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ラナイのある家

ラナイのある家
生命の終わりの日まで台所に立ちたい、と願う住み手の一部になるようなコックピットのような台所になってます。

  「生命の終わりの日まで台所に立ちたいと願っています。
   それを実現できるような場がほしいです。」
 クライアントの一番最初の言葉。有名料理研究家のお弟子さんで、良い道具を使って宝物である昆布で出汁をきっちりひき、命をいただくことを大事に考える人。
続けて
  「働いていたときは時間に制約されたストレスの多い日々でした。
   今はゆったりとした時の流れの中で丁寧に暮らしたいと思っています。
   日々の生活も人との関係についても。」
これほど昨今沁み入った言葉はない。「丁寧に暮らす」ということば。雑でぞんざいに毎日を暮らす私に、神様が前に据えてくれた人なんじゃないかと思ったほど。
さらに話し始めると次々に色んなことが連鎖してくる。フリーダカーロ・スウェーデン・辰巳芳子先生・オヒョイズ・目白のかいじゅう屋・monSakata・坂田和實・三谷龍二・クラフト市……関係ないようで興味の繋がりが同じ方向であり、クライアントと不思議な縁を感じた。
(もちろん私の薄い知識に合わせて、話をしてくださる懐の深さのある方なのだけれど。)
シアワセだと想う時を尋ねると
  「むつかしい質問ですが、単純に言うと次の通り。
   今日は快晴で、ベランダには洗濯物と布団が干されていて、室内は太陽の光
   が十分に差し込んでいて温かく、台所からはスープの良い香りがしていて、
   読みたい本があり今日中に解決しなくてはならないこともない。
   こんな今の状況をとてもシアワセだと感じます。今日はそんな日。」
もうまったく同じ幸せ感を共有できる!
この時点で私の中に暮らしのイメージがわぁーっと広がった。これだから住宅設計という生業はホントに面白い。
                   ※「ラナイ」とは「ベランダ」という意味のハワイ語

1 階 : 14.24 坪
2 階 : 8.90 坪
ラナイ : 2.49 坪
延べ : 25.63 坪