板で作られた本棚も、柱や梁と一体となって、簡潔な内部空間を形成しています。

 

建築DATA

1階床面積 : 52.58㎡(15.91坪)            〈家族構成〉
2階床面積 : 37.75㎡(11.42坪)            夫婦+母親+猫2匹
延べ床面積 : 90.33㎡(27.32坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年6月号掲載]

方円汎居(ほうえんはんきょ)

撮影:齋部 功

方円汎居-室内_藤原

居間からダイニングと中庭をみる


方円汎居-外観_藤原

カーポートから玄関への階段

この家の完成は実は三年ほど前です。
昨年ようやく、一階が当初思い描いていた通りになり、順調のようなので、あえて今月の家に出すことにしました。

 

私たち住宅設計者の役割は、依頼者の個別の条件に合わせて、その方固有の住宅を考えていくことです。
しかしこの家は逆のアプローチを経ています。
中高層住宅がスプロール的に開発されて行く環境の敷地に対して、生活を守って行くために、どんな居住者にも当てはまる戸建ての住宅はどうあり得るのか、という点から考えてみました。
道路より低い敷地故に、湿気と集中豪雨の際の被害を避けるべく、居住スペースは一層持ち上げ、その分の費用増はそこで収益をあげられるように、最初は貸ロッカー、ゆくゆくはカフェに、と計画しました。
また周囲の中高層住宅からのプライバシイー確保のため、中庭を設け、自分の家の屋根越しの陽射しが、終日入る寸法の大きさで、形状も丸くしました。
他の、間取りや仕様、ディティール等も、個別性より、住まいとして必要なものを、原則誰にも無理なく受け入れられる在り様を意識し、細部をあまり決め込まず計画しました。

 

本来普通の形態のはずが、結果として、周囲に対し、極めて固有な存在になってしまいました。
居住スペースの下の一階は、最初貸しロッカールームとしていましたが、今はその一部を、当初の予定通り、自らが運営する、手作りパンも販売するカフェにされています。
夜は家族の生活を優先し、閉めているのに、一、二週間以上も前に予約が必要な程、盛況のようです。

 

建築DATA

1階床面積 : 50.26坪            〈家族構成〉
2階床面積 : 47.37坪            夫婦+子供2人
延べ床面積 : 97.63坪     
構   造 : 二階建て(1階鉄筋コンクリート造/2階木造)

[家づくりニュース2014年6月号掲載]

OPERA

書斎からの眺望


書斎をリビングに突出させることで展望感を高め、住まいの象徴となっている。

斜面の中腹に位置する旗竿形状型敷地に計画した2世帯住宅です。
ウィークポイントの多い傾斜地ですが、つくり方によっては良好な眺望を享受することができます。
趣味でオペラを歌唱される夫婦にとってウェイトの高かった要望は、
「防音性能の高い地下室を設けたい」、
「北東側の眺望を生かしたい」
というものでした。

 

既存の細長いアプローチには大きな高低差があり、隣地も高かったり低かったりといくつもの高低差がありました。
どこの相談先でも、
「建て替えには擁壁のやり替えが必至で多額な費用がかかってしまい、コストを要する地下室はもってのほか」
という回答だったそうです。
それ以前に地階の工事に必要な重機車両が入れません。
単なる土留め壁のやり直しに多額が投じられてしまうことは非常にもったいないと感じました。
そこでそれらを少しでも行わずに済む半地下の防音室に擁壁の役も担わす提案をし、周囲の高低差測量を行うことから計画がはじまりました。

アプローチ夜景




 

地下室の設定レベルからはスキップフロア形式が効率良さそうです。
しかし最上階の一角にある3帖の書斎スペースは眺望が臨める東側に位置しません。
仕事を自宅の書斎にもち込まれることが多いと伺っており、ここも景観を臨める環境にしたいところです。
そして書斎の東側にあるリビング越しの外壁もガラス開口にすることで、こぢんまりと落ち着きを感じつつも開放的で気持ちよいという、相反する要素が同在する不思議な展望書斎が誕生しました。
                            

 

新しい建物は擁壁を兼ねたオペラルームの半地下レベルで入ることが可能です。
長い階段アプローチは緩やかなスロープに変わり駐車台数も増えました。
更には、旧家屋の解体工事や、基礎及び地下室躯体工事に必要な重機についても、想定よりも大きい(=作業性の高い)ものが入れることとなり、工事費用の節約に貢献しています。

