【 アルコーブ・U 】の家づくり

終の住処

終の住処_十文字 豊リビング前面のワイドな開口よりテラス越しに満開の桜を臨む。

 地下2階・地上2階建ての広さ25坪の2階が70歳を迎えたご夫婦の終の住処です。
 中央に設けた光の庭を囲むようにそれぞれのスペースを配置し、光と風が室内全体に行き渡り明るく快適な住環境がそこに生まれています。
 南バルコニーに面した20帖大のL.D.K.には、シンクとレンジを組み込んだオープンカウンターのキッチンを東寄りに配置し、西に連続する一段上がった和室にはご夫妻の希望の掘り炬燵を設置しました。 
 普段オープンの和室は、必要に応じて壁より戸襖を引き出し間仕切ることで客間ともなります。又、2面の開口部には障子が組み込まれ、閉めることで落ち着いた和室となります。
 春にはリビング前面のワイドな開口よりテラス越しに桜の古木を臨み、居ながらにして花見を満喫することができます。
 リビングと寝室に挟まれた4帖大の光の庭には夫妻の好きな鉢植えを置き、低めの開口より湯船に浸かりながら眺められ、同時に十分な採光と通風を浴室に与えてくれます。
 寝室は将来を見据え、光庭まで一体として使用することで広さと明るさを享受し、水廻り・トイレには直接出入りできることでとても重宝がられています。トイレにはもう一つ出入口を設けています。
 来客時には寝室の壁に引き込まれた建具を閉めることで、光庭寄りのスペースがサニタリーへの通路となります。
 このように限られたスペースの中に光庭を取り、引き込み建具を適所に組み込むことで機能的で豊な空間が実現しています。
 実はこの家の地下1階に夫妻の趣味空間があり、1階はお姉さんの住居です。そこで階段ホールにホームエレベーターを設置しています。

終の住処_平面図_十文字 豊

地下1階:27.62 坪      〈家族構成〉
  1階:25.24 坪       大人 2人
  2階:25.24 坪
延べ  :78.42 坪

コートを挟んだ2世帯の家

 敷地は南西2方向道路の角地で南北に細長く、北に行くほど裾広がりに開いた形状の約70坪の広さです。南に親世帯、北に子世帯それぞれの住居を計画し、コートを挟んで互いに過干渉にならず、即かず離れず過ごすことのできる分離型2世帯住宅です。
 計画は中央にコート、その前後に親世帯と子世帯の住居スペースを取り、西道路側を低く抑え、両方の玄関・水廻り等を連続させそれぞれの住居を繋ぎます。コートは外部に閉じ、内側に開きそれぞれの住居に光と風をもたらせます。さらに、そこにドライエリアを取り、親世帯の地下室に採光と通風をもたらせます。
 一方道路側は外部の視線・防犯に配慮し、外壁・塀・片引き戸等でクロスし、出来るだけ低く抑えることで境界一杯の建物が道行く人に圧迫感を与えないようにするとともに、2階部分の親世帯・子世帯の屋根の連なりがよりシンプルに美しく見えることを意図しました。
コートを挟んだ2世帯の家西側道路より外観を見る。

 親世帯の広めの玄関は、コートより大きな嵌め殺し窓を通して十分な明るさが確保され、2階への階段と地階への階段の昇り降りを安全かつ明るく足元を照らします。
 バリアフリーに配慮した玄関は、段差解消のための式台、その脇に手摺を兼ねた細めの丸柱、下駄箱の天板は握りやすい形状で高齢者に配慮しました。
コートを挟んだ2世帯の家親世帯玄関ホール、バリアフリーに配慮し段差解消のための式台、その脇に手摺を兼ねた細めの丸柱、下駄箱の天板は握りやすい形状。

 親世帯の生活の場は1階で全て完結するように、南にリビング・ダイニング、コートに面して寝室・水廻り等を機能的に使いやすく配置しました。
 子世帯の住居は、コートをかいしても冬季の陽射しが1階フロアーまで差し込みません。そこでコートに面したリビング・ダイニングの南前面を吹き抜けとし、上部に大開口を取ることで十分な日照を確保しています。
 コートに向ってワイドに開かれたそれぞれの浴室からは、前面上部より木製格子が取り付けられ、湯船に浸かりながら庭の足元を観賞します。山ボウシ・寒椿・満作・南天・サツキ等、さらにその傍らの蹲居より流水による水琴窟が庭師の手で仕込まれました。
コートを挟んだ2世帯の家中庭コートより浴室側を見る。

 まさにこのコートは、2世帯住居の中心に位置しこの住宅が成立するための最重要な場所といえます。