家づくりレポート
■ キッチン中心の住まい

奥様お気に入りのキッチンスタイル。素材は珪藻土塗りで仕上げました。
ダイニングテーブル上部照明は大好きなマリメッコで!

リビングルームから2階子供室に繋がる吹き抜け
希望はキッチンを中心に生活出来る空間構成でした。
よく見かけるLDKですが、キッッチンの右手にはダイニングスペース。
反対の左側にはリビングスペースを配置、横並びにする事で動線計画が単純化され家事動線がとても便利と評判。
またスタイルはアイランド型キッチンスタイルなのですが(サイズ90㎝×270㎝)手元をあまり見せたくないために水栓金具の高さを基準に三方袖壁を設けました。
写真では見えていないけれど、天板カウンター幅サイズも3種類に分類し、機能面も重視しました。
ここまではよく有るのですが意外と今まで気がつかなかった奥行き90㎝の利用価値。
奥様曰く、キッチンの前に炊飯器・コーヒーメーカー・ミキサーまで置けて作業性はすこぶる快適とのこと。
そして壁面内部に取り付けた温水機等のリモコン装置の場所もお気に入り。
「まるで我が家の司令官に成った気分です。」と話してくれました。
家のスタイルは木組みを少しだけ表し、大きな空間を介して2階プレイルームへと繋がる。
この場所は音楽好きの家族みんなが集まり、毎日夕飯のあと演奏会が始まるのです。
建築DATA 1階床面積 : 87.49㎡ 〈家族構成〉
2階床面積 : 54.62㎡ 夫婦+子供2人+祖母
延べ床面積 : 142.11㎡
構 造 : 木造2階建て
[家づくりニュース2014年4月号掲載]
- 2014.04.02
- 建築家:山下 和希
- アトリエ・アースワーク
■ 京都・大原の家

外観は古い木造校舎のイメージ。

リビングダイニングには一本の丸太の梁が。大工さんの手仕事が生きています。
大原は、小高い山に囲まれ、田畑が広がり、落ち着きのある里山の風景が広がっています。
周囲にある建物は、戦前から建っていた古い建物も多く、今回新築する家がそんな心地よい風景のなかに違和感なく溶け込むようにしたいと思いました。
屋根には瓦をのせ、外壁は杉板の下見板貼りで、自然塗料で濃茶に着色しました。
「古い木造校舎の小学校のようなイメージ」という建て主さんの言葉もヒントになりました。
玄関に入ると、正面には階段が、右には洗面カウンターと向かいの山の見える大きな窓、左には天井の高いLDKへの入り口。
ここは「多目的玄関ホール」とでもいいましょうか、普通なら90センチくらいの廊下になるところを倍の180センチにしてゆとりをもたせ、歯みがきしたり、本を読んだり、子供が走り回って遊んだり、いろいろな暮らしのシーンが想起されます。
いろいろな方向に窓があり、昼の木漏れ日、夕日のオレンジ色、風で揺れる木々のざわめきなど、私たちが自然とともにあることを日々感じさせてくれることでしょう。

多目的、無目的?な玄関ホール、読書、歯みがき、何をする?
2階の壁や屋根をがっしりと支えてくれています。この部分は大工さんが現場で手加工して組み込んでいます。
自動化された生産ラインで刻まれるのがあたりまえになった現代の木造住宅ですが、人の手によって一つひとつのものが生み出されていく感覚を暮らしの場のなかに残して行きたいと私は思っています。

大原の自然と、里山の風景を暮らしに取り込む窓。
建築DATA 1階床面積 : 18坪 〈家族構成〉
2階床面積 : 16坪 夫婦+子供一人
延べ床面積 : 34坪
構 造 : 木造2階建て
[家づくりニュース2014年3月号掲載]
■ 記憶を受継ぐ家

昔の面影を残しつつ、生まれ変わった外観。
以前、ここにも書いた住まいが完成しました。
この住まいは、築40年近くとなる木造2階建てのリノベーションです。
昭和56年以前の建物なので、現在の耐震基準を満たしておらず耐震性に不安があることと、親世帯だけで住んでいた住まいを、子世帯と共に住む2世帯住宅につくり直せないかと計画が始まりました。
愛着ある住み慣れた住まい。
親の代から住み続けられ、数々の思いでが刻まれた家族の居場所。
新築かリノベーションかと随分迷われましたが、後世代に家の記憶を残し、2世帯それぞれが程よい距離感が保てるよう全体的にプランを考え直し、構造や断熱、設備なども、もとの性能以上にし建物を再生させることとなりました。
古いモノを今の生活に取り込むリノベーションは、新築とは違った様々な発見があります。
古いモノの中に見つける新しい価値、キズのついた柱や梁、年季の入った障子や欄間は、家族の歴史を表し、空間に奥行を与えてくれます。
何十年も使い込まれたモノだからこそ味と深みが生まれ、住まいにくつろぎや落ち着きをもたらします。
古いものと新しい技術が程よく織り交ざった住まい。
以前の家の記憶を残しつつ、次の世代に受継がれる住まいとなりました。