 

旧家屋のアプローチ

 

建築DATA

敷地面積 : 187.15㎡ (56.61坪)           〈家族構成〉
建築面積 : 71.21㎡ (21.54坪)            両親+夫婦+子供1人
構  造 : 木造軸組工法一部鉄筋コンクリート造

[家づくりニュース2014年5月号掲載]

八王子・和の中心の家

撮影:石井 雅義

大きな広間は縁側や出入り口とつながって、あけっぴろげ。


出入り口はL型に開放できて大勢の靴や荷物が並ぶ。

一緒に住むのではなくて、敷地の一部に「建てたらどうだい?」と親から、愛のある声をかけられる子世帯の住宅が増えました。
スープの冷めない距離というやつでしょうか。
八王子に建つこの住宅はそんな要素も含みながら、さらに経営する数店舗のコンビニエンスストアの従業員も集まって来ます。
従業員たちで草野球チームをつくっていて、それが絶妙なチームワークを成り立たせていて、スタッフみんなが積極的に頑張るすばらしい店舗経営の源になっています。
ですから、この住宅はいろんな方面の「和の中心」という役割を担っているのでした。
大きな声じゃ言えないけれど、鍵もかけない(笑)。
大きく開放していて、近所の人も寄っていくし、野菜も置いていく。
野球から泥だらけで帰ってきたチームのメンバーがシャワーを浴びて、その後子供も含めた大勢で宴会がはじまる。
台所は誰でも入って、料理が得意な人がつくる。
手が空いた人が片付ける。
従業員たちは家族のようなものとして、爽やかに「体育会系」の関係性の中で日常生活が営まれています。
大勢を許容しながら家族4人の暮らしもあって、風呂敷みたいに大きくても小さくても用が足りることが望まれました。
家具はなるべく置かずに、大勢にも対応できるように大きな座卓だけ創りました。
床はゴロンとなっても気持ちのいい柔らかく厚い杉板にして、庭とつづく半屋外の縁側とつながっています。
縁側は野球チームの泥んこの荷物を置く役割もあり、汚れたままシャワーに直行できます。
広くてL型の出入り口は、いっぺんに多人数の出入りが可能です。
夏は全開放、冬は障子よりも丈夫なダンボール状の鏡板が入った建具を閉めます。
といった訳で楽しい住宅ができたのですが、問題がありまして…
それは、なかなか人が帰らないこと! 
時間が来たら「蛍の光」が流れるような設計しないといけないかなあ。

 

建築DATA

1階床面積 : 76.76㎡(23.21坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 44.07㎡(13.33坪)           夫婦+少年×2+高齢ウサギ×1
延べ床面積 : 184.00㎡(55.00坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年5月号掲載]

桜川の家

2階のLDK。東側の通りに向かって大きな開口を設けているのが特徴。


公園の近くに2世帯の住宅をつくりました。
依頼を受けたのは息子さんからで、大学で建築を専攻していたといいます。

 

その彼から最初に言われたことが
「完全別居の2世帯です。
 玄関を行き来するぐらいはいいのですが、互いのプライバシーを大事にした作り方にしてくださいね。」
建築家という人たちは、建て主さんが望んでいないことでも「こうしたらどうですか?」とサプライズ提案を出すことがあるのを知っているからなのでしょう。

 

設計工期の短い中で時間を無駄にしたくないという思いから、初対面の私に対して、念押しされたのだと思います。

工事の進行中、現場をしょっちゅう見に来ていたお父様。
「1階のうちのほう暗いんじゃないかなぁ。
 息子たちのほうって2階で明るいよね。
 孫の世話は上でやることにするよ。
 息子のところは24時間空調だし、息子たちの留守番でちょうどいいからさ。」

 

法規上の採光計算はやっているので、そう滅多な事はないのですが、周りの状況によっては思った以上に暗く感じることもあります。
仮囲いシートがはずれる前とはいえ、私も内心、どきどきでした。

 

1階のLDK。手前の掘炬燵のあるところが仏間兼居間。
奥にキッチンとダイニング。

工事の終盤に入って仮設シートがはずれたとき、1階にはしっかり光が入り込み、お父さんの心配は払しょくされました。
もちろん、2階はもっと明るい状態。

 

つい先日伺ったら、一家団欒の食事は、お母さんとお嫁さんが交互に作り、1階で食べたり2階で食べたりしているのだそうです。
互いが本当によく行き来しています。

 

