家づくりレポート »

成田東のコートハウス

家と庭の思い出
 この原稿を書いている頃にちょうど桜が満開になり、街は急に華やかになりました。この家の敷地にも以前から桜があり、建て替えにあたり切らずに残しました。もう老木ですがきっと今年もきれいな花をつけたことでしょう。
 初めて敷地を訪れた時のことは今でもよく覚えています。夏の暑い日で、年月を経て大きく育った木々が色濃くあたりを埋め尽くしていました。築50年ほどの平屋と和の趣きをまとった庭。現代の水準からすればコンパクトで時間の流れをまとい風化した佇まいがそこにありました。
 建て替えることで家はまったく新しくなるわけですが、その佇まいのもつ雰囲気や空気感いわば「記憶」のようなものを少しでも残したいという思いは、建て主と共有していたと思います。相談の上、屋根瓦、表札、懐かしいデザインの水栓などに加え、庭の木を選んで残すことになりました。桜以外には松、梅、紅葉などがあり特に松は立派でした。しかし、新しい家の計画にはあいにくの場所に植わっています。いくつかプランを検討した結果、桜だけを残すことに。そうして、ヤマボウシの中庭と桜の庭とがつながるコートハウスになりました。
 この家の近くには緑豊かな公園があります。設計が進むにつれだんだんと緑への関心が強くなってきたご主人は、散歩しながらよく1本1本の木を観察したそうです。竣工後もご自分であれこれと草花を植えて楽しまれています。新しい家に住むようになってご自身の興味の幅も広がったようです。この庭の緑も、きっと長く愛着をもって大切にされることでしょう。

成田東のコートハウスリビングから庭を見る。正面に株立ちのヤマボウシ、左に残した桜の木が見える。
ヤマボウシは上向きに花がつくので、2階からも花が楽しめます。

成田東のコートハウスコンクリートと木の素材感で構成した玄関ホール。
正面には紅葉、右に進むと中庭が目に入ります。