井が落とされ開放的になった室内。
子供部屋のロフトに繋がる小窓。

書院格子や障子、古材などを再利用、無垢板や漆喰など古い材料と馴染む室内。
建築DATA 1階床面積 : 33.03㎡ ( 40.24坪) 〈家族構成〉
2階床面積 : 72.71㎡ ( 21.99坪) 両親+夫婦+子供2人
延べ床面積 : 205.74㎡ ( 62.23坪)
構 造 : 木造2階建て+ロフト
[家づくりニュース2014年3月号掲載]
- 2014.03.01
- 建築家:吉原 健一
- 光風舎一級建築士事務所
■ 木の家、木の空間

仲間を招くのが大好きな家族の為に用意された全長4.3m強の食卓を南方向に見る。右側、筋かいをアレンジした木立状架構は各階からランドマークのように視界に入る。
撮影:安川 千秋
40代前半のご夫妻と設計当時小学生だった3人のお子さん達家族の住まいです。
このご家族に出会い、夫妻が日々体当たりで子供達に対している情熱を強く印象付けられました。
この家族にどう「建築」で応えられるか!
そんな思いがこの住宅設計の根底にあったように思います。
①南面傾斜地からの夏の卓越風が住宅の隅々を吹き抜けていくこと。
居間・食堂を2階東寄りに、南北縦長に配置し、全長4.3mの食卓や総延長9.1mの調理台+デスクカウンターも、風の流れに沿ってスーッと一方向にレイアウトする構想が、まず浮かび上がりました。
②傾斜地正面やや左の横浜方向、西寄り大山・丹沢方向を含む奥深い眺望を取り込むこと。
ふり注ぐ冬の日照をしっかり捉えること。
浴室を2階南西角に位置させ、3つの子供室を1階にずらりと並べ南面させることを続いて確定。
180度のパノラマ状展望が開け、半球状の天空と接するルーフデッキも提案させて頂きました!

2階浴室等の水まわり前の廊下から「小さな吹抜けを持つ階段」を通して居間・食堂方向を見る。
個室群のある1階、居間・食堂や浴室・洗面、北側道路から続く玄関ホールのある2階、そして屋上ルーフデッキ間を、日々家族が上下し移動するこの階段周辺のそこかしこに、一寸ドラマチックな空間的仕掛けを組み込みました。
④飾らない、無垢でストレートな素材使いに徹し、環境負荷最少の素材である「木」の架構を力強く表現することにも努めました。
⑤等々。
書ききれないその他の試みについては、当工房HP「作品」欄を併せて参照頂ければと思います。
建築DATA 1階床面積 : 33.57坪 〈家族構成〉
2階床面積 : 33.82坪 夫婦+子供3人
屋 上 屋 : 1.75坪
延べ床面積 : 68.14坪
構 造 : 木造2階建て
[家づくりニュース2014年2月号掲載]
- 2014.01.31
- 野口泰司建築工房
■ 蔵町のいえ

居間東側に街を見下ろす出窓がある。
出窓の外観と部屋内の建具は、街並みにあわせて伝統的な意匠を取り入れている。
この住まいは、いにしえの蔵の街並みが今も残る城下町に建っています。
地の利を活かして、伝統が魅せる街のイメージを現代にも継承できるよう蔵の街並みに馴染むデザインを心がけました。
外壁を漆喰仕上とし、道路に面した正面外観の出窓には木組みの伝統的な意匠を取り入れて、街並みに自然と溶け込むような外観にしました。
建物を前面道路から少し後退した配置とすることで正面ポーチをつくり、街並みに開かれた共有スペースとしても使えるようにしています。
玄関へのアプローチは車庫脇のくぐり戸から入り、植栽のあるポーチを通って玄関へアクセスする雁行した動線をつくり、限られたスペースの中にも奥ゆかしさを感じられるようにしています。
1階には来客を兼ねた多目的なスペースと水廻りを配置し、2階に家族団らんのスペースを設けています。
1階からゆったりとした階段通路スペースを上がると、住まいで一番広い2階の居間・食堂スペースがあらわれます。
この空間は、傾斜天井に構造梁をあらわし、登り梁の両脇に照明ボックスを設けて、天井板の優しい木目と一体にしたシンプルで力強い空間になるように工夫しています。
居間の東側に位置する出窓は、その外観と同様部屋内の建具にも伝統的な意匠を取り入れています。