それだけ仲が良いのだったら、お互いの領域をもう少し絡ませても良かったかも知れませんね。

 

建築DATA

1階床面積 : 97.25㎡(29.42坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 101.65㎡(30.75坪)           両親+夫婦+子供2人
延べ床面積 : 198.90㎡(60.17坪)     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年5月号掲載]

若林の家

若林の家_室内01

ロフトからリビングを見下ろす。窓の向こうには、ルーバー手すりで囲われたバルコニーと花壇。


密集地に建つ3世代6人家族の住まい。
一般的に、家族の人数に応じて部屋数も増え、各部屋の広さも限られてきます。
特に密集地で斜線制限が厳しい場合は顕著です。
そこで、なにか特別な建築表現や構成を追い求めるのではなく、これまで大切にしてきた通りに、設えや納まりと言った、生活の背景を丁寧に設計することを心がけました。
リビングは採光と通風に優れた2階にあります。
2階リビングの利点は、高い天井をつくれること。
ここでは、切妻屋根のかたちに合わせた船底天井としました。高いところで3.6mあり、ロフトともつながっています。
このように天井を高くすると、実際の面積以上の広がりを感じられるようになります。
リビングの窓先には、背の高いルーバー手すりで囲まれた少し広めのバルコニー。
テーブルと椅子を置ける程度の広さです。
また、屋上緑化システムを使ってつくられた花壇もあります。
好みの草花を植え、ルーバー手すりにはつる性植物を絡ませて緑のスクリーンとなる予定です。

 

家の各所にほどこした設えの一部もご紹介します。
玄関まわりでは、玄関扉やポスト口などを木で一体につくりました。
まとまりのあるデザインとすることで、木や漆喰などの素材をより純粋に楽しむことができます。
内部には同じく木でつくり付けたベンチがあって、差し入れられた郵便はその上に出てくる仕組みになっています。
寝室として使う和室には、障子とは別にガラリ戸を設けました。
夏の夜に窓を開けて寝るための工夫です。
やわらかい光が室内を満たし、揉紙を貼った収納、漆喰壁との相性も良さそうです。

若林の家_玄関

玄関内のベンチ。波板ガラスの下がポスト口になっています。

若林の家_和室

モダンな雰囲気の和室。ガラリ戸は壁の中に引き込むことができます。

 

建築DATA

1階床面積 : 13.78坪           〈家族構成〉
2階床面積 : 18.22坪            夫婦+子供3人+母
ロフト面積 : 6.29坪
延べ床面積 : 38.29坪     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年4月号掲載]

キッチン中心の住まい

キッチン中心の住まい_室内01

奥様お気に入りのキッチンスタイル。素材は珪藻土塗りで仕上げました。
ダイニングテーブル上部照明は大好きなマリメッコで!


キッチン中心の住まい_室内02

リビングルームから2階子供室に繋がる吹き抜け

この住まいは東京から450キロメートル離れた和歌山県岩出市に建てられました。
希望はキッチンを中心に生活出来る空間構成でした。

 

よく見かけるLDKですが、キッッチンの右手にはダイニングスペース。
反対の左側にはリビングスペースを配置、横並びにする事で動線計画が単純化され家事動線がとても便利と評判。
またスタイルはアイランド型キッチンスタイルなのですが(サイズ90㎝×270㎝)手元をあまり見せたくないために水栓金具の高さを基準に三方袖壁を設けました。
写真では見えていないけれど、天板カウンター幅サイズも3種類に分類し、機能面も重視しました。
ここまではよく有るのですが意外と今まで気がつかなかった奥行き90㎝の利用価値。
奥様曰く、キッチンの前に炊飯器・コーヒーメーカー・ミキサーまで置けて作業性はすこぶる快適とのこと。
そして壁面内部に取り付けた温水機等のリモコン装置の場所もお気に入り。
「まるで我が家の司令官に成った気分です。」と話してくれました。
家のスタイルは木組みを少しだけ表し、大きな空間を介して2階プレイルームへと繋がる。
この場所は音楽好きの家族みんなが集まり、毎日夕飯のあと演奏会が始まるのです。

 

建築DATA

1階床面積 : 87.49㎡           〈家族構成〉
2階床面積 : 54.62㎡            夫婦+子供2人+祖母
延べ床面積 : 142.11㎡     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年4月号掲載]

