家づくりレポート »

FOLD

 みなさんはじめまして。8月から「家づくりの会」に参画させていただくことになりました。初原稿となりますので、ご挨拶を含めながら竣工して間もないこの住まいを紹介したいと思います。

 設計事務所を開設して10年経ちました。それ以前はゼネコンで設計業務に携わり、そこでは現場監督として工事に直接関わる経験もしました。総合建設業の名の通り施工を請け負うのみならず、意匠設計から構造・設備設計までの全てを自社内で行える組織をもつために、疑問が生じれば他部所の方に相談できる便利な環境でした。しかしこの生産合理的一環方式の強みよりも、設計が施工する立場のなかにあることの問題を直接肌で感じ、独立して現在に至ります。

photo:FOLD
小さくても中庭を設けることでそれ以上の広がりが与えられた。

 写真の建物は耐震等級3の性能に制震構造も付加した二世帯住宅です。前面道路を挟んで周囲環境とは無関係に開口部が開けられた建売郡が対峙し、南側に迫る隣戸は特徴的な配色がなされていました。良好な景観を望めない状況でしたが、コートハウス形式によりプライバシーを確保しながらも採光や通風を充分に得られるようにしました。回遊性のある動線や、天井高や床レベルの変化が空間に多様な展開や陰影を与え、それらや自然素材がバランスをもつことでメリハリのある気持ちのよい生活空間と住みやすい生活動線を提供しています。

 私が設計で常に考えていることはバランスです。実際には無意識に捉えているという方が正しい表現かもしれません。これは素材や色・町並みなどの目に見えるものから、住環境や感性・コスト・家族間距離などの、目に見えない物事も含みます。「バランスがよい」と感じるものは「美しい」と言い換えられるのではないでしょうか。これは人の行為や仕草まで全ての物事に言えそうです。

photo:FOLD
誇示することなく、また埋もれてしまうことのない造形。

  1 階 : 24.75 坪       〈家族構成〉
 中2階 : 3.69 坪        1階親世帯 : 大人 2人
  2 階 : 28.18 坪        2階子世帯 : 大人 2人
  延べ : 56.62 坪               (将来子供2人を想定)
 (小屋裏: 6.81 坪)