建物正面左手に玄関への前庭通路がある。
建物は道路から後退して、突当りの1階に車庫を設けている。
正面ポーチは街並みに面した共有スペースとしている。

構造梁をあらわした登り梁の両脇に照明ボックスを設けている。
建築DATA 1階床面積 : 29.82坪 〈家族構成〉
2階床面積 : 26.95坪 夫婦+子供
延べ床面積 : 56.77坪
構 造 : 木造2階建て
[家づくりニュース2014年2月号掲載]
- 2014.01.31
- 建築家:濱田 昭夫
- TAC濱田建築設計事務所
■ 緑陰とピアノの家
撮影:黒住 直臣

ピアノ室とダイニングはひと繋がりのゆったりとした空間となる

コンパクトな外観の中に様々な空間が内包されている
敷地は小高い丘の上に切り開かれた分譲地の1区画ですが、敷地の奥には丘の下からも見えるほどの大きな樹が数本茂っています。
これらの樹木を借景として日常の生活に取り込む事で、自然に囲まれた別荘で暮らしているかのような穏やかな住空間を作りたいと考えました。

ピアノ室階下の地下室のような雰囲気を持つ書斎
ダイニングとの間は3連の引き戸で仕切る事が出来ますが、普段は開け放して空間のつながりと視線の抜けを感じられる、ゆったりとした伸びやかな空間を作り出しています。
ピアノ室の階下はご主人の書斎となっています。
ピアノ室の床が下がってきている分、床と天井を作らない事で書斎の天井高さを確保しています。
床は基礎の底盤を直接モルタルで仕上げた土間とし、天井も構造を表しにした結果、地下室のような独特の雰囲気を持った部屋となりました。
蓄熱暖房機のおかげで冬にも冷え込む事がなく夏も涼しい快適な書斎です。
建築DATA 1階床面積 : 18坪 〈家族構成〉
2階床面積 : 18坪 夫婦
延べ床面積 : 36坪
構 造 : 木造2階建て
[家づくりニュース2013年12月号掲載]
- 2013.11.29
- 建築家:other
■ かぐや姫の家

ダイニングスペースとつながった一段上がった四畳半のスペース。六寸角の大黒柱もあります。

竹林をバックに建つ家。タケノコ掘りも楽しそう。
おじいさん、おばあさん、そしてかぐや姫の三人の家では勿論なく、まだお若い40代ご夫婦お二人の住宅です。
ご主人はとっても愛妻家の方なので、奥様がかぐや姫的存在なのかもしれません。
(とてもきれいな方です)
新しい家が出来て、ますます仲良く、楽しい生活を送っていただいているようです。

キッチン方向を見たところ。キッチン右側の引き戸を開けると奥さんご所望の糠味噌や梅酒や根菜類を置く土間スペースがあります。

① 2階には多趣味なご主人の趣味スペースがあります。
② ダイニング脇の奥さんの書斎スペース。
③ 洗い出しの床と植栽。植栽は家を優しく包んでくれます。
建築DATA 1階床面積 : 45.26㎡ 〈家族構成〉
2階床面積 : 35.32㎡ 夫婦
延べ床面積 : 80.58㎡(24.37坪)
構 造 : 木造2階建て
[家づくりニュース2013年12月号掲載]
■ 戸外にも居間がある家

戸外につながる大きな吹き抜けとウッドデッキ。開放感のある室内。
住宅性能表示の基準で、耐震基準は最高級の等級3。
震度6強の地震でもそのまま住み続けられる強度です。
断熱性能は、最高等級を大幅にクリアー。
省エネと快適性が両立した家です。
一方、性能がよいだけでは、家族の楽しい生活が保障されるわけではありませんよね。
自分の家らしさ、年と共に微妙に変わる家族、年々よくなる設備機器等々、よい住まいには長期的な変化に対応できる包容力が必要です。
この要望を実現する秘訣は、間仕切りや設備などその時々の多様なニーズから構造フレームを自立させること。寺院や伝統的な民家を見れば、日本の木構造の寿命が、数百年以上であることは立証済みです。