京都・大原の家

京都・大原の家-外観_安井

外観は古い木造校舎のイメージ。


京都・大原の家-室内①_安井

リビングダイニングには一本の丸太の梁が。大工さんの手仕事が生きています。

京都大原といえば三千院が有名ですが、この家は三千院のお膝元、同じ町内に建つ家です。
大原は、小高い山に囲まれ、田畑が広がり、落ち着きのある里山の風景が広がっています。
周囲にある建物は、戦前から建っていた古い建物も多く、今回新築する家がそんな心地よい風景のなかに違和感なく溶け込むようにしたいと思いました。

 

屋根には瓦をのせ、外壁は杉板の下見板貼りで、自然塗料で濃茶に着色しました。
「古い木造校舎の小学校のようなイメージ」という建て主さんの言葉もヒントになりました。

 

玄関に入ると、正面には階段が、右には洗面カウンターと向かいの山の見える大きな窓、左には天井の高いLDKへの入り口。
ここは「多目的玄関ホール」とでもいいましょうか、普通なら90センチくらいの廊下になるところを倍の180センチにしてゆとりをもたせ、歯みがきしたり、本を読んだり、子供が走り回って遊んだり、いろいろな暮らしのシーンが想起されます。

 

いろいろな方向に窓があり、昼の木漏れ日、夕日のオレンジ色、風で揺れる木々のざわめきなど、私たちが自然とともにあることを日々感じさせてくれることでしょう。

 

京都・大原の家-室内③_安井

多目的、無目的?な玄関ホール、読書、歯みがき、何をする?

リビングダイニングには、もとの曲がりを生かした太い丸太の梁が一本。
2階の壁や屋根をがっしりと支えてくれています。この部分は大工さんが現場で手加工して組み込んでいます。

 

自動化された生産ラインで刻まれるのがあたりまえになった現代の木造住宅ですが、人の手によって一つひとつのものが生み出されていく感覚を暮らしの場のなかに残して行きたいと私は思っています。

 

京都・大原の家-室内②_安井

大原の自然と、里山の風景を暮らしに取り込む窓。

建築DATA

1階床面積 : 18坪           〈家族構成〉
2階床面積 : 16坪            夫婦+子供一人
延べ床面積 : 34坪     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年3月号掲載]

記憶を受継ぐ家

記憶を受継ぐ家-外観_吉原

昔の面影を残しつつ、生まれ変わった外観。


以前、ここにも書いた住まいが完成しました。
この住まいは、築40年近くとなる木造2階建てのリノベーションです。
昭和56年以前の建物なので、現在の耐震基準を満たしておらず耐震性に不安があることと、親世帯だけで住んでいた住まいを、子世帯と共に住む2世帯住宅につくり直せないかと計画が始まりました。

 

愛着ある住み慣れた住まい。
親の代から住み続けられ、数々の思いでが刻まれた家族の居場所。
新築かリノベーションかと随分迷われましたが、後世代に家の記憶を残し、2世帯それぞれが程よい距離感が保てるよう全体的にプランを考え直し、構造や断熱、設備なども、もとの性能以上にし建物を再生させることとなりました。

 

古いモノを今の生活に取り込むリノベーションは、新築とは違った様々な発見があります。
古いモノの中に見つける新しい価値、キズのついた柱や梁、年季の入った障子や欄間は、家族の歴史を表し、空間に奥行を与えてくれます。
何十年も使い込まれたモノだからこそ味と深みが生まれ、住まいにくつろぎや落ち着きをもたらします。
古いものと新しい技術が程よく織り交ざった住まい。
以前の家の記憶を残しつつ、次の世代に受継がれる住まいとなりました。

 

記憶を受継ぐ家-室内①_吉原

井が落とされ開放的になった室内。
子供部屋のロフトに繋がる小窓。

記憶を受継ぐ家-室内②_吉原

書院格子や障子、古材などを再利用、無垢板や漆喰など古い材料と馴染む室内。

建築DATA

1階床面積 : 33.03㎡ ( 40.24坪)           〈家族構成〉
2階床面積 : 72.71㎡ ( 21.99坪)            両親+夫婦+子供2人
延べ床面積 : 205.74㎡ ( 62.23坪)     
構   造 : 木造2階建て+ロフト

[家づくりニュース2014年3月号掲載]

