[ 素材-007 ]
生き生きとした暮らしを誘発するラフなテクスチャー

素材部門

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広島市のまさに都心、敷地は中高層建物に囲まれていて、前面道路の向こうには夜間授業も行われる高校の校舎が建っています。降り注ぐ陽光やそよぐ風を建物の奥へ、上下へと届け、建物全体で循環し呼吸するような建築を考えました。

敷地間口は5.6メートル、相当に限られたものでしたが、7mのキャンティレバーを用いることで車2台の並列駐車が可能となっています。そこから約20メートルにわたって敷地後方へと続く伸びやかな空間。傾斜した屋根がその空間を包みます。屋根は威圧感を与えることなく校舎からの視線をかわし、また、将来的なソーラーパネルの設置においても効率のよい形態となっています。また内部は傾斜屋根により生まれたボリュームの差異により、空気の流れ、採光や熱環境の操作、あるいは心理的効果に通じる要素、天井や床レベルのバリエーション、空間が繋がったり隔たれたりする分節の形などに抑揚を与え、多彩な空間を備えています。

都市に住まう家族が安心して暮らせる事を思い、耐火性と耐震性に優れるRC造としました。2台の並列駐車を可能とした7mのキャンティレバーは、南へ下る片流れの傾斜屋根により片持スラブ部分の荷重が軽減され、重心も建物後方へ移ることで、構造的な安定を得ています。
屋根の勾配は季節ごとの日射角から導き出し、夏は日射を絞り込むことで熱の拡散を抑制し、冬の角度が生じた日射は効率よく受け止め建物深部まで届けています。

内部は傾斜屋根の下、すべての居室は吹抜けを中心に一つながりになっており、プライバシーを守りながらも互いの気配を感じ取ることが出来ます。

素材に関しては、コンクリートの普通型枠や床の杉板、構造用合板など、廃材を積極的に用いています。それは建築に課せられた社会的責務である、地球環境への配慮であると同時に、均質な人工物に囲まれた都会へのアンチテーゼとして、そのラフな質感を意図したものとなっています。自然本来に備わるテクスチャーや偶然に生まれ出た表情が人の本能を刺激して、住まい手家族も生き生きと暮らしてもらえたら、との思いを込めています。

光・風・熱など環境要素を自然の摂理に立ち戻って丁寧に読み取り、気積や風圧の操作、風道の確保などを建築へプログラムし、床暖房やエアコンといった設備を効果的な位置に組込みました。また、床下収納を兼ねるピットへ開口を設け、熱の対流サークルを地階まで拡張していますが、とりわけ冬季での寄与度は大きく、床暖房と薪ストーブによる暖気を抱き込んでオンドル効果を果たし、身体にも優しい環境を創り上げています。

建設地
広島県広島市 
敷地環境
市街地
構造
鉄筋コンクリート造
階数
3階建
敷地面積
115.27㎡
建築面積
92.78㎡
延べ床面積
196.63㎡
工事費
家族構成
夫婦+子供2人
居住者の年齢
設計者名(事務所名)
古本 竜一(株式会社 古本建築設計)

図面

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