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小さく暮らす、快適な家

 敷地面積22坪。整形地であればけして狭い敷地とは言えませんが、建て主さんの購入された土地は、三方道路に囲まれた矢尻のような不整形な土地でした。さらに、井の頭という静かで緑が多い地域だったために容積率が80%しかなく、容積いっぱいに建てても17坪しか建たないことになります。このように、敷地だけの状況を見ればネガティブな気持ちになってしまいますが、建て主さんは、敷地の持っているデメリットな要因を前向きに捉え、この敷地の持っている特徴を生かしながら家族4人が快適に住める家を希望されました。
 小さな敷地であるがゆえに、できる家もこじんまりとしてくるので、家族の距離感が程よく保てるアットホームな雰囲気を感じる家であってほしいといったニュアンスが伝わってきました。また、お子さんがピアノを弾かれるので、ピアノを気兼ねなく弾ける場を作りたいとの要望もありました。
 容積率いっぱいに建てても17坪。さすがに家族4人が暮らすのには狭く、そこで容積緩和が受けられる地下室を作ることになりました。そうすることで延べ床面積26坪まで可能となったわけです。このように、地下をつくることで各スペースの構成が縦に伸びることになるので、階段室の吹抜け空間を利用して家族の距離感を縮めることができるようにプランニングをしています。階段はその機能だけをみれば上下階を移動する装置ですが、単なる機能性だけではなく、日々の暮らしを豊かにする場所として考えてもよいのではないだろうか、と考えています。階段は家のなかで視線が上下動する唯一の場所であり、それによってまわりの見え方も違ってきます。また、吹き抜け空間として上下階の関係をつくり出す場所にもなります。このように階段室の特性をいかし、地下の子供部屋、1階の寝室、2階の家事コーナーが階段室と開口部でつながるようにしており、さらにそこに建て込んだ建具により、暮らしの状況のなかで開け閉めができるようにしています。
 階段室の下を利用した地下のピアノコーナー、居間の一角に建具で仕切ることができる家事スペース、それにLDKと3つの個室(寝室)が、階段室の吹き抜けを囲みながら家族の気配を伝えあうように配置されており、小さな家でも家族4人が快適に生活できる家になったと思っています。

小さく暮らす、快適な家
玄関から階段室を見ており、この階段室の吹き抜けは、地下から2階に渡って各居室とつながっている。

小さく暮らす、快適な家階段室吹き抜けに面した引き違い戸はあえて上下に分けており、そのときの状況で開放する量を調整できる。