木の家、木の空間

木の家、木の空間_室内①

仲間を招くのが大好きな家族の為に用意された全長4.3m強の食卓を南方向に見る。右側、筋かいをアレンジした木立状架構は各階からランドマークのように視界に入る。

撮影:安川 千秋

 

40代前半のご夫妻と設計当時小学生だった3人のお子さん達家族の住まいです。
このご家族に出会い、夫妻が日々体当たりで子供達に対している情熱を強く印象付けられました。
この家族にどう「建築」で応えられるか!
そんな思いがこの住宅設計の根底にあったように思います。

 

①南面傾斜地からの夏の卓越風が住宅の隅々を吹き抜けていくこと。
居間・食堂を2階東寄りに、南北縦長に配置し、全長4.3mの食卓や総延長9.1mの調理台+デスクカウンターも、風の流れに沿ってスーッと一方向にレイアウトする構想が、まず浮かび上がりました。

 

②傾斜地正面やや左の横浜方向、西寄り大山・丹沢方向を含む奥深い眺望を取り込むこと。
ふり注ぐ冬の日照をしっかり捉えること。
浴室を2階南西角に位置させ、3つの子供室を1階にずらりと並べ南面させることを続いて確定。
180度のパノラマ状展望が開け、半球状の天空と接するルーフデッキも提案させて頂きました!

 

木の家、木の空間_室内②

2階浴室等の水まわり前の廊下から「小さな吹抜けを持つ階段」を通して居間・食堂方向を見る。

③そして、この住宅北寄り中央の「小さな吹抜けを持つ階段」!
個室群のある1階、居間・食堂や浴室・洗面、北側道路から続く玄関ホールのある2階、そして屋上ルーフデッキ間を、日々家族が上下し移動するこの階段周辺のそこかしこに、一寸ドラマチックな空間的仕掛けを組み込みました。

 

④飾らない、無垢でストレートな素材使いに徹し、環境負荷最少の素材である「木」の架構を力強く表現することにも努めました。

 

⑤等々。

 

書ききれないその他の試みについては、当工房HP「作品」欄を併せて参照頂ければと思います。

 

建築DATA

1階床面積 : 33.57坪           〈家族構成〉
2階床面積 : 33.82坪            夫婦+子供3人
屋 上 屋 : 1.75坪
延べ床面積 : 68.14坪     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年2月号掲載]

蔵町のいえ

蔵町のいえ_居間

居間東側に街を見下ろす出窓がある。
出窓の外観と部屋内の建具は、街並みにあわせて伝統的な意匠を取り入れている。


この住まいは、いにしえの蔵の街並みが今も残る城下町に建っています。
地の利を活かして、伝統が魅せる街のイメージを現代にも継承できるよう蔵の街並みに馴染むデザインを心がけました。

 

外壁を漆喰仕上とし、道路に面した正面外観の出窓には木組みの伝統的な意匠を取り入れて、街並みに自然と溶け込むような外観にしました。
建物を前面道路から少し後退した配置とすることで正面ポーチをつくり、街並みに開かれた共有スペースとしても使えるようにしています。

 

玄関へのアプローチは車庫脇のくぐり戸から入り、植栽のあるポーチを通って玄関へアクセスする雁行した動線をつくり、限られたスペースの中にも奥ゆかしさを感じられるようにしています。

 

1階には来客を兼ねた多目的なスペースと水廻りを配置し、2階に家族団らんのスペースを設けています。
1階からゆったりとした階段通路スペースを上がると、住まいで一番広い2階の居間・食堂スペースがあらわれます。

 

この空間は、傾斜天井に構造梁をあらわし、登り梁の両脇に照明ボックスを設けて、天井板の優しい木目と一体にしたシンプルで力強い空間になるように工夫しています。
居間の東側に位置する出窓は、その外観と同様部屋内の建具にも伝統的な意匠を取り入れています。

 

蔵町のいえ_玄関

建物正面左手に玄関への前庭通路がある。
建物は道路から後退して、突当りの1階に車庫を設けている。
正面ポーチは街並みに面した共有スペースとしている。

蔵町のいえ_室内

構造梁をあらわした登り梁の両脇に照明ボックスを設けている。

 

建築DATA

1階床面積 : 29.82坪           〈家族構成〉
2階床面積 : 26.95坪            夫婦+子供
延べ床面積 : 56.77坪     
構   造 : 木造2階建て

[家づくりニュース2014年2月号掲載]

12