外観は、シンプルな切り妻型。居間の大きな開口部につながったウッドデッキは、戸外の居間。
室内の計画も大切ですが、現実の快適性は周辺環境あっての住まいです。
戸外計画(外構計画)を住まい計画のはじめから考えて計画すると、思った以上の住環境が実現できます。
住む人の心が豊かになる快適な住まいを実現するキーワードの一つが、敷地の総合計画です。
人生の基盤である自宅を、いかに安心で豊かにするか、そんなまじめなことを考えて家づくりをしています。
[家づくりニュース2013年11月号_掲載]
■ Union_Houseについて
「Union_House」は声楽家のご主人とピアニストの奥様が、お嬢さんと過ごす生活の場であり、お二人の音楽活動の場です。
生活機能は必要十分にコンパクトに設計してリビングルーム兼用の音楽スタジオを作りました。
音楽スタジオに必要な「防音性能」を上げるには、鉄筋コンクリートで作るとか、地下室として計画するのが一番です。
しかし、鉄筋コンクリート造は建物が重くなり、敷地の地盤があまり強くなかったので心配です。
また、地下室は敷地内に湧き水がありましたので地下水対策が大変です。
そこで、木造で音楽スタジオを計画することになりました。
「防音」と言っても低音と高音では対策が異なります。
簡単に言うと、低い音は重い素材が、高い音は軽い素材が効果がありますから、特性の異なる素材をバランスよく組み合わせて防音壁を作ります。
今回は、外壁の下地に「モイス」という重い素材を使い加えて石膏ボードと構造用合板を組み合わせて壁を重くしています。
そこに断熱材である、ふわふわの軽い素材としてロックウールのマットを20cmいれました。
さらには、建物を支える骨組みに音の振動が伝わらないような工夫もしています。
これで、性能の高い防音壁は設計できました。
しかし、これだけではダメです。
録音専用のスタジオでしたら、マイクで録音した音をあとからエコーを掛けるなどの加工をするために音が反響しない吸音性能が必要です。
しかし、演奏者が練習するスタジオでは、適切な響きがあることが必要です。
音楽は楽器が発する音そのものではなくその響きだからです。
響きは防音性能のように数値では計り知れない美しさであり感覚的な世界です。
特にアコースティックな響きを大切にする声楽とピアノではなおのこと響きが大切です。
今回は幅の狭い杉の板を隙間を開けて細い針のような釘で軽くとめることで杉板を響かせて程よい音の響きが出るようにしています。
建物が完成し、ピアノが搬入され奥様に弾いていただきご主人に発声をしてもらうまで、心配で心臓もドキドキでしたが、その日が来て最初の音を聴いた時にほっと胸を撫で下ろすことになりました。
我ながら素晴らしい響きを持った音楽スタジオが完成したと思います。
建て主さんの満足した笑顔が忘れられません。

リビングとしても使う音楽スタジオには普段はしまっておける食器棚を兼ねたフォールディングテーブルを作りました。
[家づくりニュース2013年11月号_掲載]
- 2013.11.01
- 建築家:古川 泰司
- アトリエフルカワ一級建築士事務所
■ 遠山杉の家

(外観)南の道路側の外観。厚塗吹付材と板張でシンプルに仕上げられた2階リビングの家。
南道路の日当たりの良い敷地で、道路の反対側は緑地帯を介して交通量の多い幹線道路が通っています。
地味な普通の家で十分です(笑)とおっしゃる御主人が家を建てるにあたってこだわったのは、御主人が集めた3,000冊ある本を収納できる書架、御主人の郷里の信州の木材である「遠山杉」をぜひ使いたいということ、それとまだ小さな二人のお嬢さんが弾くグランドピアノを鑑賞しながら和室でゆっくりくつろぎたいということ。
対して共稼ぎの奥様の御要望はかなり現実的で、料理と洗濯、物干しの家事動線への配慮と、建物や庭などなるべく維持管理の楽な家として欲しいということでした。

