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京都・大原の家
クラフトサイエンス

外観は古い木造校舎のイメージ。

リビングダイニングには一本の丸太の梁が。大工さんの手仕事が生きています。
大原は、小高い山に囲まれ、田畑が広がり、落ち着きのある里山の風景が広がっています。
周囲にある建物は、戦前から建っていた古い建物も多く、今回新築する家がそんな心地よい風景のなかに違和感なく溶け込むようにしたいと思いました。
屋根には瓦をのせ、外壁は杉板の下見板貼りで、自然塗料で濃茶に着色しました。
「古い木造校舎の小学校のようなイメージ」という建て主さんの言葉もヒントになりました。
玄関に入ると、正面には階段が、右には洗面カウンターと向かいの山の見える大きな窓、左には天井の高いLDKへの入り口。
ここは「多目的玄関ホール」とでもいいましょうか、普通なら90センチくらいの廊下になるところを倍の180センチにしてゆとりをもたせ、歯みがきしたり、本を読んだり、子供が走り回って遊んだり、いろいろな暮らしのシーンが想起されます。
いろいろな方向に窓があり、昼の木漏れ日、夕日のオレンジ色、風で揺れる木々のざわめきなど、私たちが自然とともにあることを日々感じさせてくれることでしょう。

多目的、無目的?な玄関ホール、読書、歯みがき、何をする?
2階の壁や屋根をがっしりと支えてくれています。この部分は大工さんが現場で手加工して組み込んでいます。
自動化された生産ラインで刻まれるのがあたりまえになった現代の木造住宅ですが、人の手によって一つひとつのものが生み出されていく感覚を暮らしの場のなかに残して行きたいと私は思っています。

大原の自然と、里山の風景を暮らしに取り込む窓。
建築DATA 1階床面積 : 18坪 〈家族構成〉
2階床面積 : 16坪 夫婦+子供一人
延べ床面積 : 34坪
構 造 : 木造2階建て
[家づくりニュース2014年3月号掲載]