(内観) 玄関扉を開けた正面廊下には建物の間口の目一杯に書架が据え付けられています。
建物は南道路側に向かって開放的な2階リビングの構成とし、1階に寝室と水廻り、2階にLDKとピアノ室、和室を回遊できるように設けたオーソドックスな間取としています。
その中に書架だけは建物の目玉的な存在となるべく、建物中心の1階玄関ホールの目の前に思い切り目立つように設けました。その案を見た奥様の要望で御主人専用だったはずのこの書架も一部は奥様用の飾り棚となりましたが…。
その他、実家の家紋を玄関扉の袖ガラスに忍ばせたり、長女の名前の由来の木であるミズメサクラの木をどこかに使いたいということでシンボルツリーとして植えたり、地味に見えながらも最終的にはこだわりが一杯の家となって完成しました。
建築DATA 1階床面積 : 74.52㎡(22.54坪) 〈家族構成〉
2階床面積 : 67.07㎡(20.28坪) 夫婦 + 子供2人
小屋裏床面積 : 19.60㎡( 5.92坪)
延べ床面積 : 141.60㎡(42.83坪)
構 造 : 木造2階建て+小屋裏
[家づくりニュース2013年10月号掲載]
- 2013.10.01
- 水口建築デザイン室
■ 子供の成長を育む水庭の家

水庭と屋上、そして内部の回遊動線が接続し、多様な繋がりを生みだしている。
内部に入ると、LDK、子どもスペース、玄関、廊下が一体となった平屋のワンルーム空間が広がっております。
家の中心に配置した中庭には水が張られ、子ども達にとっての格好の遊び場に。
もともとオープンな家族関係を理想とし、個室の子ども部屋は要らない。
さらには、玄関らしい玄関も要らない。というご夫婦の考え。
最初の提案は、水庭ではなく、ウッドデッキを敷いた中庭だったのですが、奥さまが「水を張ると面白くないですか?」と。
「面白いですね~、でも掃除はどうしますか?」と伺ったところ、
「言った私が責任取ります」って感じのコミュニケーションにより、この『水庭』が実現しました。

水庭を、体一杯に楽しむ子ども達の様子。
皆、この水庭が大好きなので、家族総出でお掃除します。
苦になるどころか、水庭のお掃除は、家族のコミュニケーションの大切な場にもなっているそうです。
こちらの住宅は、5年前に完成しました。
お引き渡し後も、建主さんとは連絡を取り合っており、子ども達の成長を報告して下さいます。
頂いた手紙の一文をご紹介。
長男:気分転換に、よく一人で屋上にいます。叱られた時などは、スッキリするようです。
次男:広い家を存分に散らかす天才。今日もあっちこっちで宿題を開けた形跡があります。
三男:家中を所狭しと走り回っています。
朝日の差し込む部屋で目覚めるので、すっかり寝起きが良くなりました。
四男:足取りも安定して、いつも3人の兄の後ろを一生懸命付いていきます。
家の中に響く、可愛らしいテペテペという足音は、彼のモノです。
建築DATA 1階床面積 : 115.93㎡(35.0坪) 〈家族構成〉
構 造 : 木造平屋建て 夫婦 + 男の子4人
[家づくりニュース2013年10月号掲載]
■ みのりズム
写真:石井 雅義

天井の垂木のピッチが徐々に変わっています。
見上げたときのリズムが楽しいのです。
ここんちの中心は只今幼稚園生の少年。
少年が笑うと皆が幸せ。
そんな生活の様子を想像して、少年の名前と垂木のリズムを組み合わせた造語をこの住宅の名前にしました。
家をつくろうと思ったときは、会社の社宅に住んでいて「湿気+何だか似合っていない住宅+狭い」という不都合がありました。
その中でも優先順位一番として湿気やカビ結露を払拭し、風がよく通って明るく空気がさらっとすることを実現化させました。
そして楽しい雑貨が好きなのだけれど、社宅では全く生かせていなかったので、自己表現できるきっかけをあっちこっちに創りました。
こういう人たちはとっても多いのですね。
自分たちらしく暮らす背景が無くて、でも順応力があるからどこでも住めちゃう。
住めるけれど決してその住宅を愛していない。
愛着を持てる背景がある事によって生活もガラッと変わります。
住宅はまめに手入れをすることになり、整理整頓され、食卓の風景もどんどん変わってきます。
誇りと自信を持てる住宅をつくるということに関与できて、一緒に生活を考える事ができるのが何より楽しい。
生活するってホント楽しいのだから。ね。
建築DATA 1階床面積 : 51.17㎡ 〈家族構成〉
2階床面積 : 48.29㎡ 夫婦 + 子供一人 + 亀
延べ床面積 : 99.46㎡
構 造 : 木造2階建て
[家づくりニュース2013年9月号掲載]